「マミー」(グザヴィエ・ドラン)を見た。カナダ映画で監督は25歳の俊英だ。2015年の架空のカナダで、発達障害児の親が経済的、身体的、精神的危機に陥った場合、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に強制入院させる権利を保障したSー14法が通る。なにか日本でも起こりそうと思わせる設定だ。ダイアンは15歳になる息子スティーブと二人暮らし。スティーブはADHD(多動性発達障害)でトラブルが次々と起こる。そこに隣家のカイラとのつながりができ、家族のような関係を築いた三人の物語で、問題は「障害」ではなく「人間の関係」であると感じさせ、秀逸だ。比率が1:1の画面と横長のシネスコ画面との切り替わりが閉塞と開放(解放)との転換を示し、見事だ。今年見た映画でベスト3を上げるとしたら、「アメリカン・スナイバー」と「バードマン」とこの「マミー」だ。
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