日本側から出場する「オランダの赤鬼」ウィリエム・ルスカは「新春黄金シリーズ」以来2か月ぶりの来日、前79年は外国人ヒールサイドで試合をしていました。
タイプ的にはヒール向きの風貌ですが、フィニッシュが相手をロープに飛ばして、返って来たところを大外刈りの要領で倒し、タイガー・ジェット・シンのコブラクローの出来損ないみたいなチョーク攻撃(頸動脈絞め、窒息絞め)のワンパターンで、タッグパートナーを務めていたマサ齋藤からダメ出しをくらったのではないかと思われます。
日本側でベビーフェイスとして再出発、中堅どころとのタッグが多かったですが、坂口征二との「日蘭最強柔道タッグ」を結成しています。今回はシングルの公式戦でも結果を残さなければならず、真価が問われるシリーズとなりそうです。
このように、新日本プロレス旗揚げ8年にして豪華。メンバーが集結、これにシンとローラン・ボックが加わればまさに「リアルIWGP」になってしまう訳です。
開幕戦は4月25日、後楽園ホール、5月2日、佐賀スポーツセンター、5月9日、福岡スポーツセンター、5月16日、刈谷市体育館、5月23日、宮城県迫(はさま)町体育館、5月27日、大阪府立体育会館、5月29日、岡山武道館、5月30日、高松市民文化センター、6月4日、愛知県体育館、シリーズ最終戦が6月5日、蔵前国技館。
シリーズのビッグマッチ、タイトルマッチは5月9日、福岡スポーツセンターで猪木のNWFヘビー級王座にスタン・ハンセンが挑戦。同日、藤波辰巳のWWFジュニア・ヘビー級王座にチャボ・ゲレロが挑戦、2大タイトルマッチが行われます。
前NWFヘビー級王者ハンセンは1か月後のリターンマッチ、2月8日、東京体育館ではエプロンに上がってきた猪木をリング内から強烈なウェスタン・ラリアートを見舞い17分12秒、リングアウト勝ちで王座を奪取。
4月3日、蔵前国技館では12分55秒、猪木のブレーンバスターに体固めでフォール負けしましたが、本連載(613)で書きましたように、レフェリーの高速カウントに猪木は助けられた部分はあり、完敗ではなく、30歳の若いハンセンが優位なのは間違いないところです。
藤波vsチャボはタイトル戦で対戦するのは78年10月20日、寝屋川市市民体育館以来1年5か月ぶり。前回は藤波のV10戦で「ベルト永久保持」が懸かった一戦で、61分3本勝負。1本目はチャボが、12分54秒、チャボがメキシカン・ローリングクラッチで先取。2本目藤波が放ったドラゴン・ロケットが自爆、リングサイド席の椅子の金具に頭をぶつけたか額からおびただしい量の出血。
血だるまになりながらもダブルアーム・スープレックスからの体固めで4分43秒にフォール勝ち。決勝の3本目、出血のダメージから意識朦朧となった藤波ですが、師匠である猪木の得意技であるコブラツイストで3分30秒、ギブアップ勝ちを奪い、2−1で10度目の防衛を果たしています。
藤波大苦戦という印象でしたがこの時は王者になってまだ1年目。以後、79年10月2日、大阪府立体育会館で剛竜馬に一度は敗れ王座転落も、2日後の10月4日、蔵前国技館で王座奪回を果たし、現在はNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級王座と併せて二冠王。経験を積み、ジュニア最強のポジションにいると言っても過言ではなく、藤波優位は動かし難いところだと思います。
予選トーナメントの最中に公式戦にエントリーしている選手同士によるタイトルマッチが別建てで組むという新日本プロレスの攻めの姿勢は評価出来ます。
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