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2016年07月10日12:56

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book『連綿 離別草子』(大森龍三)

大森龍三著『連綿 離別草子』(自家製本)を読んだ。大森さんからいただいた本だ。大森さんは僕の中学生の時の先生だった。(ただ私は直接教わってはいない。)当時の戦没者遺児の靖国神社参拝についてお聞きするために昨年お会いした。ご年齢は90歳で、この本は大森さんの回想録である。生い立ちから戦争体験、「同和教育」(部落解放教育)創成期の話、教員生活での「たたかい」、強い影響を受けた「恩師」のこと、茶道論等非常に興味深いものだった。大森さんの戦争体験については別の所で書いたので、ここでは「同和教育」創成期についての感想を書く。大森さんが教員として部落と出会われたのは1958年で、部落については何も知らなかった。しかし、学校で地域担当を決める会議で担当に立候補した。その時の考えを次のように書く。「むずかしい地域こそ人としての
本当の願いがあるのではないか。『生きて行くことの真の願いが、その人たちにこそあるのではないか・・。』そして部落の子供会、地域の活動に没入されていく。後年、その実践を『地域ぐるみの同和教育』(部落問題研究所)としてまとめられる。その本を敬愛する京都在住の画家の先生に届けたとき、「先生は黙って件の本を掘炬燵の上に置かれた。こんな本はもらえないのでお前に返すという
意味に私にはとれた。先生の表情がそのように語っていた。」その後のやりとりで敢然と「先生」の差別意識を非難する。その所にこの本に全体に貫かれている大森さんの「強い意志」の一端を見た思いがした。大森さんはこの自家製本からいずれは自費出版本にして親しい人に分けたいと考えられている。実に中味の濃い、充実した回想録なので、実現したらいいなと思う。
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