他にも、本連載で採り上げられなかった事故としては中西学、本間朋晃、柴田勝頼他の事故がありますが、総論に入りたいと思います。
現状、今の日本プロレス界の状況においては事故はなくならないし、減少もしていかないというのが残念ながら本稿の結論になります。
原因は大きく分けて2つ。1つは今の新日本プロレスを始めとした大多数のプロレス団体の試合スタイルはドラゴンゲートによって確立された「進化を続けるハイフライムーブ」ジャパニーズ・ルチャです。
飯伏幸太、PAC、マット・サイダル(エヴァン・ボーン)、ウィル・オスプレイらによる空中戦の激化、これらの空中戦を試合の組み立ての中で1つか2つ出せばいい方ですが、途切れないようにのべつ幕なしに飛んでおり、フェニックス・スプラッシュなどは「何回転したか」が競われるのが通常に見られます。
これはプロレスだけにとどまらず、水泳の飛び込み競技がそうなっており、プロレスでは相手にダメージを与えてフィニッシュに持っていくかではなく、より高く飛んで、より多く回転することが主流に置かれてしまっています。
観客の要求も次第にエスカレートし、一回転位のフェニックスでは満足しない人が増えていくのは自然の理かと。
そこにはもはやレスリングではなく、飛び技を競い合うものが今の主流であり、今後もこの傾向は続くでしょう。
もう一つは故意に首や後頭部から落とすドライバー系の大技の激化。これまでも連載中に何度も書いて来ましたが、相手の両腕をロックした状態でコーナーポスト最上段から後頭部を叩きつける大技の連発では、いくら受け身の練習を積んだところで、それまでの激しい攻防で相手の意識が飛んでいたりすると肝心な時に満足な受け身が取れるとは限りません。
また、レスラーの体調管理面においても、いくら検査を義務付けたとしても、結局は自己申告制であり、例えば柴田のように新日本プロレスではダメでも他団体と契約すれば試合には出られる訳であって、みんな満身創痍に近い状態でリングに上がっており、これもザルみたいなものです。
ではどうしたらいいのか?
私はWWEのスタイルが一番事故が起きづらいだろうと思います。
このレスラーにはこのフィニッシュホールドと言うのが決められており、試合はフィニッシュにいくまでの過程で観客をハラハラさせる。決めさせる、決めさせないの攻防を見せて、最後フィニッシュが決まって観客がドッと沸く。
これが理想といえば理想。しかし日本で一撃必殺のフィニッシュで決めても、物足りない、つまらないと感じる観客が大多数ではないかと。
観客にも意識改革が必要です。今のままでいくとプロレスは「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」からの脱却は困難かというのを結論に連載を終了したいと思います。長い間お読み頂きありがとうございました。(完)
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