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2014年11月22日20:19

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クリストファー・ノーランはキューブリックを超えたか 『インターステラー』

待望だった、クリストファー・ノーラン監督のSF超大作『インターステラー』を見てきました。

『ダークナイト』3部作でも積極的にIMAXカメラを使用していたノーラン監督、今度の新作でもIMAXカメラを多用して撮影し、米国では(何とも羨ましいことに)デジタル上映ではない、70ミリフィルムによる上映も行われています。

今回はスケジュールの都合でIMAXシアターには行けず、通常のデジタル上映で見ましたが、その映像の美しさと迫力はデジタル版シネマスコープの上映でも圧巻でした。

決してDVDやブルーレイで見ようなどと思ってはいけない、映画館でしか味わえない映画です。


【物語】
それほど遠くない未来の地球では、資源が枯渇し、中でも食糧不足が深刻な問題となっていた。
かつては宇宙飛行士の訓練も受け、優れたエンジニアでもあったクーパー(マシュー・マコノヒー)も、本業を離れてトウモロコシを栽培する農夫となっていた。
ある時、娘の部屋で起きた小さな異変から、重力の異常を察したクーパーは、データが示した座標で、大昔に廃止されたNASAの基地を発見する。そこでは、クーパーの恩師でもあるブランド教授(マイケル・ケイン)がリーダーとなり、人類が移住可能な惑星を探査する極秘の計画が進められていた。
惑星探査のための宇宙船に乗り込むことを依頼されたクーパーは、家族と別れ、人類を救う任務を受ける。


…もともとは物理学者のキップ・ソーンのアイデアをもとに、スティーブン・スピルバーグの監督でパラマウントが映画化を進めていた企画。なるほど見ていると、スピルバーグが好みそうな家族愛がテーマとなってはいますが、ちゃんとクリストファー・ノーランらしいハードでダイナミックな作品に仕上がっておりました。

ノーラン監督本人も示しているように、スタンリー・キューブリック監督と『2001年宇宙の旅』(1968)を強く意識しているのが見てとれますが、似て非なるもの。『インターステラー』では、キューブリックが『2001年』で敢えて描かなかった”スターチャイルドのその後”こそに(形は異なれども)焦点を当てており、あくまで人間を中心にすえて、分かりやすい映像表現がされているのが特徴です。

上映時間2時間50分はまったく長くは感じられず、次々とスクリーンに映し出される映像は斬新なもので、ノーラン監督と初めてタッグを組んだ撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマ(007の次回作も撮影予定)は、素晴らしい才能を発揮しています。中でも主人公たちが探査する、移住可能な惑星の数々の風景は圧巻の映像美でした。

映画の後半では、あるトラブルが発生してカウントダウン的な危機に襲われる主人公たちと、地球で残された家族に起こる事件とが交互に描かれ、スリリングな味付けもされています。

地球に幼い娘を置いたまま、宇宙探査で年をとらず、ミッションに苦闘する主人公にマシュー・マコノヒー。成長した娘役にジェシカ・チャスティン、同僚の宇宙船クルーにアン・ハサウェイ、ノーラン監督ではお馴染みのマイケル・ケイン、大ベテランのエレン・バーステインに加え、ノーラン組には初参加となるマット・デイモンが重要な役で出演しています。地味ですが、堅実なキャスティングです。

地球が住めなくなり、別の惑星に移住するという物語は古くからあり、映画でもジョージ・パルの『地球最後の日』(1951)が有名です。しかし最新技術と映像美を描けるだけの力のある監督が、本気で撮ったSF映画を、高く評価したいです。

※とはいえ、宇宙でミッションする者と、地球に置き去りにされた愛する者との間でどんどん時間差が生まれていくというのは、新海誠の『ほしのこえ』で先に描かれておりました。主人公が地球にいる娘に、ある方法でメッセージを伝えようとするのは、楳図かずおの「漂流教室」が先にありました。意外なところで日本の漫画・アニメーションの先見の明を見た気もします。

★★★★。
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