2014年7月12日WWE日本公演大阪・舞洲アリーナ(観衆6,048人発表)大会の第6試合でロブ・ヴァン・ダム(RVD)がセザーロ(クラウディオ・カスタニョーリ)にファイブスター・フロッグスプラッシュから体固めで勝利を収めた後、サプライズが待っていました。
リングに現れたハルク・ホーガンは「マイド、オーサカ!ハルク・ホーガンさん、イチバ〜ン!」と叫んだ後、「すべての日本のハルカマニアに『サンキュー・ソーマッチ』と言う」と礼を述べ、大阪での激闘を振り返った後で「すべてのWWEユニバースに伝える。ディーン・アンブローズ(ジョン・モクスリー)、セス・ロリンズ、ローマン・レインズ、RVD、そして、私のお気に入りのチャンピオンであるジョン・シナ。彼らにWWEの未来は懸かってる。そして、たった今、さらにWWEの未来がまた一人加わる。ここオーサカでまた新しい歴史が始まるのだ。今夜、メガ・メガ・ジャパニーズ・スーパースターがこれから、ここで契約書にサインする。さぁ、オーサカのみんなの前に出て来い、KENTA!」と呼び込みました。
入場ゲートからスーツ姿のKENTAが登場。会場を見渡し、深呼吸してから花道を歩み始めた。リングに上がると、ホーガンと握手を交わして頭を下げる。そしてジミー・ハートとも握手を交わしながら一礼。
「さぁ、ビジネスの時間だ」と、イスに座るよう促したホーガン。そして「新しい歴史が、今ここ、オーサカで記されるぞ」とKENTAと向かい合って着席。
KENTAはファイルに挟まれた「2014年7月12日」の日付が記された契約書に視線を落とすと、観客席から飛ぶ「KENTA!」の声がする方に視線を向ける。笑いをかみ殺したような表情でペンを走らせた。サインを終えると、契約書のファイルを閉じて、ホーガンに手渡しました。それを受け取ったホーガンは「よし、これでメガヒストリーが、このオーサカで始まるぞ。おめでとう、KENTA」との言葉を贈って立ち上がりました。
その後、当時の文部科学大臣兼教育再生担当大臣で2020年(コロナ禍で2021年に延期)に開催された東京オリンピック&パラリンピック担当大臣である下村博文議員からのメッセージが流され、ホーガンが「彼がKENTA、最も新しいWWEスーパースターだ!」と紹介し、ジミー・ハートと3人で並んでリング中央でアピール。ノアで一時代を築いたKENTAは最高のシチュエーションWWE入りを果たしています。
KENTAは2日後の7月14日都内で会見を開き、意気込みを語りました。
12日の大阪公演でホーガン、ジミー・ハートとアメリカプロレス界のレジェンドに囲まれて公開契約したことに、「非常に光栄で僕にとっても特別な瞬間だったが、同時にすごく緊張した」と振り返ったKENTA。WWEへの入団の経緯を聞かれると、「世界最高峰の団体で自分がどれだけできるかを試してみたい、挑戦してみたいという気持ちが出てきた」とコメント。
その裏側に「2000年にプロレスデビューしてからいろんなことがあって、一時プロレスを辞めたい気持ちがあって、そのときに見に行ったWWEで自分の世界観が広がった。それからいつか自分もこの中でやりたいという気持ちは常に持っていました」と同団体への思いがあったことを明かしています。
「自分の決めた道なので、本当に自分自身のベストを尽くして、精一杯やっていきたい」と覚悟を示したKENTA。どれだけの覚悟かはリングネームの件からも明らかだった。WWEは通例入団すると今までのリングネームから変更することが多いのだが、KENTAは「僕は健太(本名・小林健太)なので、KENTAで……僕は何でもやります。特にこだわりはないです」ときっぱり。さらに、「TOYOTAでもTANAKAでも何でも準備はできている」と言い切りました。
今後は16日の水曜日に渡米、フロリダ州にあるWWEの育成施設「パフォーマンスセンター」でトレーニングを積み、新人育成プログラムでもある「NXT」に参戦する。リング上で戦うまでのストーリーもきっちり作りこまれるWWEだが、英語は「ただ今猛勉強中」と苦笑い。プロレススタイルに関しては「今までノアで培ってきたものを大事にして、プラスアルファでWWEのスタイルにもうまくアジャストしていきたい」と、2000年デビュー以来身体に染み込んでいるノアのスタイルを生かしつつ、新しいKENTAを発掘するつもりだ。
GHCヘビー級王座を9連続防衛するなどノアのエースとして活躍したKENTAは、「ジョン・シナやレイ・ミステリオなど世界中に知られている選手がいっぱいいるトップの中に入っていき、タイトルを奪れるような選手になりたい」とWWEマットでも頂点を狙う決意を口にしました。
5月17日ノアのラストマッチとなった後楽園ホールでは2,000人のファンからKENTAコールが鳴り止まなかった。「ノアの最後の試合のときにすごく温かい声援で送り出してもらって、それは期待の裏返し以外のなにものでもないと思っている。そういった気持ちに少しでも応えたい」と日本のプロレスファンの思いを背負ってアメリカへ旅立ちます。
一方、ノアマットでは新GHCヘビー級王者・丸藤正道の防衛ロードが本格スタートしました。初防衛戦は7月21日博多スターレーン(観衆1,600人満員発表)大会では中嶋勝彦との「BRAVE同門対決」
「純粋にプロレスの凄さを伝えたい」。そう意気込んで臨んだ同門対決によるGHC王座戦。猛威を振るったのは生まれ故郷・福岡での初戴冠を目指す中嶋の方でした。
序盤から容赦ない蹴りをフル回転させ、丸藤の膝を徹底攻撃。丸藤の生命線でもある機動力を殺しました。苦境が続いた丸藤も、エプロンサイドでパイルドライバーを見舞って首攻めに転じたものの、完全に主導権を握るには至らない。
逆にヒザへの低空ドロップキックで再び丸藤の動きを止めた中嶋は、足4の字固め、監獄固めと徹底した足攻め。
丸藤の反撃を受けても不知火を踏ん張り、R-15や急角度バックドロップで一気呵成。丸藤も魔神風車式DDTを解禁して逆転を狙ったものの、止まらない中嶋は三角蹴りからのツイスターで攻めに攻めまくる。さらには強烈な串刺しトラースキックを顔面に叩き込むと丸藤はダウン。
王者丸藤も必死に立ち上がったものの、中嶋はトラースキック4連打で非情の追い討ち。視線をさまよわせる丸藤を雪崩式ブレーンバスターで投げ捨て、ランニングローキックからのツイスターの構え。どうにか丸藤も踏ん張ってトラースキックコンビネーションを浴びせたが、頼みの虎王は強烈なミドルキックで迎撃され、鳩尾を押さえて苦悶の声を上げます。
丸藤は続く急角度ジャーマン・スープレックスホールドを辛うじてキックアウト。ならばと中嶋は新兵器のダイヤモンドボムを狙ったものの、必死に着地した丸藤は、今度こその虎王をズバリと決めてみせました。なおも突っ込んでくる中嶋の顎に2発目の虎王をカウンターで当て、崩れ落ちた挑戦者を変型エメラルドフロウジョンで叩きつけて逆転3カウントを奪い、25分31秒、エビ固めで丸藤のフォール勝ち。
薄氷の初防衛に成功した丸藤は、ノーサイドで同門の相棒を起こすと、ともに最敬礼で握手。場内も激闘を称える温かな拍手に包まれました。丸藤は「まだまだ弱い」と実感しつつも「象徴を目指す」決意を深くしました。
8月24日の後楽園ホール(観衆1,680人満員発表)大会、メインイベントのGHCヘビー級選手権試合は、王者・丸藤正道が「超危暴軍」の首領・森嶋猛の挑戦を受けました。
王者にとって絶対的に不利な展開が続きました。森嶋は8月2日ディファ有明での復帰戦で丸藤からピンフォールを奪い取って完全復活を宣言すると、その後の前哨戦でもすべて丸藤からフォールを取る形で3連勝。この日も超危暴軍のセコンドも従え、4対1の勝負を仕掛けてきた。
対する丸藤のセコンドは小峠篤志ただ1人。やりたい放題、無法状態の超危暴軍は、刺股、竹刀、謎の石器などの凶器をフル動員し、リング上、場外で丸藤を急襲。さすまたのデッドリードライブで場外マットに打ち付けられ、森嶋の強烈なバックドロップで大ダメージを負った丸藤だが、雪崩式不知火、タイガーフロウジョンで森嶋の巨体をマットに突き刺すと、虎王二2連発でトドメを刺し、20分43秒、片エビ固めでフォール勝ち、2度目の防衛に成功。
これだけ超危暴軍にひどい目に遭わされた丸藤だが、試合直後にはさすまたを突き付けてきたマイバッハ谷口の無言のアピールを了承し、「まずはノアの中でオレがトップに立つ」と、次期挑戦者に指名。「タイトルマッチまでに力をつけて来い」と上から目線でチャンピオンの意地を見せ付けた。
M谷口はこの日のセミファイナルで「BRAVE」の中嶋とシングルマッチで対戦、マイバッハプレスで圧殺。背後からの奇襲攻撃で先制すると、刺股を使ったデッドリードライブや、豪快なマイバッハボム、マイバッハプレスの猛攻で3カウントを奪っており、あなどれない実力者。
丸藤は森嶋との激闘を振り返り、「意外と頭がいいな。アイツとは対角線上でいいからノアを盛り上げていきたい」と語った丸藤は、次のM谷口戦に向け「今まで以上にマイバッハの力を引き出した上で、勝つ!」と早くもV3を宣言しました。
9月23日新潟市体育館でノアと新潟大花火プロレスの合同興行「GREAT VOYAGE 2014 in NIIGATA〜大航海vs大花火〜」(観衆1,800人満員発表)が開催されています。
メインイベントでは、GHCヘビー級王者の丸藤がM谷口を相手に3度目のタイトル防衛戦。いつも通りに刺股を手に入場してきたM谷口でしたが、試合前に刺股と超危暴軍のセコンドを下がらせるとその後も一切反則に頼らず。
丸藤のチョップ連打で開始早々、胸板から流血しながらも、アマレス仕込みのハーフネルソンスープレックス、ジャーマンスープレックスなどで丸藤を圧倒。マイバッハボム、マイバッハプレスとたたみかけるが、2発目のマイバッハプレスをヒザ蹴りで迎撃した丸藤が、虎王連打からの変形エメラルドフロウジョンで22分55秒、片エビ固めでフォール勝ち、3度目の防衛戦を果たしました。
刺股や超危暴軍のセコンドに一切頼らず、正攻法で攻めてきたM谷口を真っ向勝負で退けてみせました。
「スープレックスが効いた。途中から全部やばかった。ギリギリの勝負だった。マイバッハプレスはあの切り返しが勝負の分かれ目。食らってたら終わっていたと思う」と試合を振り返った丸藤は、谷口の真の実力を評価。
10月12日横浜文化体育館で迎える大日本プロレスの関本大介とのV4戦に向けて「あいつがモンスターだというのは分かってる。まだ時間があるので、ちゃんと治療して体調を整えて、プロレス頭をフル回転して頑張りたい」と、全身全霊を賭けて怪物退治に臨みたいとコメントしています。
メインイベント後の最終試合では、杉浦貴がノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチに初挑戦。高山善廣&平柳玄藩とのトリオで大仁田厚&矢口壹琅&保坂秀樹組の大仁田軍と対戦。
自衛隊出身の杉浦は、迷彩柄のTシャツ&ロングパンツ姿で入場。ゴング直後から大仁田と激しくやり合うと、自らTシャツを脱ぎ捨て上半身裸になりました。矢口、大仁田、高山が被爆し、次々と火花が上がる中、ついに杉浦も大仁田の有刺鉄線バット攻撃を食らって電流爆破のエジキに。なおも大仁田軍はスクラムを組んで全員で有刺鉄線に押し込む捨て身の攻撃に出ると、孤立した平柳を3人がかりのスーパーパワーボム、8分37秒、大仁田が平柳を体固めで降しました。
勝利した大仁田は「約束通り、おまえが負けたら丸藤を電流爆破に出すんじゃ」と、GHCヘビー級王者の首を要求するも、杉浦は「オレは負けてない」と拒絶。だが、大仁田はひるまず、「次はWRESTLE−1じゃ! 丸藤の次は武藤じゃ!」と、さらなる爆弾発言プロレス界を代表する天才2人に挑戦状を叩きつけました。
10月12日横浜文化体育館(観衆3,500人満員発表)大会。メインイベントのGHCヘビー級選手権試合では、王者・丸藤が大日本プロレス(当時)の関本の挑戦を受けています。
関本の所属する大日本プロレスは横浜市都筑区に本社があり、横浜が団体の本拠地である関本はアウェーのリングをホームの雰囲気に変え、得意のパワーファイトを全開。
丸藤をチョップ合戦で圧倒すると、強烈なラリアットや豪快な垂直落下式ブレーンバスターを炸裂。丸藤自身も「負けたと思った」というぶっこ抜きジャーマンスープレックスで、王者をあと一歩まで追い詰める。だが、丸藤もノータッチトペなどの普段は見せない攻撃で関本を撹乱させてペースを取り戻し、狙いすました虎王4連発から21分45秒、エビ固めでフォール勝ちし4度目のタイトル防衛に成功。
“怪物”と認める関本との激闘を「気持ち良かった」と振り返った丸藤は、「やられてもやられても立ってきた先輩たちに印象でも負けないようなチャンピオンになりたい」と理想の王者像を明かした上で、次期挑戦者については、10月18日後楽園ホールで開幕する「グローバル・リーグ戦」です全勝でリーグ戦を初制覇した上で、自分で選びたいと語りました。
12月6日の有明コロシアム大会「GREAT VOYAGE 2014 in Tokyo vol.3〜有明冬の陣〜」は5,800人の観客を動員。
メインイベントのGHCへビー級選手権試合では、王者・丸藤正道が「グローバル・リーグ戦」覇者となった杉浦と5度目の防衛戦を行なっています。
30を超える打撃戦はまさに紙一重。丸藤のポールシフト、不知火・改に対し、杉浦もニーリフト、オリンピック予選スラムを炸裂。互いに手を繋いだまま何十発とエルボーを打ち合うと、丸藤が虎王2連発。さらに「今年の締めくくり」という思いを込めたタイガーフロウジョン、31分9秒、片エビ固めで5度目の防衛を果たし、2014年を締めくくりました。次期挑戦者には新日本プロレスの小島聡が名乗りを挙げています。
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