全日本プロレス一行が台湾遠征に出ていた86年2月16日後楽園ホール(観衆3,000人超満員発表)でジャパンプロレス主催によるワンナイト興行「立春3大スペシャルマッチ」が開催されています。私はこの興行は観に行きました。
全日本プロレス勢は不参加でしたが、国際血盟軍とカルガリー・ハリケーンズが参戦しています。
メインイベントは前85年12月15日同所で行われた長州力とスーパー・ストロング・マシンのシングルマッチの再戦。前回はマシンをサソリ固めに捕らえた長州が腕立てと匍匐前進でロープエスケープしたマシンに対し、サソリ固めを解かずリング中央に強引に引き戻してサソリをかけ続け、計4回同じ行為を繰り返し。これに怒ったマシンのセコンド、ヒロ斉藤と高野俊二がリング内に乱入して長州に手を出し、長州が反則勝ちとなっています。
僅か2か月スパンでの再戦となりました。マシンのダイビング・ヘッドバットを自爆させた長州は捻りを加えたバックドロップ、フォールにいくかと思いきや、リングサイドからイスを持ち出してマシンを一撃、マシンのマスクを剥いでしまい、17分4秒に長州の反則負けとなりました。マシンはタオルで顔を覆い、観客に素顔は見せず。
スコアの上では反則で1勝1敗のイーブン。マスクを剥がされて怒りのマシンは「長州は思っていたものとは違った。あんな汚い手を使いやがって、次は俺が長州の長い髪の毛を切ってやる」とコメント。
セミファイナルではやはり前12月15日同所で行われた小林邦昭とH斉藤のシングルマッチの再戦。前回は小林邦のトペ攻撃を自爆させたH斉藤のリングアウト勝ちとなっています。
小林邦のフライング・ニールキックを自爆させたH斉藤は場外戦へと小林邦を誘い込み、再びリングアウト勝ち狙いにいきましたが、冷静に状況を見ていた小林がH斉藤に鉄柱攻撃、すかさずリングに上がって11分43秒、小林邦がリングアウト勝ち。こちらも対戦成績は1勝1敗のタイスコアになりました。
セミ前に組まれたのは谷津嘉章とラッシャー木村のシングルマッチ。両者は新日本プロレス時代の82年3月13日大阪・堺市大浜相撲場での「第5回MSGシリーズ」公式戦で対戦、この時は6分50秒、片エビ固めで当時の番付通りR木村が勝っていますが、それから約4年、2月5日、札幌中島体育センターで長州と組んで鶴田&天龍組を破りインターナショナル・タッグ王座を獲得。国内初のタイトルホルダーとなった谷津は自信満々でR木村を迎え撃っています。
試合はコブラツイストの掛け合いから両者もつれてリング下に転落。12分2秒に両者リングアウトの引き分けとなりました。タッグマッチや6人タッグでは何回も対戦している両者ですがシングルマッチは珍しく、R木村は「シングルで対戦してみて、谷津の成長ぶりを感じた」とコメントしています。
ジャパン対国際血盟軍、アニマル浜口&新倉史裕組vs阿修羅・原&鶴見五郎組は13分38秒、原が新倉をヒットマン・ラリアットからの体固め。
カルガリー・ハリケーンズの高野俊は新日本プロレス時代の大先輩になる栗栖正伸とシングルマッチで対戦し、7分、バックドロップからの体固めで勝利を飾りました。
寺西勇と仲野信市のシングルマッチは10分4秒、寺西がジャーマン・スープレックスホールドで快勝。ジャパン対国際血盟軍、永源遙&保永昇男組とアポロ菅原&高杉正彦組の一戦は10分33秒、回転エビ固めで保永が高杉を撃破しました。
第1試合でジャパンプロレス生え抜き第1号新人の佐々木健介(福岡県出身、19歳、179cm、90kg)がデビュー。笹崎伸司とシングルマッチで対戦、10分29秒、逆エビ固めでギブアップ負けしました。
全日本プロレス86年シリーズ第2弾「エキサイティング・ウォーズ86」は2月22日埼玉県戸田市スポーツセンター(テレビ生中継、観衆3,000人超満員発表)大会はテレビ生中継とあって午後6時試合開始。1月25日、高崎市中央体育館以来4週ぶりの生中継となりました。
参加外国人レスラーはハーリー・レイス、タイガー・ジェット・シン、テリー・ゴディ、クラッシャー・ブラックウェル、ワンマン・ギャングの5選手と少人数。
マイティ井上はセミ前でテレビ生中継に登場タイガーマスクと組んでザ・グレート・カブキ&原組と対戦。1月28日東京体育館で初のシングルマッチを行い、ノーコンテストに終ったタイガーマスクとカブキ。3月4日の大阪城ホールで再戦が決まっており、遺恨もヒートアップ。
勝負を決めたのは原でした。井上の後方回転エビ固めをロープを掴んで離さず、自爆した井上にヒットマン・ラリアットを叩き込み、12分56秒、原が体固めで井上をフォール。井上は原から直接フォールを奪われたのは初めて。原は国際プロレスではIWA世界タッグ王座を、全日本プロレスではアジア・タッグ王座を共に保持していた先輩を破っています。
メインイベントは鶴田が対抗戦切り込み隊長の石川敬士をパートナーに新インターナショナル・タッグ王者チームの長州&谷津と対戦。石川が谷津を相撲タックルで場外に吹っ飛ばしてから4人による場外乱闘に。リングに戻った谷津はコーナーポストからの攻撃を狙いましたが、石川がすかさずセカンドロープに登っていき、雪崩式ブレーンバスター。
しかし、石川が起き上がったところに長州がロープに飛んでのリキラリアット一閃、6分44秒、長州が石川を体固めに決めて長州&谷津組がベルト戴冠後初勝利。長州はノータッチで入って来ましたが、レフェリーは気が付かず、判定が覆ることはありませんでした。
ゴディは飛行機トラブルの為開幕戦に間に合わず。
セミファイナルは天龍源一郎とギャングのシングルマッチ。2月5日、札幌中島体育センターで谷津のジャーマン・スープレックスホールドの前にフォール負けを喫し、鶴田とのコンビで1年5か月保持していたインターナショナル・タッグ王座から転落。ケジメをつけるべくUNヘビー級王座も返上し、無冠となって心機一転、再スタートを切った天龍。ギャングのパワーに苦戦しながらも、ギャングがボディスラムにきたところを首固めに丸め込んで6分15秒、フォール勝ちを収めています。
放送開始直後の試合、ジャパンプロレスのキラー・カーン&寺西組とレイス&ブラックウェル組は5分41秒、レフェリーに暴行を加えたKカーンの反則負け。
今回はメインイベント終了まで4試合、全試合終了まで入りましたが、セミ、メインがいずれも6分台でケリが付き、呆気なさを感じました。やはり午後7時台からの生中継に4試合詰め込むのは無理があったかと思います。1月25日の高崎大会の生中継のように試合順を入れ換えるやり方がベストかと…。
その他、テレビ中継に入らなかった試合では、馬場&大熊元司組とシン&R木村組は3分41秒、シンが大熊をコブラクローでフォール。
浜口&小林邦&栗栖組vs鶴見&剛&菅原組の6人タッグマッチは11分21秒、浜口が菅原をブロックバスター(サモアン・スープレックス)から体固めで破りジャパン軍団に凱歌が上がっています。
台湾遠征で復帰したサムソン冬木は国際血盟軍の高杉とシングルマッチで対戦、6分28秒、スピンキックからの片エビ固めで勝利。国際プロレス時代、全日本プロレスに移籍してからのウルトラセブン時代とは番付が入れ替わりました
第3戦は2月25日大田区体育館(観衆2,720人発表)大会。
私事ですが、私は大学を卒業しこの年の4月から社会人生活をスタートさせることになっており、入社前の宿泊集合研修が3月10日〜14日迄、研修所にて行われる為、参加しなければならず、3月13日の日本武道館にはどうしても行くことが出来ませんでした。
そこで、このシリーズ武道館以外で唯一の東京大会となる大田区体育館に行くことにしました。また、中学校時代からのプロレス好きの親友が社会人になったらしばらく遊びには来られないと自宅に泊まりに来ており、一緒にノーテレビの大田区大会を観戦に行きました。
このシリーズは全日本プロレスにしては珍しく後楽園ホール大会がありません。日本テレビ、読売巨人軍の関係から全日本プロレスは旗揚げシリーズとなる72年11月7日、「旗揚げジャイアント・シリーズ」から後楽園ホール大会を使用。(馬場vsダッチ・サベージ、大熊元司&マシオ駒組vsブルーノ・サンマルチノ&ジェリー・コザック、サムソン・クツワダvsドリー・ファンク・シニア)
新日本プロレスが旗揚げしてから1年4か月も経ってから(73年7月6日)後楽園ホールを初使用したのとは差がありました。
後楽園ホール大会の開催がないシリーズがいつ以来かと言いますと、82年の「第10回チャンピオン・カーニバル」の終盤1週間に開催され、大会場ばかりを廻った「グランド・チャンピオン・シリーズ」がありますが、第10回チャンピオン・カーニバルの最終戦とグランド・チャンピオン・シリーズの開幕戦が同日の4月16日、福岡国際センターであり且つ、ブルーザー・ブロディ、テッド・デビアス、モンゴリアン・ストンパー、バック・ロブレイは残留しているので、厳密には別々のシリーズとは言い難い。
それ以前では78年8〜9月のミル・マスカラス&ドスカラスのマスカラス・ブラザーズが揃って初来日した「サマー・アクション・シリーズ2」以来6年半ぶり。後楽園ホール大会のない全日本プロレスのシリーズは珍しいです。
井上はタイガーマスクと組んで原&剛組と対戦。11分7秒、両チームリングアウトの引き分け。国際血盟軍に原がいては全日本側は勝つのは厳しいか?
大田区大会メインイベントは全日本対ジャパン軍団抗争、鶴田&天龍&石川組と長州&Kカーン&寺西組。石川がリング内の寺西に攻撃を加えようとコーナーポスト最上段に登ったところ、長州がノータッチで入ってきてセカンドロープから石川に雪崩式ブレーンバスター。この当たりの攻防は開幕戦の戸田でも見られましたが、開幕戦にノータッチで長州が石川をフォールしていた経緯から長州が次の動きに出る前に、鶴田と天龍が入ってきてこれをカット。
ジャパン軍団もKカーンと寺西が入ってきて場外乱闘となり、12分25秒、両チームリングアウトの引き分け。フラストレーションの残る観客席からは「延長コール」が起き、収まりのつかない両チームもこれに呼応し、5分間の延長戦が決定。
延長戦のゴングが鳴らされましたが、観客が喜んだのも束の間、ゴング前から6人がリング上で乱闘を展開して収拾が付かなくなり、レフェリーは直ぐに試合終了のゴングを要請、僅か44秒、両チーム反則の裁定が下り、決着はつかず。
友人はメインイベントを「バタバタして面白くない」と評していました。この興行の前に一緒に観に行ったのがこれより1年半前の84年9月11日UWF後楽園ホール大会(スーパー・タイガーvs前田日明)、さらにその前が83年8月4日新日本プロレス蔵前国技館大会(長州vs藤波辰巳WWFインターナショナル・ヘビー級選手権試合、タイガーマスクvs寺西NWA世界ジュニア・ヘビー級選手権試合)だけに、学生生活最後の思い出がこの興行では友人には気の毒なことをしてしまいました。
上京して来た友人には新日本、UWF、全日本と生で1回ずつ見せたことにはなりますが、これは残念でしたね。
セミファイナルは馬場&大熊組とレイス&ギャング組の対戦。6分22秒、レイスが大熊をフライング・ラリアットから体固め。
セミ前に組まれたのは谷津&浜口組とシン&R木村組の対戦、9分27秒、シンが浜口をコブラクローでフォール。
ゴディは前85年10月に結託したカブキと組んで冬木&薗田組と対戦、8分10秒、ゴディがパワーボムで薗田をエビ固めに決めてゴディ&カブキ組の勝利。
ブラックウェルは栗栖とシングルマッチで対戦、180kgの体重を利した3分48秒、フライング・ボディプレスからの体固めで栗栖を圧殺。
なお、この日、3月13日日本武道館での全日本プロレスvsジャパンプロレス7対7シングル対抗戦の両チームの参加メンバーが発表になりました。
全日本プロレスは馬場、鶴田、天龍、タイガーマスク、石川、井上、冬木。ジャパンが長州、Kカーン、谷津、浜口、寺西、小林邦、栗栖。組み合わせは3月1日秋田県立体育館でのテレビ生中継で公開抽選により決定することになりました。
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