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2010年09月19日07:04

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「三里塚映画」連続上映会

先週の土日は小川プロダクション制作の「三里塚映画」連続上映会(無料)があり、
二日間とも通って、全6本を見た。(於:武蔵大学8504教室)
三里塚シリーズは全部で7本撮影されていて、
今回の上映は、ニュース的に急いで作られたという1本を除いた6本。
制作順に上映されていくので、その全容がよく分った。

作品はすべてフィルム。
2時間を超える作品の場合、途中で2回ロールを入れ替える。
鑑賞時間はのべ14時間!
いや、鑑賞というよりこれは体験時間だ。
自分も立ち合っているような貴重な体験。
ただ、最初は考えが足りず、一番激しくぶつかりあう闘争最初だというのに、
スクリーンの真ん前に陣取って喰いついていたら、
激しく動く手持ちカメラに、ものの見事に映像酔いを起こしてしまった。
反省して、以後はスクリーンから遠ざかり事なきを得る。

・9月11日
『日本解放戦線・三里塚の夏』(1968年 108分 モノクロ)12時半〜
『日本解放戦線・三里塚』 (1970年141分 カラー) 14時30分〜
『三里塚・第二砦の人々』(1971年 143分 モノクロ) 17時05分〜

・9月12日
『三里塚・岩山に鉄塔が出来た』(1972年 85分 モノクロ)12時半〜
『三里塚・辺田部落』(1973年 146分 モノクロ) 14時05分〜
『三里塚・五月の空 里のかよい路』(1977年 81分 カラー) 16時50分〜

武蔵大学は小川紳介+小川プロダクション制作の映画16作品を所蔵していて、
3月にも同じ教室で上映会があり、その時は『三里塚・辺田部落』のみ鑑賞。
小川監督のドキュメンタリー映画は、その名声のみ知っていたけれど、
ちゃんと観たのはこの時が初めてで圧倒された。
観る前は、有名な成田空港反対闘争の記録ということで少し構えていたのだが、
むしろ村の人々の豊饒な生活感を写し出す姿勢に魅せられてしまったのだ。

『辺田部落』には字幕が入るし、時に監督のコメントも流れて分りやすい。
村の人たちにもすっかり共感し、今回初めて観る先行作品でも、
あ、あのおばさんがいる、と顔見知りの親しみを感じた。
それまでのシリーズの到達点とも言えるこの作品を先に見ていて良かったと思う。

全体を通して思うことは、本当にたくましく野趣あふれる農村の人々の存在感と、
表情も動かず「顔」が見えない壁のような機動隊の非人間的な怖さ。
ゴークルに守られた、死んだような目。
まるで害虫でも駆除してゆくような、人を人とも思わないようなその非道ぶり。
彼らに踏みにじられたスイカの果肉がぱっくりと開いている無残。
頭を割られて殺されたひとを見るよう。
苦労して耕した土を、丹精込めて育てた作物をめちゃめちゃにされる農民。
憤りがこみあげてくる。
力ずく、権力ずくで自らの生活を奪われる理不尽さ。
私だってここにいたら戦っただろう。

でもこれら作品は決して辛さを突きつけるばかり記録ではない。
闘争の緊迫感、躍動感だけではなく、したたかでたくましくて、
まっすぐな村人たちの魅力、映画的な魅力にあふれている。
この地を開拓したものの誇りと意地。身体を張った凄み。
支援学生たちを「本当に格好(だけ)だよ!」と叱咤し、
「ここで負けたらしょんめえ(しょうがない)」という、おばさんの強さ。
その性根の座り方に圧倒される。
緊急事態に駆けつける時でさえ、
その炊き出しのおにぎりや蒸し菓子のようなおやつの美味しそうなこと!
それをちゃんととらえるカメラの視点も含めてうなってしまう。

モノクロのイメージが強かったので、
二作目と最後の作品がカラーだったのは意外だった。
闘争のさなかでも、まだ田んぼはあり、自然の暮らしもある。
ところどころ挿入される、まだ透き通るようなカマキリやヒメジョオン、
小鳥の声などは詩情にあふれて心に残る。
心に残る台詞もいくつもあった。
映画としての骨太さと繊細さ。
また小川プロの上映会があれば、是非足を運びたい。
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