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2015年11月11日11:43

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book『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治)

矢部宏治著『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(集英社)を読んだ。この本を白井聡さんが『「戦後」の墓碑銘』(金曜日)で次のように高く評価している。「著者の矢部氏は、(中略)『戦後再発見』双書(創元社)の仕掛け人の編集者である。『戦後史の正体』の読者から矢部氏に来たメールには、こう書いてあったという。<三・一一以降、日本人は『大きな謎』を解くための旅をしている。>まことにその通りだと思う。その旅とは、『戦後』を終わらせるための旅にほかならない。矢部氏の新書はその水先案内の役割を果たすにふさわしいものであり、3・11以降発刊された書物のうちで、私の知る限り最も重要なものの一冊である。」著者に誘われる旅は、沖縄の謎(基地と憲法)、福島の謎(日本はなぜ、原発を止められないのか)、安保村の謎(昭和天皇と日本国憲法、国連憲章と第2次大戦後の世界)、最後の謎(自発的隷従とその歴史的起源)と続き、「基地」と「原発」がなぜ止められないかの謎を解く。そしてそのような事態を作った日本の国家の権力構造の変遷は次のようだと明らかにし、現在日本の変革の方向を提示する。(この戦後の権力構造が作られる中での「昭和天皇」の極めて「政治的」な動きに驚かされる。これについては豊下楢彦著『昭和天皇と戦後日本』(岩波書店)を読んで見ようと思う。)
戦前  昭和前期 天皇+日本軍+内務官僚(天皇が頂点)
戦後(1)昭和後期 天皇+米軍+財務・経済・外務・法務官僚+自民党(天皇+米軍が頂点)
戦後(2)平成期  米軍+外務・法務官僚(米軍が頂点)
実に興味深く、鋭利な分析は現状変革の武器だと感銘深く感じた。

<目次>
はじめに
PART1 沖縄の謎――基地と憲法
PART2 福島の謎――日本はなぜ、原発を止められないのか
PART3 安保村の謎(1)――昭和天皇と日本国憲法
PART4 安保村の謎(2)――国連憲章と第2次大戦後の世界
PART5 最後の謎――自発的隷従とその歴史的起源
あとがき
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