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2015年04月05日07:51

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book『平和のための戦争論/集団自衛権は何をもたらすのか?』(植木千可子)

植木千可子著『平和のための戦争論/集団自衛権は何をもたらすのか?』(ちくま新書)を読んだ。集団自衛権の行使の容認という時代に入り、いったい今後日本はどうなるのか不安なのでこの本を手に取った。著者は「集団自衛権の行使を容認する必要がある活動もあると考える」(この前提がいいのかどうかは疑問だが)が、その際、3つのことが不可欠とする。それは「集団自衛権を行使するかについての国内での幅広い議論をする必要」「中国との関係強化に全力を傾けること」「先の戦争に対する日本人による検証」であるとする。この本の「尖閣紛争シナリオ」「グレーゾーン事態の危険」「日本の選択」の項を読んで、「事態はここまで来ているのか!」と身震いした。新聞のインタビューでの著者の言葉を以下に引いておく。「集団的自衛権の行使には、日本の戦争に巻き込まれたくない国を、日本のために巻き込む代わりに、日本も他国の戦争に巻き込まれる、という側面がある。」「首相は閣議決定で抑止力が増すとしているが、逆の可能性が高い。抑止の成功には軍事力行使の基準が明確であることが重要だが、あいまいなため、潜在的な攻撃国が日本の意図を読み誤る恐れがあるからだ。」「今までは日本人の命が奪われることが自衛権発動の揺るがぬ基準だった。しかし集団的自衛権を限定的でも容認すれば、紛争ごとに判断を迫られる。殺す相手も、助ける相手も選ぶことになる。一体どんなときに軍事力を行使するのか。相手の命、送り出す自衛官の命を犠牲にしてまでも、守るべき価値とは何なのか。正面からの議論が必要だ。」大変な時代に入ったものだと思う。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068149/
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11220014.html

<目次>
まえがき
序章 日本人は戦争を選ぶのか?
第1章 世界に訪れる変化のうねり
第2章 日本の安全保障をめぐる環境―なぜ集団的自衛権が必要だと考えられているのか?
第3章 戦争はなぜ起こるのか?どうやって防ぐか?
第4章 抑止力とは何か?
第5章 グレーゾーン事態の危険
第6章 強い軍備の落とし穴―安全保障のジレンマ
第7章 リベラル抑止―戦争が割に合わない世界
第8章 日本の選択
あとがき
主要参考文献
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