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2025年10月07日07:10

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【特別編】マイティ井上さん追悼(116)

全日本プロレス86年「サマー・アクション・シリーズ」最終戦、7月31日木曜日、両国国技館(テレビ収録、観衆11,000人満員発表)大会。この日は前回6月12日日本武道館大会の4大スペシャルマッチを上回る「5大スペシャルマッチ」が開催されました。私はこの興行は途中から会場観戦しています。

メインイベントはAWA世界ヘビー級王者、スタン・ハンセンとインターナショナル・ヘビー級王者、ジャンボ鶴田によるダブル・タイトルマッチ。前回の日本武道館大会では後ろから4番目、タイガー・ジェット・シンとのノンタイトル戦という屈辱(本人はそう思ってはいないかと…)的なマッチメイクだった鶴田は今回は堂々の大トリを務めました。

ハンセンは7月26日金沢・石川県産業展示館で天龍を相手に両者リングアウトで王座を守っており、勝敗はどうあれ、鶴田を相手にベルトを守って、王者のまま帰国し、来日前に浮上したベルト剥奪問題に決着をつけたいところ。

試合はそんなハンセンの執念が鶴田を上回りました。場外乱闘からリング内に先にカムバックした鶴田はエプロンに上がって来たハンセンにロープ越しのブレーンバスター、しかしこれはハンセンが身体を反転させて滑り降り、鶴田のバックに回って、鶴田のボディをロープに押し付けての後方回転エビ固め。16分27秒、ハンセンがまさかの丸め込みによるフォール勝ちでAWA世界ヘビー級王座を防衛すると同時にインターナショナル・ヘビー級王座も獲得しています。

鶴田は83年7月26日福岡スポーツセンターでタイガー・ジェット・シン&上田馬之助組にリングアウト負けし、馬場と組んで保持していたインターナショナル・タッグ王座から転落、この時はブルーザー・ブロディが保持していたインターナショナル・ヘビー級王座奪取に専念したいとUNヘビー級王座を返上していましたので、それ以来、実に3年ぶりの「完全無冠」となってしまいました。

83年の時は6日後の8月1日後楽園ホールで馬場&鶴田組はシン&上田組にリングアウト勝ちでインターナショナル・タッグ王座のベルトを奪回しており、短期間で返り咲いていますが、今回はシリーズ最終戦、リターンマッチのチャンスは直ぐにはなく、ハンセンが次に来日する次期「サマー・アクション・シリーズ2」まで待たなくてはなりません。

結果、AWA世界ヘビー級、インターナショナル・ヘビー級の二冠王者となったハンセンですが、帰国後はAWAのベルトは返上しています。全日本プロレスと年間契約をしているハンセンはバーン・ガニアが望むようなAWA世界ヘビー級王者としてのサーキットをこなすことが出来ず、AWA世界王者になったのも馬場の意向だったと言え、(対WWFでNWAジム・クロケット派とガニアの仲介役になった)全日本プロレスのスケジュール最優先にしていたのでやむを得なかったと思います。

おそらく、馬場はハンセンが来日前にベルトを剥奪されていたのは十分承知の上で、ハンセンを王者としてベルトを持たせて招聘(ベルトは同じレプリカが複数ある)、日本国内での話だからとガニアを承服させてタイトルマッチを開催、帰国後、ハンセンがベルトをガニアに返さざるを得ないことを見越して、ハンセンにインターナショナル・ヘビー級のベルトを与えた、と思われます。鶴田はそのとばっちりを食らったことになりました。

セミファイナルは長州力とキラー・カーンの時間無制限1本勝負。当初、この試合はKカーンが長州のPWFヘビー級王座に挑戦する予定でしたが、Kカーンが「長州のベルトなんか要らない」とタイトル挑戦を拒否。

奇しくも1年前、85年6月21日日本武道館大会で長州が天龍のUNヘビー級王座に挑戦すると発表されていながら、当日試合前に長州が天龍のベルトを投げつけて「ベルト要らない」アピールをし、急遽ノンタイトル戦となったという、今回は当日ではありませんでしたが、長州は因果応報で同じことをKカーンにされてしまったことになりました。

長州はKカーンの140kgの巨体に鮮やかな捻りを加えたバックドロップ2連発からフォールの体勢へ。カウント2で返したKカーン。長州は間髪入れず自らロープに飛んでのリキラリアット、さらにとどめとばかりもう一発リキラリアットを叩き込んでからフォールの体勢へ。さしものKカーンもこれは返すことが出来ず、16分51秒、体固めで長州の勝利。反則ではなくきちんと勝負がつきました。

セミ前に組まれたのは天龍源一郎に谷津嘉章が挑戦したUNヘビー級選手権試合。両者は5月10日千葉県松戸市運動公園体育館でのジャパンプロレス自主興行「4軍対抗チャンピオンズ・ナイト」でノンタイトルで対戦、スーパー・ストロング・マシンの乱入によりノーコンテストになっており、今回はベルトを賭けて両国の大舞台での決着戦。

天龍がコーナーに飛ばした谷津めがけて、対角線上を走っての強烈な串刺し式ラリアット、谷津はたまらず場外に転落してしまいましたが、ラリアットを打った天龍も勢い余って場外に転落、そのまま場外乱闘へ突入、天龍がリング内に戻ろうとしたところを谷津が足を引っ張ってリング生還を阻止。12分47秒、両者リングアウトとなりました。

両者のシングルマッチは3月13日日本武道館での全日本対ジャパン、全面対抗戦の30分時間切れ引き分けを入れると86年はこの時まで3戦していずれも決着つかずでした。天龍は2度目の王座防衛に成功しています。(この項続く)
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