中澤晶子・作(ささめやゆき・絵)『こぶたものがたり』(岩崎書店)を読んだ。チェルノブイリの少女ターニャと牧場のこぶたの「まるまる」、福島の少女なつことこぶたの「まるまる」、ふたりはこぶたをかわいがっていたが、原発事故で置き去りにしなければならなかった。「わすれないでください」と訴えるこぶたの物語は、チェルノブイリとフクシマとを結んで、大きな課題を浮かび上がらせる。中澤さんの本文と結びついた、ささめやゆきさんの絵が独特の響きと輝きを与える。じつに深い印象を与える本だった。中澤さんがヒロシマの地で考え続けておられる「ひとのありかた」について思いをはせながら読み終わった。中澤さんの『あした晴れた空の下で ぼくたちのチェルノブイリ』(汐文社)、『3+6の夏 ひろしま、あの子はだあれ』(毎日新聞社)とあわせて読まれるといい。
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