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2020年01月10日11:06

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book『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ)

チョ・ナムジュ著『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)を読んだ。韓国で100万部突破したベストセラーで、日本で翻訳されて評判の小説だ。(奥付に初版12刷とある。)台湾でもベストセラーとなり、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、スペインなどで翻訳予定とのことだ。ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのような症状が現れたキム・ジヨン。彼女の誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児などの人生をたどる。小説は精神科医のカルテとして展開される。この小説の背景として、韓国社会の過去と現在の女性差別が重層的に描かれる。それは従来の韓国社会の男尊女卑の女性差別、資本主義社会の苛烈な競争とそれに対しての女性の権利獲得闘争の成果への反発が引き起こしたミソロジー(ヘイトクライムとしての女性差別)との両面である。「キム・ジヨン」という名前は韓国の1982年生まれの女性に一番多い名前だそうだ。この名前を持った普通の女性が韓国現代社会のなかで生きる苦労(経済的・社会・精神的)を表現した小説であり、日本の現在とも通底する問題提起の本で、非常に興味深かった。
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