78年7月24日、広島県立体育館で行われた猪木vsペドロ・モラレスのNWFヘビー級選手権試合と坂口征二&ストロング小林組vsピーター・メイビア&ヘイスタック・カルホーン組の北米タッグ選手権試合は、テレビ朝日で収録されながらも放送されておらず、特に猪木とモラレスのNWFヘビー級選手権試合は、73年12月10日、東京体育館で猪木がジョニー・パワーズを破って同王座(当時は「世界」の冠がついていた)を獲得以来、81年4月23日、蔵前国技館でのスタン・ハンセンとの王座決定戦までの7年4か月で唯一、放送されていない幻のタイトル戦となりました。
他に、放送はされたものの映像素材がテレ朝に残っておらず、映像ソフト化がされておらず、CS放送「ファイティングTVサムライ」の「闘いのワンダーランド」、テレ朝チャンネル「ワールド・プロレスリング・クラシックス」にアーカイブがないものも74年7月30日、名古屋市吹上ホールでのパワーズ戦、同年11月1日、札幌中島スポーツセンターでのアーニー・ラッド戦などいくつかありますが、放送自体がお蔵入りになったのは広島のモラレス戦のみです。
時系列で追って行くと、「ワールドプロレスリング」7月28日放送分は前日の7月27日、日本武道館から藤波辰巳vs剛竜馬のWWWFジュニア・ヘビー級選手権試合をノーカット放送、その後のメインのボブ・バックランドvs猪木のWWWFヘビー級選手権試合は結果は前回書いた通り1−1から61分時間切れ引き分けでしたが、入場シーンも放送、試合は1本目だけを放送して、試合途中で「続きは次週に」というテロップが出て、録画中継にも関わらずメインの試合を放送途中で切るという手法に出ました。
翌週8月4日放送分では、バックランドと猪木の試合の2本目から試合終了までをほぼフル尺で放送しました。その際、次週予告では広島からの猪木vsモラレスのNWF戦と、坂口&S小林組vsメイビア&カルホーン組の北米タッグ戦を放送すると告知しています。
ところが、8月11日に放送されたのは8月4日、ロサンゼルス・オリンピック・オーデトリアムからの藤波vsアーマンド・ゲレロのWWWFジュニア・ヘビー級選手権試合とロディ・パイパーvsトニー・ロコ(この年10月に初来日)のシングルマッチが流され(試合は両者リングアウト)、番組下の帯の部分に「放送内容変更のお知らせ」としてテロップでお詫びが流されました。
番組の終了間際には再びテロップにて猪木vsモラレスのNWF選手権、坂口&S小林組vsメイビア&カルホーン組の北米タッグ選手権の試合結果が流されるという事態になり、私も子供心ながらに「何か起きたに違いない」という思いがありました。
日本のマニアの間では若手実力者として定評のあるパイパーとこの時点でまだ未来日だったロコの日本で馴染みがない者同士の試合は一般視聴者層に受けるとは思えずが猪木のNWF選手権を差し置いて放送されるというのは違和感がありました。
さらにその翌週、8月18日放送分では日本のプロレス中継番組史上、歴史に残る出来事と言っていい8月13日、メキシコシティ・パラシオ・デ・ロス・デポルテスに初めてテレ朝のカメラと現地実況が入っての中継が放送された日でした。
メインイベントは藤波のWWWFジュニア・ヘビー級王座に「メキシコの鉄人」レイ・メンドーサが挑戦する一戦ですが、11日の時点で次週18日の放送は藤波vsメンドーサに猪木vsモラレスと発表されていました。まずここで坂口&S小林組vsメイビア&カルホーン組の北米タッグ選手権試合のお蔵入りは決定。
5か月半以上ぶりに行われた北米タッグ選手権試合ですが、前回の「新春黄金シリーズ」2月2日、札幌中島スポーツセンターでのタイガー・ジェット・シン&上田馬之助組との防衛戦に続き、2試合連続で収録したものの放送されずという事態になっています。
8月の最終週、8月25日はもう新シリーズ、「ゴールデン・ファイト・シリーズ」の開幕戦(長岡市厚生会館からの生中継)が予定されており、これ以上の後ろ倒しは出来ません。
しかし、18日の放送で冒頭に流されたのはメキシコを自らの拠点と定めたグラン浜田(リトル浜田)&エル・ソリタリオ&アニバル組vsカネック&セザール・バレンチノ&カルロフ・ラガルデ組のルチャリブレ6人タッグマッチでした。この6人タッグは事前の放送告知はありませんでした。
その後メインの藤波とメンドーサのWWWFジュニア・ヘビー級選手権試合を放送。パラシオ大会は69年7月のNETの中継開始以来、メイン実況として活躍していた舟橋慶一アナウンサーの「卒業」実況となりました。
8月4日ロサンゼルス、8月13日メキシコシティでの試合詳細は稿を改めて書きたいと思います。(この項続く)
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