裁縫と玄関灯のこと
ああこれはなんたる面倒といひながら一針一針縫うてゐるなり
真二つに断ちし着物をスカートへ 紬の生地が針にさからふ
玄関灯をとりかへるべく脚立据う三段のぼりて四段へのぼれず
わたくしが尺取虫なら脚立の上 自在にからだ反らせるものを
できた!
二メートル六十センチ高さの玄関灯捧げ持つカバーきゆうと締めたり
まへをゆく若き人が手をつなぐ影こころにしみる秋日差しなか
重きかばん持てる息子よ立ち止まれメールの中のもみぢ敷く道
物をつくったりすることが好き。
自家のメンテナンスも出来ることは自分でしたい。(草むしり以外ね)
もういらないと頂いた着物、捨てるにはもったいない。
一念発起、ちょきんと切ってスカートとベストにしました。
しかしミシンが今ないのですべて手縫いで、ああ面倒といいつつ。
しゃしんの玄関灯はぼやっとしていて夫がちょっと暗いんじゃないと言うと、
「灯りはぼんやり灯りゃいい」といって来たのですが、ついに消えてしまった。
脚立に登ってカバーを外してみると、そのカバーはガラス製で50センチ大両手で持たないといけない。すこぶる重い!
外すことは出来ても脚立をもう一段登らないと嵌めることが出来ないことが判明する。
脚立の上で両手を挙げるのですから後ろへ体が引かれたらそれまで!!おお!!
一晩考えて…。
尺取虫ならぬわたしは夜もすがら脚立にのぼる手立てめぐらす
ーできた!ーということになりました。(その満足感)
お終いの歌に突然息子が、それには前の没歌があって
秋の日のロマンチックの遭遇を突として息子へメールしてゐる
手をつなぐ影を見て、ああ若い人っていいなあ、私たちはもうよろけてのもたれ合いだけれども、まだ若い息子よ、此のロマンチックを忘れずにとメールを。
でした。
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