モハメド・アリとアントニオ猪木の20世紀最大のスーパーファイト「格闘技世界一決定戦」3日前の76年6月23日、午後7時30分より「水曜スペシャル」において新宿・京王プラザホテルから生中継で前夜祭(前夜ではないが)及びディナーパーティーの模様が90分枠で放送されました。
この時は一般の観客も会場で見ることが出来、50,000円のパーティーチケットが完売になりました。
カーキ色のシャツとジーンズでお洒落に決めたアリに対し、猪木は交流のあった俳優の石坂浩二氏がデザインした背中に鳳凰をあしらった鮮やかなブルーのガウン姿で登場、臨戦体勢でパーティーに臨みました。
なお、二科展に度々入選している石坂氏はアリvs猪木戦の興行ポスターのイラストとデザインを担当。大宇宙の星空をバックにアリと猪木の横向きの顔の下に両者の拳が交錯する秀逸な作品でした。
アリvs猪木戦の興行用ポスターは私の知る限りでは石坂氏デザインのものも含めて3種類存在します。
一つは新日本プロレスが制作したもので黄色いバックに武道館の建物写真を中央にモノクロのアリと猪木が対峙しているもの。
もう一つは大会の主催者に名を連ねている東スポ制作によるもので白地のバックに猪木とアリの顔のどアップ写真で3つとも甲乙丙はつけ難いです。
しかし、石坂氏のタレントとしてのネームバリューを勘案すれば石坂氏デザインのものが一歩抜きん出るかと思います。
さて、アリ側の度重なるルール改訂の要求に対し猪木は初めて公の場でその苦しい胸の内をぶちまけています。
「ルールについて、全てアリ側の条件を飲んで参りました。何故か?私はこの試合をどうしても実現致したく、今日まで耐えに耐えて来た訳です。」
ここで客席から拍手が沸き起こりました。
猪木は続けます。「ドロップキックは使わないでくれ、空手チョップは使わないでくれ、それから寝てから殴らないでくれ」
猪木のアピールは同時通訳でアリの耳にリアルタイムで入って来ます。怒り出すアリ。
猪木は「ルール面は全て譲歩した。ならばこちらのいい分も聞いてもらいたい。双方のファイトマネーを賭けて、勝った方が全部取る、ということにしないか!?アリよ、私に勝てる自信があるなら受けて立て。」
とウィナーテイクオールをアリに公開場で迫りました。
さすがにこの時は「どーですか!お客さん!」とはまだ言ってませんが今までの鬱憤を晴らさんとばかり猪木はエキサイトしてまくし立てました。
アリは「やってやる!」て売り言葉に買い言葉でこれを応諾。
ガチンコか?テレビ生中継という逃げ場のないところでの猪木の心理戦か?いずれにしろ番組内で「勝った方がファイトマネー総取り」という話が決まり、全国のテレビ視聴者はこれを目の当たりにすることになった訳です。
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