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2015年05月23日07:43

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book『ジヴェルニーの食卓』(原田マハ)

原田マハ著『ジヴェルニーの食卓』(集英社)を読んだ。中編の4編である。「うつくしい墓」はマチスの「光あふれる」絵の制作とその人柄を当時家政婦だった老女マリアが語る。晩年のマチスは車椅子でだったが、精力的にロックフェラー礼拝堂の薔薇窓のための絵の制作をしていた。その絵との比較としてヴァンスのロザリオ礼拝堂のマチスの絵の話が出て来る。私は30年前にはじめての海外旅行(戦前から自由教育を進めたセレスタン・フレネの学校を訪問するツアーだっが)で途中マチスの教会を訪れている。小さな教会だったが、明るくて鮮やかなステンドグラスの絵を思い出し、この話に引き寄せられていった。「エトワール」は若い頃にドガの絵の魅力に強い影響を受け、アメリカからパリに移り住んだ老画家メアリーがドガの絵の魅力と死後に残されたドガのマケット(彫刻の試作のための雛型)「十四歳の小さい踊り子」についての秘めら話が語られる。「タンギー爺さん」は印象派の画家を発掘し、支えた画商とセザンヌとの関係、セザンヌの絵の魅力が描かれる。この本の表題となった「ジヴェルニーの食卓」はモネの代表作「睡蓮」のがどのとうに制作されていったかを義理の娘ブランシュが語る。先に読んだ2冊が短編であるのと比して、『ジヴェルニーの食卓』は中編であり、実に中味が濃く、深みを感じた。ちょっと間をおいて、原田マハの長編『楽園のヴァカンス』を読んで見ようと思う。
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