FMWはハヤブサの事故という哀しい事件がありましたが団体経営は行き詰まり、資金ショートを起こして02年2月15日に取引金融機関から2度の不渡手形を出して銀行取引停止処分となり倒産。
FMWが押さえていた3月10日と4月9日の後楽園ホール大会は冬木軍プロモーションが代行で興行を開催することとなりました。4月9日の試合終了後のバックステージインタビューで冬木弘道は大腸癌に罹患していることを公表、引退を発表しました。
それまでの冬木が演じて来た理不尽大王のギミックもあって「この発表はアングルではないのか?」とエンターテインメント路線の延長では?という疑問視をする者が少なからず存在してましたが、冬木が「来て!」と声をかけるとノアの三沢光晴社長が姿を現しました。
冬木と三沢は三沢が全日本プロレスに入門した81年、国際プロレスが崩壊しマイティ井上と共に全日本プロレスに入団した時に知り合い合宿所で寝食を共にした間柄で、オフの時はよく一緒に遊びに行っていた仲。
2日前の4月7日ノア有明コロシアム大会で三沢とSWS分裂騒動の時以来12年ぶりに対戦した冬木はヒールファイトを封印、三沢にはランニング・エルボーからの体固めで敗れました。負けた冬木は四方の観客席に深々と礼をしてリングを降りており「冬木にしては珍しい、ノアのリングだから遠慮したのかな?」位にしか観客は思ってはいませんでした。
倒産したFMWの後継団体として冬木軍プロモーションを新団体WEWにリニューアルして5月5日川崎球場で旗揚げ興行を行う矢先の出来事でした。
この日試合前に一報と病状を電話で受けたノア取締役仲田龍リングアナは三沢に報告し、三沢はWEWが旗揚げ前であり、旗揚げ興行前に大腸癌の手術を受けなければならなかった点を考え、冬木のために4月14日日曜日の夜、日程が空いていたディファ有明の会場を確保し、ノア主催による冬木の引退興行を開催することを発表。
急遽決まった大会であり試合開始は午後7時30分。冬木はメインイベントで三沢&小川良成とトリオを結成、田上明&井上雅央&菊地毅組と6人タッグで対戦、地団駄ラリアットから体固めで菊地を降して、80年5月4日国際プロレス、北海道・紋別市スポーツセンターでデビューして以来、22年間に及ぶ現役生活にピリオドを打ちました。
冬木は4月16日横浜市内の病院で大腸癌の切除手術を行い、成功、5月5日川崎球場でのWEW旗揚げ興行にはタキシード姿で来場して観客に挨拶しています。
WEW旗揚げ戦メインイベントはZERO-ONE橋本真也&大谷晋二郎組が大仁田厚&ザ・グレート・サスケ組と対戦し大仁田の火焔攻撃によりZERO-ONE組の反則勝ち。
ノア提供試合も2試合組まれ、田上は黒田哲広を破り、三沢&小川組は同門対決で本田多聞&井上雅組を降しています。
5月16日、2月に倒産したFMWの荒井昌一社長が葛飾区の水元公園で首を吊って自殺しているのが発見されました。享年36歳。負債を苦にしての自殺とみられマスは。。その死は、下り坂だった2000年代初頭のプロレス業界に大きな衝撃を与えた。
荒井社長はレスラーのギャラや業者への買掛金支払のため金策に奔走。法人としての金融機関借入はもう既に限界に来ていたのか?消費者金融に始まり、商工ファンド(後のSFCG、09年破産)、日栄(後のロプロ、現日本保証)といった事業者金融に手を出しました。
事業者金融の貸付というのは法人に対する貸付ではなく代表者個人に対する貸付となります。そして必ず連帯保証人を必要とし、資産、収入により借入出来る金額も変わってきます。荒井社長のご両親が自己破産したという文献もありますので恐らく、ご両親が連帯保証をしたと推測出来ます。
事業者金融業者の鉄則に「利息は債務者から、元金は連帯保証人から回収する」というのがあり正規のルートで資金調達出来ない借入人が申し込んでくるので、大抵は多重債務者が飛び込んで来ます。なので返せる見込みはない。よって言葉巧みに連帯保証人を徴求することで融資が実行出来ると言うことになる訳です。
それでも許認可業者からだけ借りているうちはまだマシ。親族・知人からの借金の他、自動車金融、さらには街金(闇金、トイチなど)と言われる無届の高金利業者からも荒井社長個人の名義で約3,000万円の借金をしたそうです。
冬木が荒井社長が亡くなった後に「荒井がいくら高利から借りてるのか、わからないんだよ。」と言っていたところから実際の債務額は不明です。
さらに家の権利書まで持ち出そうとしたことで家庭は崩壊、しかし必死の金策も空しく、02年2月14、 15日と立て続けに不渡りを出しました。
日栄の貸出スタイルに債務者の法人の約束手形を担保に差し入れさせ、裏書きして手形交換に回す。期日に当座預金が不足になると慌てた債務者はかき集めて入金して回収するというのがあり、それにより借金が雪だるま式に増えていく。自著「倒産!FMW」の冒頭に2月14日の一次不渡り確定直前まで街金業者を回って、支払いの猶予を頼み込んでいたという生々しい記述があります。
この倒産から自殺までの間に、FMWの社長時代を綴った著書「倒産!FMW カリスマ・インディープロレスはこうして潰滅した」が02年4月1日、徳間書店から発売されています。同書では大仁田厚を始めターザン後藤、ハヤブサ、工藤めぐみといった当時の人気選手の裏の顔、団体の経営・運営にまつわる厳しい経験談までを書き記し、ファンや関係者に衝撃を与えました。
もちろん、荒井社長個人の意見であり主観も入ることから全部事実上とは言えないとは思いますが大仁田に会社をめちゃくちゃにされた印象を受けました。
倒産したFMWですが冬木のWEWとハヤブサをコミッショナーに擁した新団体WMF(レスリング・マーベラス・フューチャー)が8月28日ディファ有明にて旗揚げ。代表取締役は山田哲也氏。
参加メンバーはミスター雁之助、マンモス佐々木、GOEMON(中川浩二)、ソルジャー(牧田理)、ガルーダ(森田友和)などかつてのFMWに参加したメンバーが集まりました。
旗揚げ戦メインイベントではマンモスとガルーダがシングルマッチで対戦、マンモスドライバーからの体固めでマンモスがフォール勝ち。
セミファイナルではハヤブサのリング上の友である新崎人生と私生活では長年の親友ながらリングでは長く敵対していた雁之助がタッグを結成、黒田&大矢剛功組と対戦、試合中に有刺鉄線バットを持った「ミスターデンジャー」松永光弘が乱入、場外で雁之助に有刺鉄線バットで殴りかかり、GOEMONと結託しています。
ステージ上から試合を見ていたハヤブサの頭にGOEMONが水をぶっかける暴挙に出て試合は大荒れ、松永に襲われ調子を狂わせた雁之助は黒田のラリアットの前にフォール負けを喫しています。
松永は9月29日埼玉県越谷市桂スタジオでマンモスと一騎討ち。ダブルアーム式フェイスバスターでマンモスがフォール勝ち。敗れた松永は「第一線からの撤退」を宣言しました。
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