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2022年03月13日08:09

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ストロング小林さん追悼(66)

72年9月に馬場が新団体全日本プロレスを設立したことで日本プロレスが3つに分裂した訳ですが、これで1年前までは馬場、猪木、坂口征二、大木金太郎、吉村道明が1枚のチケットで観られたものが全員観たければ3枚のチケットが必要になり、3倍のお金と時間を要することなりました。

2022年現在は多団体時代も定着し、テレビ放送がなくても何とか存続していますが、84年以降離合集散を繰り返して現在に至っており、法人として成立していない任意団体も多数あります。

しかし、50年前では男子プロレス団体が4つに増えてしまうことはファンにとっては喜ばしい話ではなく、団体が割れた事で観客も分散、結果的に全体が地盤沈下し「冬の時代」が到来してしまいました。

72年10月1日時点での4団体の主要メンバーは以下の通りとなります。

日本プロレス(54年2月旗揚げ)坂口、大木、吉村、上田馬之助、高千穂明久、グレート小鹿、松岡巌鉄、ミツ・ヒライ、星野勘太郎、永源遙、小沢正志、桜田一男、羽田光男、木村聖裔、伊藤正男、大城勤、(海外遠征中)安達勝治、林牛之助、戸口正徳。

国際プロレス(67年1月旗揚げ)ストロング小林、グレート草津、田中忠治、寺西勇、大剛鉄之介、ミスター珍、デビル紫、鶴見五郎、本郷篤、稲妻二郎、八木宏、米村勉(海外遠征中)ラッシャー木村、マイティ井上、アニマル浜口、大磯武、松本勝三。

新日本プロレス(72年3月旗揚げ)猪木、豊登、山本小鉄、柴田勝久、魁勝司、木戸修、藤波辰巳、浜田広秋、木原伸一、伊藤正治、荒川誠、栗栖正信。

全日本プロレス(72年10月旗揚げ)馬場、サンダー杉山、大熊元司、マシオ駒、轡田友継、佐藤昭夫、藤井誠之、百田光雄(日本プロレスでデビューするも、一度辞めており、全日本へ再入団)。

このメンバーを見ると、馬場、猪木という両巨頭はいないものの、海外遠征中の選手を含めると国際プロレスが一番メンバーが充実していたと言えます。馬場、猪木にしても、脇を固める日本人レスラーが弱体化してしまっては日本プロレスの時とは同様に客が入らない、という厳しさを実感させられることになる訳です。

吉原功社長がきちんとした中長期的成長戦略を立て、TBS運動部としっかりリレーションを取ってTBS資金を引っ張り出していれば、この時が「天下盗り」の最初で最後のチャンスだったのではないかと思います。 しかし、吉原社長は旗揚げしたばかりで日本人選手不足に悩む馬場の全日本プロレスに手を貸してしまい、杉山を金銭トレードで移籍させ、10月21日、町田市体育館で旗揚げ前夜祭を行った「旗揚げジャイアント・シリーズ」に紫と鶴見を貸し出しています。

国際プロレス72年最後のシリーズとなった「ビッグ・ウィンター・シリーズ」は10月28日、栃木県佐野市民会館(テレビ収録、観衆3,000人満員発表)で開幕。レッド・バスチェン、マリオ・ミラノ、ブル・バリンスキー(バッドボーイ・シールド)、デニス・スタンプ、ホセ・アローヨ、ダイドーネ・ムッソリーニの外国人選手が来日。

先の「ダイナマイト・シリーズ」から「金網デスマッチ」要員として残留のバディ・オースチン、終盤戦11月24日〜30日まで、超大物、ディック・ザ・ブルーザー&クラッシャー・リソワスキー組の「ブル・クラ」が国際プロレスに初登場が決定。日本側は70年10月にヨーロッパ武者修行に出ていた井上が凱旋帰国しています。

開幕戦のメインイベントは草津とBオースチンの金網デスマッチ。先の「ダイナマイト・シリーズ」から金網デスマッチ要員としてハードスケジュールをこなしていたオースチンは寄る年波には勝てず、終盤は体調不良でシリーズを欠場。元々アルコール依存症もあり、年齢的、体力的にも巡業しながらの金網は厳しかったと思います。

カタコトの日本語で「ワタシ、ツカレタヨ、ホントヨ…」とこぼしていたという記事が当時の月刊ゴング「ゴング・ゴシップ」に出ていましたが、右足を骨折しても金網デスマッチに出場した木村に対する扱い同様、国際プロレスのブラック企業ぶりが伺えるエピソードです。試合は17分22秒、草津がオースチンをカウントアウトで降しました。

セミファイナルは小林&大剛組がミラノ&バリンスキー組と対戦、1本目は14分52秒、ミラノが小林を体固め、2本目は5分48秒、小林がミラノを逆エビ固め、決勝の3本目は4分32秒、バリンスキーが大剛を体固めで破り、ミラノ&バリンスキー組が勝利を飾っています。

凱旋帰国の井上は試合巧者バスチェンとの45分3本勝負。1本目は16分3秒、井上が体固め、2本目は6分7秒、バスチェンが体固め、決勝の3本目は45分時間切れとなり1−1の引き分けに終わりました。今までの国際プロレスにはいなかったテクニックでファンを唸らせることが出来るタイプのいいレスラーに成長していました。

田中&寺西組vsアローヨ&ムッソリーニ組の禿頭コンビの対戦は14分58秒、寺西がムッソリーニに反則勝ち、スタンプは本郷を12分40秒、体固めで破りました。

第2戦、10月30日、群馬県高崎市体育館(テレビ収録、観衆2,500人発表)大会、メインイベントは小林とオースチンの金網デスマッチ、Bオースチンは連日の金網戦。22分30秒、小林のカウントアウト勝ち。

セミファイナルは草津&井上組がミラノ&バリンスキー組と対戦、1本目は5分33秒、バリンスキーが井上を体固め、2本目は12分55秒、井上がバリンスキーをエビ固め、決勝の3本目は3分34秒、草津がミラノをアバラ折り(コブラツイスト)でギブアップさせて2−1で草津&井上組が勝利を収めています。

田中&大剛組vsアローヨ&ムッソリーニ組のタッグマッチ45分3本勝負。アローヨとムッソリーニは共に禿頭に全身豪毛で見た感じがよく似ています。1本目は4分54秒、アローヨが田中を体固め、2本目は4分6秒、田中がアローヨを体固め、決勝の3本目は5分3秒、両チーム反則負け裁定となり1−1の引き分けとなりました。

バスチェンは寺西を11分25秒、体固めで破り、スタンプは珍を11分3秒、体固めで降しています。

11月7日、仙台・宮城県スポーツセンター(テレビ収録、観衆5,500人満員発表)大会、メインイベントは小林のIWA世界ヘビー級王座にバスチェンが3回目の挑戦。

両者は前71年、同タイトルを賭けて2回対戦、9月13日、大阪府立体育会館では1−1から61分時間切れ引き分け、9月20日、福岡九電記念体育館では2−1で小林が勝って1勝1分で小林がリードしています。1本目は15分35秒、小林が体固め、2本目は3分38秒、バスチェンが体固め、決勝の3本目は3分20秒、小林が逆エビ固めでバスチェンをギブアップさせて2−1で小林が勝ち、15度目の王座防衛を果たしています。

草津とBオースチンが金網デスマッチで対戦し、16分2秒、草津が足4の字固めでギブアップ勝ちを収めました。オースチンはこの日を最後に帰国、これが最後の来日となりました。

井上&田中組のヨーロッパ遠征コンビとアローヨ&ムッソリーニ組の一戦は1本目は10分28秒、ムッソリーニが田中を体固め、2本目は3分5秒、井上がアローヨを体固め、決勝の3本目は5分22秒、田中がムッソリーニを体固めで破り、2−1で井上&田中組の快勝。

大剛とスタンプのシングルマッチは11分38秒、体固めで大剛のフォール勝ち、寺西vsバリンスキーのシングルマッチは11分16秒、バリンスキーが片エビ固めで勝利。ミラノは本郷を8分3秒、体固めで撃破しています。
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