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2015年05月18日10:20

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book『デビュー作を書くための『超「小説」教室』(高橋源一郎)

高橋源一郎著『デビュー作を書くための超「小説」教室』(河出書房新社)を読んだ。こんなおもしろい本はなかなかない。僕はたまにしか小説を読まないし、詩となると特にそうだ。その僕がおもしろかったのだから、小説好きの方には特におもしろい本だと思う。高橋さんは「文学の新人賞」の選考委員(それ以外の文学賞、詩の選考委員も)をやられている。その選考の過程の話がとても興味深かった。選考委員が選考の際に、「読み手」としての立場以外に、実作者としての「書き手」の視線で選考作品を読みこんでいき、「書かれたもの」を超えて、「書かれるはずだったもの」「これから書かれるもの」に目を向け、冒険に高い得点をつけるという。その選考の実際の話が前半にあり、後半に2000年以降の高橋さんの全選評が収められている。読み終わって、ほとんど知らない小説の世界に若い小説家がたくさん登場していて、きらめく銀河のように見えたことが壮観だった。そのほかに、詩の賞である中原中也賞の選評で最近読んだ管敬次郎さんの『Agend'Ars』が出てきたのはうれしかった。私は管さんのエッセーが好きなのだが、最近にこの詩集4冊を読んで、目を開かれた。また、評論が好きで読んできた辺見庸の詩集『生首』(買ったまままだ読んでいない。)も出てきたので、読んで見なければと思った。

<目次>
はじめに 「波打ち際」のレッスン
第1章 まずは、新人文学賞選考会について知ろう
第2章 つづいて、選考委員について知ろう
第3章 いよいよ、新人作家の条件を考えよう
第4章 2000年以降高橋源一郎全選評
引用・参考文献一覧
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