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2015年04月23日17:38

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book『国民なき経済成長』(浜矩子)

浜矩子著『国民なき経済成長/脱・アホノミクスのすすめ』(角川新書)を読んだ。浜さんのアベノミクス批判の新刊だ。アベノミクスの狂いは随所にあらわれていると明快に批判する。まずアベノミクスのシナリオの狂いの分析、続いて日本経済の現状分析、アベノミクスの目に映る虚像の検討、アベノミクス向こう側に目指すものと非常に明快な展開がされていく。最初の「取り戻したのは経常赤字だった」の所で、経常収支・貿易収支の説明が具体的で分かりやすく、日本経済が「三つ子の赤字」(ばら蒔きで財政赤字、円安で経常赤字、異次元緩和で資本収支赤字)となる危険性があると知り、アベノミクスの犯罪性を感じた。内容は読んでいただくとして、浜さんレトリックのうまさにはいつもながら舌を捲く。ひとつ挙げる。安倍首相は「2020年のオリンピック」を「強い日本を取り戻す」プロジェクトのゴールとしたいようだ。「ちなみに、英語では、2020年を“twenty-twenty”と表現することがある。そして、またこれとは別に、“twenty-twenty-vision”という言い方がある。(中略)自分はtwenty-twenty-visionの持ち主だといえば、それは、自分の視力が両眼とも矯正を要しない正常視力だということになる。(中略)ところが、2020年に固執する取り戻したがり病患者の目には、熱に浮かされて恐ろしく近視眼的で視野狭窄的になっている。」(「あとがき」)なるほど。このパラグラフが本著の全体の趣旨を表していて、軽妙だ。浜さんのこの他の最近出た本には、『もうエコノミストには騙されない/紫炎のMBA講義録』(毎日新聞社)、『2015年 日本経済景気大失速の年になる!』(高橋乗宣との共著、東洋経済新報社)がある。買っているので、読むつもりだ。

<目次>
はじめに
序章 そろそろ「その後」を考えよう
第1章 アベノミクスがもたらしたもの
第2章 日本経済は今どうなっているのか?
第3章 アベノミクスがその先に見ているもの
第4章 日本経済がアベノミクスの向こう側に目指すもの
あとがき
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