(前回より続く)
竹内宏介「そろそろ時間も遅くなって来たので最後の本題に入ろうと思いますが、今でも猪木選手への『再挑戦』への意思に変わりはない?」
ストロング小林「もちろんです。何の為に僕がアメリカで血みどろの努力を続けているのか?その答えは『打倒・猪木』以外の何物でもありません。猪木さんに実力日本一の看板をおろさせるまではトコトン戦い抜く覚悟です。」
竹内「具体的に再挑戦の時期などは考えている?」
小林「日本では色々、噂されているようですが、再挑戦問題に関しては現時点では白紙です。猪木さんに勝てる自信さえ付けば明日にでも帰って挑戦状を叩きつけます。
その自信が付く日が明日になるか10年後になるか…それは今後の僕自身の大きな課題だと思います。」
竹内「最後に日本全国の小林ファンに一言。」
小林「3月19日に蔵前国技館で飲んだ無念の涙を勝利の涙に変える自信が付くまでは小林は帰りません。しかし、その日に向かって全力投球致します。」
WWWF地区でヒール修行を積み、精神的に逞しくなって来ているのが感じ取れるインタビューになっています。猪木への再挑戦の時期に関してははぐらかしたような応答をしていますが、おそらくこの時点で年末に再戦ということは決まっていたでしょう。
小林の今回の修行の最大のビッグマッチと言えば、9月21日(現地時間)ペンシルバニア州フィラデルフィア・スペクトラムアリーナでの「人間発電所」ブルーノ・サンマルチノの保持するWWWFヘビー級王座への挑戦です。
サンマルチノのWWWFヘビー級王座に挑戦した日本人はこれまで64年2月17日ニューヨークMSGでの馬場以来10年ぶり2人目。
館内は10,600人の大観衆で満員。小林はアルバーノに先導されての登場、早くも大ブーイングの嵐。アルバーノの嫌われっぷりも凄い。続いてサンマルチノがベルトを巻いて入場、上のコスチュームはなし。鍛え抜かれた丸太のようなナチュラルなボディがコスチュームそのもの。
観客は「ゴー、ゴー、ブルーノ!」の大合唱、試合開始のゴング。小林は先手を取り、アームロックからロープに詰めてのエルボースマッシュ、サンマルチノもニースタンプで反撃しボディスラム。
小林は体勢を整えてからサンマルチノの胸板にパンチを放ってから場外に落として、自分も追いかけていき場外で倒れたサンマルチノにニードロップの嵐。セコンドのアルバーノが「もっとやれ!」とけしかけていきました。
リング内での攻防、サンマルチノはベアハッグ。小林もベアハッグは得意とするところですが、こちらは世界レベルのベアハッグ。残念ながら、上腕二頭筋はサンマルチノの方が断然太いです。小林はもがき苦しみながらも強引に隙間から腕をこじ入れてベアハッグのお返し。
自分の得意とするベアハッグのお返しをされるとはサンマルチノは予想もしていなかったか、小林の絞め上げにガクッと腰が崩れました。まさに「サバ折り」です。両者もつれてロープへ、レフェリーはブレイクを命じましたが、離れ際、小林は反則の急所攻撃、下腹部を押さえて「反則だっ!」アピールするサンマルチノ、小林は両手を広げて「ボディへのキックだ」と受け流します。
館内の観客から罵声が飛び交う、小林はふてぶてしいヒールに成長していました。怒ったサンマルチノはパンチの連打、小林がのけぞったところサンマルチノは再度ベアハッグから一気にカナディアン・バックブリーカーに担ぎ上げました。足をバタつかせる小林、肩の上で小林が暴れた為、サンマルチノはバランスを崩しロープブレイク。小林はロープに救われました。
サンマルチノが勝負に出ました。ボディスラムの連発、小林がヨロヨロと立ち上がったところへバックドロップ気味に投げ捨てました。アルバーノが近寄ってきて劣勢の小林に何やらアドバイス、小林は下からサンマルチノのボディにパンチを放ってからまたも場外に落としました。
攻守逆転し今度は小林がサンマルチノが上がってきたところをボディスラムからカナディアン・バックブリーカー狙い。しかしこれはサンマルチノがプライドにかけて担がせない。腰を落として耐え、ベアハッグで反撃。ポジションが悪い。ロープ際、もつれて両者場外に転落。
アルバーノが椅子を持って「小林、これで殴れっ!」と指示、小林は椅子をアルバーノから受け取ってサンマルチノを殴りつける。この小林の反則暴走にリングサイドにいた観客30〜40人が「小林を止めろ!」乱闘に割って入るという事態に。そこは機転を効かせたサンマルチノがリング内に入り、上がってきた小林の持っていた椅子を奪い取って脳天を一撃。ダウンする小林。
なおもリング上で乱闘を繰り広げるサンマルチノと小林。エキサイトした観客がモノをリング内に投げ入れて収拾がつかない状態になり、レフェリーのディック・ホールは試合ストップのゴングを要請、34分50秒、レフェリーストップによる引き分けに終わっています。
というのが、日本の「月刊プロレス」、「別冊ゴング」74年11月号に掲載されている試合レポートを両誌から抜粋したもの。海外サイトのデータベースは小林の負けとなっています。私はサンマルチノと互角の引き分けというのは日本向けに作られたストーリーであり、小林は負けたと言うのが実際のところではないか、と思います。
ログインしてコメントを確認・投稿する