79年全日本プロレス「ジャイアント・シリーズ」第22戦、10月31日、愛知県体育館(テレビ収録、観衆4,500人発表)大会。メインイベントはNWA世界ヘビー級王者ハーリー・レイスに馬場が挑戦した60分1本勝負。
コーナーポスト最上段に昇ったレイスをデッドリー・ドライブで叩きつけた馬場は珍しくレイスに向かって「起き上がって来い!」というジェスチャーを見せました。レイスが最後の力を絞って立ち上がったところ、助走をつけて走った馬場が会心のランニング・ネックブリーカードロップ、18分29秒、体固めでレイスをフォールし、ベルト移動、馬場が第55代王者となりました。
馬場は74年12月2日、鹿児島県立体育館で、ジャック・ブリスコを2−1で破り初のNWA世界ヘビー級王座を戴冠、第49代王者となりました。
12月5日、日大講堂では元々はNWA世界ヘビー級王者、ブリスコとPWFヘビー級王者、馬場とのダブル・タイトルマッチの予定でしたが、鹿児島でのタイトル移動で無冠となったブリスコが馬場のNWA世界、PWFの2冠に挑戦することになった訳です。こちらも馬場が2−1で勝利を収め、馬場はNWA世界の初防衛、PWFの22回目の防衛を果たしています。
12月9日、豊橋市体育館で2度目のリターンマッチに挑んだブリスコは2−1で馬場を降しNWA世界ヘビー級王座を奪回。第50代王者となりました。
シリーズ最終戦の12月12日、川崎市体育館でブリスコは鶴田を2−1で破り初防衛。その後、王座はテリー・ファンク→レイス→ローデス→レイス→馬場と変遷。
1か月後の11月30日には猪木がボブ・バックランドの保持するWWFヘビー級王座に挑戦、しかも二番勝負とあって猪木がWWFヘビー王座を奪取するのはほぼ確約事項となっており、馬場は1か月先んじてNWA世界ヘビー級王座を奪い、猪木がWWFヘビー級王座を獲得したとしても「所詮二番煎じ、『NWA世界王座』に2度輝いた馬場の方が上」とファンに印象付けることに成功しました。
名古屋大会セミファイナルでは鶴田&タイガー戸口&天龍源一郎組の次世代トリオが実現、アブドーラ・ザ・ブッチャー&レイ・キャンディ&ビッグ・バッド・オー組と6人タッグマッチ45分1本勝負で対戦、戸口がオーを降しています。
第26戦、11月5日、宮崎県串間市総合体育館(テレビ収録、観衆5,500人超満員発表)では前王者レイスが馬場にリターンマッチを挑みましたが20分38秒、馬場がバックドロップからの体固めでフォール勝ちし初防衛に成功。
この日のセミファイナルで天龍がブッチャーと初シングル戦45分1本勝負を行っていますが、僅か4分42秒、ジャンピング・エルボードロップからの体固めでフォール負け。天龍は何もさせてもらえないうちに敗れてしまいました。まだ格が違うといったところでしょう。
第28戦、11月7日、尼崎市体育館(テレビ収録、観衆4,500人満員発表)大会。帰国前のラストチャンスとしてレイスが馬場のNWA世界ヘビー級王座に2度目のリターンマッチを挑みました。(60分1本勝負)
背水の陣のレイス、馬場が勝負を賭けたコーナーポスト最上段からのダイビング・ボディアタックを受け止めてクルリと身体を反転させて上に乗るとそのまま押さえ込んでの片エビ固め、20分58秒、カウント3が入りレイスのフォール勝ちによるタイトル移動。馬場が2度目の防衛に失敗、レイスが第56代王者となりました。馬場は前回同様防衛1回の7日天下に終わっています。
シリーズ最終戦、11月8日、後楽園ホール(テレビ収録、観衆3,000人超満員発表)大会。4度目のNWA世界ヘビー級王座戴冠を果たしたレイスはブッチャーの挑戦を受けての初防衛戦。私はこの興行は生観戦しました。
全日本プロレスのリングで黒人のヒールレスラーがNWA世界ヘビー級王座に挑戦するのは75年3月13日、日大講堂でボボ・ブラジルがブリスコに挑戦して以来4年8か月ぶりでした。
この日は当初からレイスvsブッチャーのシングルマッチが行われると発表されていましたがレイスの王座返り咲きでタイトルマッチに。実際には収容人員2,000人+立見の後楽園ホールで「世界最高峰」のNWA世界ヘビー級タイトル戦開催には批判的な声もありましたが、当時の全日本プロレスは暮れの「世界最強タッグ決定リーグ戦」の蔵前国技館以外は都内の1万人収容クラスの会場で興行が打てるだけの人気がなかったのも事実でした。
これは翌々年の81年1、2月に行われた馬場の3,000試合連続出場突破記念試合(vsバーン・ガニア、vsレイス)でも顕著に現れますが「ガラガラの大会場よりも、満員の後楽園ホール」という選択でした。
日本では75年12月10日、「オープン選手権」岐阜市民センター、76年5月13日、川崎市体育館以来3度目の一騎討ちとなるレイスとブッチャーは僅か5分7秒で両者リングアウトの引き分けでレイスが初防衛に成功しています。
セミ前では凱旋帰国の天龍が先輩の高千穂明久と組んでグレート小鹿&大熊元司組の極道コンビのアジア・タッグ王座に挑戦。1本目は天龍が大熊を体固め、2本目は大熊が天龍を体固め、決勝の3本目は大熊と高千穂のロープワークの攻防の際、リング下にいた小鹿が高千穂の足を引っ張って倒し、大熊が上になって体固めで3カウントが入り2−1で小鹿&大熊組が3度目のタイトル防衛に成功。
巧みなずる賢い反則を駆使した極道コンビの前に天龍は涙を飲みました。(この項続く)
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