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2011年01月03日23:56

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2010年映画ベストテン

昨年観た映画のベストテンをようやくまとめた。
観た本数が全体に少ないせいもあって、
ダントツにこれが一位!という強い作品は思い浮かばず、
差があまりない気がする。
邦画はまだしも、洋画は一頃より観なくなってしまったなあ。
その分、誰かさんの舞台に通い詰めているわけだけれど。

ベストテンには選ばなかったけれど
この年に観た映画を、その下に羅列した。
感想記事を書いたものはその記事のリンクを、
そうでないものは公式サイトと簡単な感想を附している。

邦画)
1.パーマネント野ばら
2.借りぐらしのアリエッティ
3.川の底からこんにちは
4.ノルウェイの森
5.武士の家計簿
6.人間失格
7.ゴールデンスランバー
8.必死剣鳥刺し
9.悪人
10.オカンの嫁入り

1.パーマネント野ばら
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1509902904&owner_id=949383
あけっぴろげでリアルなようでありながら、さみしさを湛えた寓話的な世界。
とにかくヒロインなおこを演じる菅野美穂が素晴らしい。
彼女を囲む人々も皆ぴったりのキャスティング。
最後にあきらかになる事実の切なさに、恥ずかしいほどぽろぽろ泣いた。

2.借りぐらしのアリエッティ
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1553120546&owner_id=949383
非常にセンスのよいファンタジー。隅々まできっちりと行き届いたつくり。
アリエッティに同化してわくわくどきどきしながら疾走するのが心地よい。
映画独自の味付けをされた翔くんの素敵さも特筆もの。
観終わって本当に気持ちが良かった。

3.川の底からこんにちは
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1508246853&owner_id=949383&org_id=1509902904
最初はちょっと泥臭い部分に戸惑ったのだけれど、
追い込まれてからのヒロイン佐和子のど根性には圧倒された。
満島ひかりのてらいもない演技はすごいなあ。

4.ノルウェイの森
http://www.norway-mori.com/index.html
トラン・アン・ユン監督という、異国のひとの目を通すことにより、
日本で撮影しながら日本ではない、不思議な世界になっているのが良い。
前評判に聞いていた通り、菊池凛子演じる直子が圧倒的。
そのまま透き通っていきそうな、壊れそうな神経でやっと立っているような、
彼女の佇まいも、彼女の居る風景も、どう見てもこの世のものではない。
緑さんは可愛いけど、可愛すぎて、ちょっと幼い。
松山ケンイチは期待通り好演。
「どういたしまして」「もちろん」などという、
春樹作品主人公独特の言い回しも嫌みがなく、微笑ましかった。
(でもこの映画を邦画とするのはやや違和感が。テイストが違う)

5.武士の家計簿
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1612622141&owner_id=949383
ストーリー性はちょっと弱いけれど、真面目な主人公の人柄にぴったりの
堺さんほか、どの登場人物もナイスキャスティング。
お駒さんもさることながら、松阪慶子さんのお母様の可愛らしさ、
草笛光子さんのおばばさまの典雅さにはうっとり。
品位ある作品だと思う。

6.人間失格
http://www.ns-movie.jp/
これはかなり私好みの世界。
レトロモダンの雰囲気濃厚な大楠道代さんの登場からして、
永遠の傑作『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)へのオマージュふう。
と思ったら監督は『ツィゴイネル〜』のプロデューサー荒戸源次郎さんか。
なるほど。ならばこの味わいも納得。
太宰自身を投影した役など、役者によっては目も当てられないものになろうが、
生田斗真くんは予想外に良くて、無垢な感じが際立っていた。
彼をめぐる女優陣もメリハリがきいていて皆素敵。
これはある意味、源氏物語のようなものかもしれない。
母親世代の三田佳子さんの濡れ場には圧倒された。
ここに至って彼は胎児に戻っているような印象。
彼を堕とすメフィストフェレスのような役どころの伊勢谷友介くんも、
詩人中原中也を演じた森田剛くんも見応えがあった。

7.ゴールデンスランバー
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1407372928&owner_id=949383
話題となった作品で、堺さんも他キャストも良いし、
よく作られてはいると思うけれど、何故順位がこのあたりかというと、
この免罪の筋書きの恐ろしさに、生理的な拒絶反応があるからだ。
私にはこのラストはちょっと受け入れがたいので。
それにしても濱田岳くんの味わいは捨てがたいなあ。

8.必死剣鳥刺し
http://www.torisashi.com/
気合いの入った大人の時代劇。
あえて説明を排し、ぴんと張りつめた空気の中で、
終盤一気に残酷な最期に持っていくところが心にくい。
こころのうちを語らない寡黙で律義な武士を演ずる豊川悦司さん、
腹の据わった存在感で素晴らしい!
いつの間にこんな渋い役者さんになったんだろうと驚く。
彼を慕う、亡き妻の姪を演じる池脇千鶴も、
きっちり武家の娘の心構えを感じさせて良い。
一見報われぬ運命のようであっても、きちんと自分の気持ちを伝え、
意志を通している彼女の姿に一筋の光明を見る思い。

9.悪人
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1597205388&owner_id=949383
原作に比べるとやはり説明不足で弱いとは思うけれど、
逃避行の果てに辿りつく燈台の風景はうつくしかった。
妻夫木くんは悪人には見えないけれど、
もともと主人公は悪人とは言えないし、良かったと思う。
深津絵里さんの役への打ち込み方は圧巻。女優冥利に尽きる役だろう。
憎まれ役の岡田将生くん、満島ひかりさんの潔いほどの演技にも拍手。
個人的には永山絢斗くんの清潔感に一番心惹かれた。

10.オカンの嫁入り
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1599611245&owner_id=949383&org_id=1599222044
芸達者たちのやりとりで笑ったり、ちょっとほろりとさせられたり、
ふんわりやわらかい雰囲気でまとめられた家族ドラマの佳品。
観終わったあとの後味がとても良かった。ほっとさせられる。

外国映画)
観た本数が少ないせいで、ほとんど取捨選択の余地がなかった。

1.瞳の奥の秘密
2.冬の小鳥
3.闇の列車、光の旅
4.ラブリー・ボーン
5.私の中のあなた
6.コララインとボタンの魔女
7.カールじいさんの空飛ぶ家
8.抱擁のかけら
9.アリス・イン・ワンダーランド
10.海角七号

1.瞳の奥の秘密
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1599222044&owner_id=949383
はらはらどきどきして物語に翻弄されるのは映画の醍醐味。
久々にそういう感覚に身を委ねられる作品を観た気がする。
主役の二人があたたかな人間味を感じさせて魅力的。

2.冬の小鳥
http://www.fuyunokotori.com/
大好きな父に捨てられ、カトリック系の児童養護施設に入れられて
心を閉ざしてしまう少女ジニの物語。
監督自身こういう施設に育って養女となった実体験に基づいているとのことで、
非常にリアリティがある。
このちいさな少女の戸惑い、意地、父への思慕。
決してお涙頂戴ではなく、淡々と綴られてゆくだけになお切ない。
友達となる年上のスッキや寮母の描き方にもうなった。透徹した描写力!
捨てられてから笑わなくなってしまったジニの瞳の哀しさ。
連れて行かれた教会のミサでの神父の説教をじっと聞いている場面には震えた。
「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」という十字架の上でのイエスの言葉の意味。
「父よ、父よ、何故私をお見捨てになったのですか」ああ…
静かで見事な作品。

3.闇の列車、光の旅
http://www.yami-hikari.com/
まるでドキュメンタリーを見ているような感覚だった。
ざらっとした、荒々しい現実の肌触り。
見知らぬ世界に放り出されて右も左も分らず、
我が身を守ってくれるものもないのだ。
彼らがこの苦難から逃れる道はないのだろうか。
最後の悲劇に突き進むまで、ゆるみひとつない厳しさ。
ただ息を詰めて見つめているしかない。

4.ラブリー・ボーン
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1407609139&owner_id=949383
ピーター・ジャクソン監督の、少女を主人公にしたファンタジーとくれば、
大傑作『乙女の祈り』(1994年)を主出さずにはいられない。
やはり異世界の壮大なイメージの広がりは圧巻だったけれど、
殺害される少女があまりに痛ましく、目を塞ぎたくなった分、
私のなかで順位が下がってしまった。

5.私の中のあなた
http://watashino.gaga.ne.jp/
これは2009年公開作品なので、本来なら去年のベストテン対象なのだが、
私が観たのは今年になってからの名画座上映だし、
洋画は観た本数が足りないのでご容赦を。
白血病の姉のドナーとなることを期待され、遺伝子操作によって生まれた妹が、
臓器提供を拒んで両親を提訴するという重い内容だけれど、
さまざまなことを考えさせられる深い作品だった。
死にゆく姉のこの世ならぬ雰囲気や、いらだちや不安、衰弱ぶりなど、
これまたドキュメンタリーのようで生々しい。
ある意味常軌を逸しているような母親の頑張りぶりといい、
やはり闘病ものの『ロレンツォのオイル』(1992年)をも思い出した。

6.コララインとボタンの魔女
http://coraline.gaga.ne.jp/
人形とは思えないほどの表情の細やかさ豊かさ!
さすが『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリック監督。
どれほどの手間がかけられたのかと思うと、頭がくらくらするけれど、
悪夢の世界の空恐ろしさがまざまざと迫ってきて圧巻の一言。
ストップモーションアニメはここまで来たんだなあ。絶品。

7.カールじいさんの空飛ぶ家
http://disney-studio.jp/disney/special/carl-gsan/
これも2009年度作品を一年遅れで名画座で観た。
評判はじゅうぶん聞いていたけれど、やはりあちこちでじんとさせられる。
ことに冒頭の、カールと妻とのこれまでを描く場面は、
短いながらしみじみとして心に染みた。
絵本の『ちいさなおうち』を思わせる家や、
『天空の城ラピュタ』を彷彿とさせる大冒険など、見どころ満載で楽しい。

8.抱擁のかけら
http://www.houyou-movie.com/
これはもう、ヒロインのペネロベ・クロスの魅力に尽きる。
それと同時に、映画を深く愛し、その魅力を知りぬいている
アルモドバル監督のお手並みに惚れ惚れと眺め入るのみ。

9.アリス・イン・ワンダーランド
http://disney-studio.jp/disney/special/alice/
アリスのお話は好きなのだけど、これはちょっとのれなかった。
これでもかこれでもかとやりすぎるものとは、相性が悪いのかもしれない。

10.海角七号
http://www.kaikaku7.jp/
日本と台湾をめぐる話、それも戦後すぐの悲恋が関わっているのだから、
ホウ・シャオシェン監督の『非情城市』(1989年)の大ファンである私には、
もっと惹かれてもよい素材だったのだけれど、
いかんせん現代の若者のドタバタハチャメチャぶりのみが目について、
あまりにご都合主義なんじゃないかと唖然。
もうちょっとしっとりしてくれると良かったんですけどねぇ…
気持ちが入らずに終わってしまった。
(というのに10位にあげたのは、観た本数が少ないせいで、
いっぱいいっぱいだから)
--------------------------------
<その他に観た映画>
・彼岸島 (新宿バルト9)1月9日(土)
http://wwws.warnerbros.co.jp/higanjima/
私にとってこの映画は雅の映像美のみで、他に観るべきところはない。
映画というより雅鑑賞の感想や考察の記事を付しておく。
・Photogenic(フォトジェニック)山本耕史 2009年12月21日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1368423352&owner_id=949383
・映画『彼岸島』の雅(みやび) 2009年12月23日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1370232177&owner_id=949383
・雅の衣装展示 2010年01月05日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1382128689&owner_id=949383
・雅観音 2010年01月12日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1386912334&owner_id=949383

・さらば、わが愛(早稲田松竹)1月15日(金)
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2010/meilanfang.html#haou
何公開当時からもう17年もたってしまったのか。何度見ても圧倒される。
けざやかにドラマティックで、傷ましさすらもケレン味たっぷり。
主演のレスリー・チャンの自殺のことを思うと胸が痛むけれど、
この作品の繊細な演技は本当に素晴らしかった。
シネマ歌舞伎『牡丹亭』で、玉三郎さんが、親交のあった彼の言葉を紹介していた。
「役者はたくさんの花を持っているけれど、花の数だけ苦しみもある」と。

激動の中国の歴史に翻弄される役者たち。
清朝、日本軍支配、国民党、共産党と、
激しく移り変わってゆく中国の支配者たちにつれて、
劇場に掲げられた旗が変わってゆくのが象徴的。

・花の生涯 梅欄芳(早稲田松竹)1月15日(金)
http://meilanfang.kadokawa-ent.jp/
伝説的な女形の伝記だけに、ケレン味は抑えられているように感じた。
壮年期を演じた黎明(レオン・ライ)の穏やかさは、
実在の梅蘭芳の人柄を思わせて好もしかったが、
青年期を演じた余少群(ユィ・シャオチュン)の、
くっきりと艶やかな美貌に目を見張った。
ちょっと松本潤くんに似た顔立ちだなあと思う。
まことに花が咲きそめるような笑顔で素敵。

・ドゥーニャとデイジー (ギンレイホール)1月30日(土)
http://www.ginreihall.com/schedule/schedule_100123.html
辛抱強いモロッコ娘ドゥーニャと奔放なオランダ娘デイジーの、
破天荒な友情物語。でもちょっとのれなかった。
やっぱりデイジーが身勝手に思えて苦手。

・ドキュメンタリー『三里塚・辺田部落』(武蔵大学)3月20日(土)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1449234397&owner_id=949383

・獄に咲く花(スバル座) 5月5日(水)
http://www.hitoya.com/
長州藩士分のための獄舎・野山獄につながれた女囚・高須久と、
ここに入れられた吉田松陰(虎次郎)との交流を描いた作品。
『長州ファイブ』を制作したグローカル・ピクチャーズ制作の第二弾。
二人の関わりは史実に基づいているという。

場面はほとんど獄のなかに限定され、そのなかでの台詞のやりとりなので、
なんとなく舞台劇を見ているような気がした。
色合いは銀残しのようで、モノクロと見紛うほど渋いトーン。
久役の近衛はなさんのひっそりした佇まい、
吉田虎次郎役・前田倫良さんのひたすら純粋な覇気、ともに良かった。
それにしても幕末の偉人たちは、本当にまだまだ若くひたむきだったことを思う。

・トロッコ(シネスイッチ銀座)5月28日(金)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1501529003&owner_id=949383

・座頭市 THE LAST(池袋HUMAX)5月29日(土)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1501061627&owner_id=949383

・ニューヨーク、アイラブユー(ギンレイホール)7月4日(日)
http://www.ny-love.jp/
各エピソードをさまざまな監督が演出して、人種のるつぼニューヨークらしい作品。
わが日本の代表・岩井俊二監督の演出部分は洒落ていて印象的だった。

・四季〜ユートピアノ 佐々木昭一郎というジャンル(ユーロスペース)
7月30日(金)
http://fumibako.blog54.fc2.com/blog-entry-48.html

・記録映画「昭和の家事」(大田区鵜の木特別出張所)8月8日(日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1556579751&owner_id=949383

・バッタ君 町へ行く(早稲田松竹)8月20日(金)
http://www.ghibli-museum.jp/batta/
フライシャーの傑作は今見てもちっとも古びていない。
とてもデリケートでチャーミング。古き良きアメリカを感じる。
小さな虫たちが見上げる人間の世界。アリエッティを連想させられた。

・ドキュメンタリー「三里塚シリーズ」連続上映会(武蔵大学)
9月11日〜12日(土日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1585496602&owner_id=949383

・追悼上映会『川本喜八郎/人形と生きる』他(杉並公会堂)10月16日(土)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1603805680&owner_id=949383

・大奥(池袋シネマサンシャイン) 11月3日(水)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1617009116&owner_id=949383

・マザーウォーター(シネスイッチ銀座) 11月12日(金)
http://www.motherwater-movie.com/#/mokuji
『かもめ食堂』から始まった、
もたいさんや小林聡美さんたちが暮らす不思議に世離れした世界は、
監督が変わってもまるで同じような雰囲気で、
ゆったりと水のように流れてゆく。
今回は小泉今日子さんや、このところ注目している若き永山絢斗くんも、
すんなりとこの世界に溶け込んでとても素敵。
映画というよりヒーリングミュージックのような作品。

・信さん〜炭鉱町のセレナーデ(銀座シネパトス)11月28日(日)
http://shinsan-movies.com/
昭和30年〜40年代の炭鉱の町の人情物という設定は、
本当なら興味深いところなのだが、どうも底が浅くて嘘っぽい。
どうしても記号、段取り、絵空事になってしまう。
平山監督作品は『愛を乞うひと』や『必死剣鳥刺し』などには、
感服したものだけれど、これにはのれなかった。
もっとうまく騙して欲しい。

・最後の忠臣蔵(よみうりホール)12月4日(土)
http://wwws.warnerbros.co.jp/chushingura/
友人のおかげで、時代劇チャンネルファン感謝祭の試写会にて鑑賞。
原作とはまったく視点を異にしている。
脚本が田中陽造氏という時点で、もう狙いが全然違うだろう。
このひとはいつも男と女の情念を芯に、妖しい世界を描くひとだもの。
曽根崎心中とリンクさせてしまっては違うと思うし、
原作にはないおゆうさまの誘いも邪魔というか、全然いらない。
どうも重く、くどく、入り込めなかった。
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