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2018年08月19日11:48

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book『ムッソリーニを逮捕せよ』(木村裕主)

木村裕主著『ムッソリーニを逮捕せよ』(講談社文庫)を読んだ。この本は井上章一さんの『日本の醜さについて/都市とエゴイズム』(幻冬舎新書)で知り、アマゾンで買って読んだ。この本は「第二次世界大戦中、『イタリアとその国民にとって、この戦争は何の意味もない。不幸をもたらすだけだ。やめた方がよい。』と休戦実現に貢献したイタリア軍参謀本部の若き将軍の行動についてのドキュメント」(「序章」)である。イタリアでの休戦実現の行動は、日本政府と軍部の行動と対比したとき、まさに真逆の行動であり、歴史である。著者はそのあざやかな対照にカルチャーショックを受けたという。とりわけ日本的常識では、到底考えられない二つの理由からである。「イタリア休戦は、シチリア占領の連合軍司令部の天幕の中で、本書の主人公イタリア参謀本部のジュゼッペ・カステッラーノ准将と連合軍司令部との間で調印された。当時シチリアは、太平洋戦線でいえば沖縄で、そこに東京の参謀本部から高官が赴いたに等しい。ではそのカステッラーノ将軍は、どのようにしてシチリアの敵陣に入ったのかかが第一。第二は将軍一人でやれるわけわなく、どのような人物群が、いつから計画し、それをどのように実行に移したのか。」(「序章」)である。この追究を中核に、前段のムッソリーニ逮捕から、後段の休戦締結時の連合軍との約束(ローマへの連合軍の落下傘部隊のドイツ軍への降下攻撃)がイタリア政府と軍部の裏切りによって破られたことの真相究明とがこの本では描かれ、迫真のドキュメンタリーであった。この後、著者の後編である『誰がムッソリーニを処刑したか』(講談社)を読む予定だ。
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