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2021年05月04日17:48

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ド・ブロカ×カフカ×吉田戦車 『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』

地元県内でロケされた映画『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』を見て来ました。

非常に独特な、どちらかと言うと珍品の部類に属する映画ですが、自分は好きです。恐らく見る人を選ぶ映画でしょう。

【物語】
川向うの町と長きにわたる戦争をしている町があった。
戦争は9時から5時までと決まっており、日常と化していたが、あまりに長く続いているため敵のことを知る者もいなくなっていた。
兵士の露木(前原滉)も、スーツを着て基地へ出勤し、川向うに向かって発砲し、食堂で昼飯を食べて、定時になったら帰宅するという規則正しい生活を送っていた。
ある日、人事異動が発令され、楽隊へ配属された露木。たまたま川向うから聞こえてきた音楽を聴いた露木は、しだいに戦争に疑問を持つようになる。
やがて、新兵器を備えた新たな部隊が配属されることになるが…。

…フィリップ・ド・ブロカ監督が、フランツ・カフカの脚本を、吉田戦車の絵コンテで撮ったような映画です。

登場人物はみんな抑揚のない、棒読みに近いセリフ廻し。
角を曲がるときは直角に、規則正しく行進する日々。
現実社会の色々なものへの皮肉が込められているようですが、そのシュールな世界観が次第に心地よくなっていく、ヘンな中毒のような効果があります。

無表情な主人公を演じる前原滉、色々な映画に出ている様ですが、意識して見たのは初めて。
その時の気分で飯を大盛りにも小盛りにもしてくれる食堂のオババが片桐はいり。
うまい煮物を作る煮物屋の亭主が嶋田久作。
なぜか理不尽な差別をしてくる楽隊長にきたろう。
物忘れが激しすぎる町長に石橋蓮司。
気の弱い軍の技術者に矢部太郎(カラテカ)。出てくるのは変な人ばかり。

戦争そのものがおかしな行為であるので、おかしな人びとによるおかしな映画であっても不思議はないというのが不思議です。

★★★★。
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