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2020年09月11日07:06

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book『滄海よ眠れ/ミッドウェー海戦の生と死(5)』(澤地久枝)

澤地久枝著『滄海よ眠れ/ミッドウェー海戦の生と死(5)』(毎日新聞社)を読んだ。『滄海よ眠れ』の第5巻目で、第13章「あけぼの丸」(ミッドウェー海戦の忘れられた存在である油槽船/タンカー「あけぼの丸」の被害を明らかにする)、第14章「まぼろしの蜜月」(日米双方の戦死者とその妻の短い蜜月を描き、残された妻の戦後を描く)から構成されている。「あけぼの丸」の10名の戦死者の戦死の状況を追い、そのなかでも末広英雄の戦死の状況と妻つや子戦後の生き様が印象深い。残されたつや子の戦後の人生は、被爆後の広島の状況が重なり、またキリストの幕屋の信徒としての自己救済の歩みと進み、凄まじい人生!と感じさせられた。「まぼろしの蜜月」はタイトルの通り、日米双方の戦死者とその妻の結婚生活は極めて短く、中でもわずか1日の夫婦生活で戦場に旅立った兵士もあった。空母「加賀」の三上良孝大尉と妻美都子の結婚生活も極めて短く、妻美都子の戦後の歩みは八田元夫演劇研究所に入所し、演劇人として生きぬくところに戦後の女性の典型を見た。空母「ホーネット」のチャールズ・ブラノンと妻ドロシーの場合も短い結婚生活の後に夫の戦死が訪れる。以下、その引用である。
「三上夫人もブラノ夫人も、せめて愛する人の子供と願った。男たちは子供が好きであり、ほしがっていた。だが妻たちは二人ともその願いはかなえられなかった。」
さらに次の言葉が本巻の最後の作者の文章だ。
「そしてドロシーはきわめて率直に書いていた。それは、四十余年前の傷に触れられた妻たち遺族たちのすべてに共通する思いの集約のようであった。
<あなたは私を四十年前に連れ戻して、一日で去ってしまったけれど、私は回復するのに二週間かかったのよ。>」
ここで出てくるミッドウェー海戦戦死者の妻たちは私の母と同世代であることに気がついた。さあ最後の巻に入る。
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