家に戻ると、両親と祖母がリビング待っていてくれた。無事に戻ってきたのを心底安心してくれてた。
もし・・・・負けていたら・・・・悲しませるところだった。生きて帰れて良かった。そう思う。
妙「・・・・む・・・・」
祖母は理夢の手を見る--------------------------
妙「認められたか」
陽治「え?あっ・・・・」
雛莉「そっか。それで勝てたのね」
3人がみているのは手・・・・ではなくフィルソフィア。淡い光を帯びているそれは今でも指にある。理夢はちょっとはにかみながらも頷いた。
妙「どうじゃった魔王は」
戦いの事を話す理夢。実は神星器がカを貸してくれなかったら死んでいたかもしれないと付け加えて。両親は深いため息と安堵、妙はうんうんと頷いて笑顔だ。
さて・・・・生き残った報告としたらあとの問題だ・・・・。
理夢「お母さん・・・・お父さん・・・・お婆ちゃん・・・・ゆうちゃんのお母さんは・・・・?」
シンパシー化した梨亜に刺された悠也の母親。今はどうなっているのだろうか・・・・。しかし3人共、まだ連絡がないらしい。病院に救急車で運ばれてからの事はまだわからないという。
・・・・まだ手当中だろうか・・・・それとも・・・・そのまま・・・・亡くなってしまったのか・・・・??理夢は悠也に電話をしたが、携帯の電源が切れているのか、つながらない。ただただ「電波の届かないところにあるか電源が入っていない為--------」というのが聞こえるだけだ。という事はまだ病院にいる可能性がある。
理夢「・・・・私・・・・病院に行ってくる」
陽治「今からかい?」
理夢「おばさんは・・・・私の所為で刺されたようなものだもん・・・・」
妙「む・・・・シンパシー化した子に刺されたのだものな。お前が責任を感じるのも当然じゃろう。気を付けていきなさい」
雛莉「あなた。車を」
理夢「大丈夫。走っていってくる・・・・」
陽治「えええ?こんな夜中にかい?それはさすがに・・・・」
陽治はリビングにかかっている掛け時計を見る。22時を過ぎていた。
理夢「大丈夫。変な人がいてもこれがあるから。フィルソフィアがあるから」
そういう理夢だが、魔王を倒せる神器のカを人に向けて使う気はさらさらないが、3人はとりあえず理夢を送り出す事にした。
妙「フィルソフィアに選ばれた事で新たな魔王が誰かを操り、シンパシー化させて襲わせるかもしれん。気を付けてな。マリオネットと判断したら迷わず使うんじゃぞ」
理夢「・・・・はい・・・・」
理夢は先程まで手にしていた懐中電灯を手に、夜の住宅街に出た。そして病院に行こうとして・・・・思い出す。
なにを?
理夢「・・・・・・・・おばさん・・・・・・・・どこの病院に運ばれたんだろう・・・・・・・・」
そう、搬送先がわからない。それではどうしようもない。悠也の家に行っても灯りが点いておらず、誰もいないのがわかる。
理夢「・・・・どうしたら・・・・いいのかな・・・・」
戻って両親に聞いてみようか?いや、多分無駄足だろう。そういえば操られていた梨亜も悠也の家の前にはいない。家に帰ったのだろうか・・・・??
どうしよう・・・・どうしよう・・・・戻って連絡を待った方がいいだろうか??
そう悩んでいると・・・・
理夢「とりあえずおじさんも病院にいるだろうし・・・・誰に聞いたらいいのかな・・・・ふぇ・・・・くち・・・・」
不意にクシャミがでた。すると視界が真っ暗になる。そしてあたりにいろが戻ってくると・・・・
「・・・・??」
自分は違う場所にいた。白い壁、白い床。そして・・・・目の前には扉があり、その上には赤いランプで’手術中’と表示されていた。
まさか。いや、そのまさかだった。
理夢と悠也は入れ替わってしまったのだった--------------------------
悠也父「どうしたクシャミなんかして。寒いか?」
悠也「大丈夫・・・・それより・・・・」
悠也の母親が刺されてからだいぶ経つというのにまだ処置中とは。よほど重症なのだろうか・・・・。
悠也父「そうだな・・・・遅いな。かあさんは・・・・ダメなのだろうか・・・・」
そんな弱気な呟きがこぼれる。それも仕方ない。理夢が魔王との戦いに赴く前に刺されたのだから。だいぶ経っているし。
悠也父「・・・・いや・・・・助かると信じて待とう。・・・・ん?」
廊下を駆けてくる少女に気づき、そちらをみる。理夢・・・・いや悠也だ。
(そっか・・・・ゆうちゃんはもともとここにいたんだし、場所がわかるよね)
悠也父「理夢ちゃん。わざわざ来てくれてありがとう。悠也から変なヤツとの戦いに出たかもしれないと聞いていたが・・・・大丈夫そうだね」
理夢「はい。ちょっと来て」
理夢もとい悠也は理夢(というか悠也の)手を取り歩きだした。そしてしばらく歩いてから「元に戻ろう」と言い、理夢は頷く。一緒にクシャミをして自分の身体に戻った理夢はどういう状況なのかを聞いたが、悠也は首を横に振る。手術室に入ったきり、出て来ないという・・・・。
理夢「謝って済む事じゃないけど・・・・ごめん・・・・なさい・・・・私の・・・・せいで・・・・」
泣きながら謝る理夢を悠也は抱きしめた。
悠也「謝るなよ。悪いのはお前じゃなくて戦ってきた敵、なんだろ?それよりお前が無事に戻ってきてくれてよかった。とりあえず逃げ帰ってきたって事はまただれか操られるって事だろうけど・・・・」
理夢「ううん。逃げてないよ。・・・・私・・・・勝ったよ・・・・」
そう言ってフィルソフィアを見せた。未だにフィルソフィアは淡い光に包まれていた。
悠也「光ってるな。不思議な指輪だねそれのおかげで勝てたのか。すごいね。いままで望月達にイジメられてたお前が殺されるかもしれない相手に1人で立ち向かうなんてさ。もう、俺がいなくても大丈夫そうだね」
理夢「え・・・・それって・・・・」
悠也「お前は1人でもやっていける。俺がかばってあげなくても」
理夢「・・・・・・・・でも--------------------」
理夢は言葉を紡ごうとしたとき、悠也の父親が2人を呼んだ。戻ってみると、手術中のランプが消えており、いままさに手術を行ったドクターと看護師達が出てきてキャスター付きベッドを移動しているところだった。
悠也父「先生!!あいつは!!妻は・・・・!!」
「・・・・旦那さんですか。奥さんの刺された傷は深かった。出血がひどく、止血に手間取りましたが、とりあえずは止血し、縫合できました。しかし・・・・」
悠也父「まさか・・・・手遅れ!?」
「大丈夫です。奥さんは生きています。ですが・・・・」
悠也父「ですが・・・・??」
「先ほども言いましたが、大量出血しています。院内に貯蔵されていた輸血の血液では少々・・・・。申し訳ない。ここ最近手術が重なっていて備蓄がありません。今はまだ生きてはいますが血液不足です。あれでは・・・・。奥さんの血液型はAのようですが、旦那さんは?」
悠也父「・・・・Bです。息子も同じです・・・・」
「・・・・・・・・・早急に手を尽くします。院内にいる看護師達の中にもしかしたらA型の者がいるかもしれない。ただ夜中なので間に合うかどうか・・・・」
悠也父「そんな・・・・」
悠也「じゃあ母さんは・・・・」
2人は絶望に打ちひしがれている。もうどうしようもないのだろうか。
悠也「先生、A型ってたくさんいるってどこかで聞いたことがあるんですが」
「そう言われている。だがそれが’アダ’となる。A型が多いという事はすなわち、それだけ輸血に必要なA型の血液が必要になる。需要と供給が一番多いのがA型だ。しかしここ近年はほぼほぼA型の輸血血液がいつも不足している」
悠也「・・・・じゃあ・・・・」
「ちょっと院内にいる夜勤者に聞いてみます。A型のものがいればあるいは-------------」
あるいは助かるかもしれない。ではこのままでは血液不足で助からない・・・・。
やはりだめなのか・・・・。
しかし----------------------
理夢「先生・・・・私を使ってください・・・・」
「何?まさか君、A型なのか?」
理夢「・・・・はい・・・・」
「おお!!では早速・・・・。えっと、君は------------」
理夢「ことのは・・・・りむ・・・・です・・・・」
「では筝葉さん。輸血の協力を頼めるか?」
悠也父「頼む!!妻を救ってくれ!!」
悠也「そういえばりっちゃんA型だったっけ・・・・。でも病院内で足りない量をりっちゃんが賄うには・・・・」
「心配ない・・・・とは言えない。正直いって院内の貯蔵を使い切っても200cc、400ccでは足りない。もしかしたら君のような年端もいかない少女の筝葉さん自身が血液不足に陥る可能性は高い」
理夢「・・・・それならそれで・・・・。おばさんがこうなってしまったのは私の所為ですから・・・・」
「君の・・・・??」
悠也父「ありがとう・・・・だがしかし・・・・妻が助かっても君に危険が及ぶのは・・・・」
理夢「構いません。先生」
「・・・・わかった・・・・では-----------」
「先生!!備蓄血液が1つしかありません・・・・」
と言って女性看護師の手にあるのは・・・・A型血液ひと袋だけだった・・・・。
「よし、直ぐに患者に!!不足分はこの子が血液提供を協力してくれるそうだ。では筝葉さん」
理夢「・・・・はい・・・・。あの・・・・ゆうちゃん・・・・」
悠也「え?」
理夢「後でお話があるの・・・・もし、2人共助かったら・・・・」
悠也「・・・・え」
医師と理夢がオペ室ではない別の’処置室’という部屋に入っていった-------------
悠也父「2人共助かってくれよ・・・・」
「では始める」
理夢「はい・・・・」
理夢の腕に針が刺され、どんどん理夢の血が透明のポリ容器に入っていく。
どんどん・・・・どんどん・・・・
400の袋がいっぱいになり、医師は別の容器に切り替えた。
「君・・・・大丈夫かい?」
理夢「・・・・・・・・」
だんだんボーっとしてきた。なんだか身体がしびれている感覚がする-------------
「・・・・600。もうすこしあれば・・・・。筝葉さん、大丈夫かい?」
医師が何か言っている。だが理夢の意識は薄れており、どこか遠くでしゃべっているように聞こえる・・・・。何も・・・・考えられない・・・・。
「筝葉さん?筝葉さん?ちょっ・・・・!!中止だ!!」
600、いや700抽出したところで医師は針を抜いた。すると理夢の意識が完全で途絶えた------------------
「筝葉さん!!筝葉さん!!しっかりしろ!!」
理夢の身体はグラリと揺れ・・・・倒れた。医師の叫びが聞こえたのか、処置室に女性看護師が2人入ってきた!!
「先生!!彼女は・・・・!!」
「駄目だ!!血液を抜き過ぎた!!彼女をどこか空き病室へ!!」
「「はい!!」」
急いで運ばれてきたキャスター付きベッドに寝かされた理夢が処置室から出てきて悠也達が立ち上がった!!
悠也父「先生!!理夢ちゃんは・・・・!!」
「奥さんに必要な輸血量に近い量は採取できた。だが・・・・」
ベッドで目を開けない理夢を見て悠也がその肩を揺らす。
悠也「りっちゃん!!しっかりしてくれ!!母さんが助かってもりっちゃんが助からなかったら-------」
その言葉にちょっとだけ、理夢が目を開けた。目の焦点が合っていないが・・・・
悠也「りっちゃん!!」
理夢「ゆうちゃん・・・・私・・・・」
「筝葉さん。抜いた分を少し戻す。でないと君が危ない」
理夢「私の事はいいですから・・・・おばさんを・・・・おねがい・・・・しま・・・・す・・・・」
それだけ呟くと・・・・理夢はまた目を瞑った。今度は3人がいくら声をかけても反応は示さなかった・・・・
悠也父「まさか・・・・理夢ちゃん・・・・」
医師は直ぐに脈を計る。しかし・・・・無いのか微弱なのかわからないが・・・・わからない。続いて顔を近づける。するとかすかにだが呼吸の息が頬を掠める--------
「脈が微弱過ぎてわかりませんでしたが息があります」
悠也「じゃありっちゃんはまだ・・・・生きてる・・・・?」
「とり急ぎ、心電モニタを!!」
「はい!!」
医師がすぐにとりつけると、『ピッ・・・・ピッ・・・・』と動き出す。だが・・・・血圧が上が90もない。下は50いくかどうか。
「マズいな・・・・血圧が低すぎる・・・・なんとか頑張ってほしいが・・・・」
悠也「りっちゃん・・・・」
理夢はとりあえずまだ生きてはいるが、危ない状況には変わりはない。朝までもってくれれば出勤してきた者にさらなる血液提供を頼める。それまで持ちこたえられれば---------------
------------------------------------FINAL SCENEへ-----------------------------
ログインしてコメントを確認・投稿する