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2019年12月13日19:28

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頗る非常! 『カツベン!』

「頗る」と書いて「すこぶる」と読みます。自分も最近まで読めませんでしたが、これは何かと言うと、戦前の活動弁士・駒田好洋の名セリフ「頗る非常!」なのです。

その駒田好洋の名前も飛び出す映画『カツベン!』を見て来ました。
映画興行黎明期の活動写真弁士たちを描いたコメディです。

当時の大物監督や俳優の名前、数々の無声映画も登場する、楽しい映画でした。


【物語】
1920年代。
活動弁士になることを夢見る青年・染谷俊太郎(成田凌)は、サギの片棒を担がされ、小さな町の映画館「青木館」に雑用係として転がり込む。青木館にはスター弁士の茂木(高良健吾)がいたが、茂木はライバル館に引き抜かれようとしていた。
ある時、飲んだくれた弁士の山岡(永瀬正敏)の代役として舞台に立った染谷は、一躍脚光を浴びるが、かつてのサギの仲間にも見つかってしまう。


…サイレント映画時代のスラップスティックなギャグをつなぎ合わせたかのような予告編を見た時は不安に陥りましたが、それほどではなく、今では見ることのできなくなった無声映画への尊敬の念がちゃんと感じられ、安心しました(クライマックスはドタバタ劇調ですが…)。

主人公の少年時代に、牧野省三監督(山本耕史演じる)の撮影風景を目撃していたり、のちに大傑作『雄呂血』を撮ることになる二川文太郎監督(池松壮亮演じる)が重要な役で出ていたりと、周防監督が先人たちに捧げたメッセージのようなものがあり、単なるノスタルジーに終わっていないところも良かったです。

劇中、飲んだくれの弁士(永瀬正敏)が、映画芸術の発展とともに活動弁士の不要論を寂しげに語るシーンがあります。のちのトーキーの登場を予見しているかのようでもありました。


ただ126分は長い…。
映画の中で、主人公たちがフイルムの断片をかき集めて1本の映画をでっち上げるエピソードがありますが、あの時のようにバッサリ切ってテンポを良くすればなあ…と思ったのも正直なところです。

★★★。
先日お会いした現役弁士の山内菜々子先生(先生といってもお若い)が小さな役で出ておりました。この方の説明、何とも言えない味があって好きです。生で拝見して以来のファンであります。
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