あやと入れ違いに降りてきたのは・・・・西洋の鎧甲冑に槍を持った魔王だった。兜を被っているので顔や表情は分からないが・・・・兜から突き出ている2本の黒い角は・・・・兜に付いてるものなのか・・・・それとも自身の角なのか------------
顔や表情がわからなくともわかる。強い。ものすごく。理夢の肌で感じているのは魔王の殺気と・・・・自分の・・・・恐怖・・・・。
??「貴様・・・・1人で何をしに来た。こんな夜更けに迷い込んだ、ではないだろう?歯向かう気ならば女子供とて容赦はせぬぞ」
理夢「わ・・・・たしは・・・・ことのは・・・・りむ・・・・です・・・・あなた・・・・ですよね・・・・ゆうちゃんを殺そうとしたの・・・・」
理夢の名前をきいてすぐに合点がいったようだ「それがどうした」と言い返してくる。理夢にとって、それがどうした、どころではない。大好きな悠也が殺されそうだったのだ。言い返してやりたいが、うまく言葉が出てこない。今になって魔王と1対1で戦おうとしている恐怖に苛まれていた・・・・。
??「お前がコトノハリムか。お前を殺すのに人間を操ってはみたが、失敗に終わったな。だが、お前から1人でノコノコやってきて手間が省けたというもの。俺が直々に殺してやろう。せっかくお前が名乗ったのだ。俺も名乗ってやろう。ルーインだ。さて・・・・1対1の勝負と言いたいが、貴様、何をしに来たのだ?見たところ装備はなさそうだが。そうか。わざわざ殺されに来たのか」
理夢「私の武器は・・・・これです・・・・!!」
理夢は自身の身長程の霊光弾を即時につくり、射出した。ルーインはそれをアッサリと避けた。
ルーイン「それは知っている。それだけか?まぁいい。俺とて接近戦専門で槍だけだ。お前が遠距離で俺に勝てるか、それとも俺の槍に貫かれるか勝負といこうか」
魔王と勝負。恐怖に足が竦むが、やられる訳にはいかない。理夢は突進してくるルーインに走り回って距離をとりながら何度も霊光弾を撃ち続けた。しかしどれもルーインはかわして追ってくる。当てるのは困難そうである。距離を取っては撃ちを繰り返すがルーインとのすばやさの差と体力の差でどんどん近づかれてくる。そして・・・・とうとう槍の射程内に---------
ルーイン「これで終わりだ・・・・!!・・・・なに・・・・?」
ルーインは槍で理夢を突いた。しかしそれは理夢が即時生成した霊力の刃で弾かれた。
ルーイン「む・・・・そんな事も出来るのか。ならば------------」
ルーインは槍に気を纏わせて突いた。それだけで理夢は吹き飛ばされる。突きそのものは霊力剣で弾けたものの、気の余波で吹き飛ばされただけだ。理夢は追撃に備えて起き上がって刃を構えた。ルーインが突く、理夢が弾くという攻撃と防御が繰り返される。
理夢「えい・・・・!!」
ルーイン「・・・・??な・・・・!!」
理夢はルーインの突きを屈んで避けると、地面に右手を突いた。すると理夢の右手から霊力の柱が立ち上り、ルーインを巻き込んだ。
ルーイン「ぐぉぉぉぁぁぁぁ!!・・・・くっ・・・・!!」
ルーインは白い煙を鎧甲冑からのぼらせながら下がる「そんな事も出来るのか」と舌打ち。
ルーイン「接近も厄介か。ならば俺の最高のー太刀を見せてやろう。オオオオオオアアアアアアアア!!!!」
ルーインは雄たけびをあげると自身に気を纏わせ、槍を構える。そして・・・・高速の突き。しかし50メートルは距離がある。そんな突きが当たる訳がないと思っていたが、槍から気が迸ってきた。理夢は霊力の障壁を生成して防ごうとしたが貫通!!理夢はキリモミしながら地面に叩きつけられた。あちこちに擦り傷ができたが、とりあえずそれだけのようだ。理夢は恐怖に慄く。接近戦だけだと思っていたのに。遠距離の奥の手を持っていた。これでは近づかせなければ勝てるかもしれないというものはなくなってしまった・・・・。立ち上がりはしたが・・・・ルーインはまたも突きの構えをみせた。2突き目が来る・・・・。理夢の障壁はあの突きを防ぎきれない。
・・・・もうダメだ------------------
ルーイン「どうした。もう撃ってこないのか?そうか諦めたか。ならそのまま立ち尽くしていろ。今すぐこの奥義で殺してやる。苦しまず、一思いにな。お前は並の能力者より強かった。せめて1撃で葬ってやろう」
お父さんお母さん・・・・ごめんなさい・・・・。
お婆ちゃん。やっぱり私では・・・・だめだったよ・・・・。
ゆうちゃん・・・・ごめんね。大好きだよ・・・・。
と心で呟く。ルーインはそんな理夢に突きを・・・・してこなかった・・・・。
ルーイン「興が削がれたな。お前、そのまま殺されて本当にいいのか?俺は人間が殺せるしお前のような強い能力者を殺せるのだから何も言うことはないが。・・・・残念だな。もうすこし楽しめそうだったものを」
理夢「・・・・・・・・」
ルーイン「安心しろ。1人ではあの世には行かせん。お前の身内にも能力者はいるだろう。一緒に逝かせてやる」
・・・・え・・・・お父さんとお母さんも・・・・お婆ちゃんも・・・・?
ルーイン「お前が必死に守ってきたあの男も送ってやろう。せめてもの手向けだ」
理夢「・・・・ゆうちゃんを・・・・。それは・・・・だめ・・・・です・・・・わたしは・・・・わたしは・・・・」
ルーインの言葉に・・・・理夢の中で何かが弾ける感覚がした。
理夢「ゆうちゃんは・・・・殺させない!!お父さんもお母さんも・・・・おばあちゃんも!!」
ルーイン「・・・・なら1人であの世に逝くのだな」
ルーインは目の前まで歩いてきて槍を構える----------------
理夢「私は・・・・もうダメだって諦めてました。あなたにはもう勝てないと・・・・。でも・・・・諦められません!!家族も・・・・大好きなゆうちゃんも守りたい!!」
理夢がそう叫ぶと・・・・理夢の手が輝きだした。理夢が自分の手をみると・・・・光を発しているのは指輪だった。
ルーイン「なんだそれは」
理夢「フィルソフィア・・・・が・・・・光ってる・・・・?」
ルーイン「フィルソフィアだと!?まさかお前、神星器に適合を・・・・!?」
余裕でクールそうなルーインが初めて狼狽した。そんなルーインの腹部に右手をあてる----------
理夢「あああああ・・・・!!」
理夢の右手から濁流の本流があふれ出した。ルーインはその濁流に呑み込まれる。濁流の中でルーインは水の圧力でできた刃に切り刻まれた。濁流が津波が通り過ぎたように流れていくと・・・・
・・・・血だらけのルーインが横たわっていた・・・・。
理夢「・・・・ルーイン・・・・」
ルーイン「見事だ。神星器のカ・・・・久しぶりに受けたぞ。お前の・・・・勝ちだ。胸を張って戻るがいい」
理夢「どうしていきなりフィルソフィアが・・・・」
ルーイン「知らぬ。だが、お前の想いに神星器が手を貸してくれたのやもしれんな」
理夢「私の・・・・想い・・・・」
ルーイン「家族愛。恋愛。友情。なにが引き金だったのかはわからぬ。神星器は神の造った代物だ。何が引き金になっているかはわからん。ただ、お前はこれから適合者として狙われ続けるだろう。お前の家族も。近しい者も」
理夢「私は守りたいです。家族も・・・・大好きな人も・・・・」
ルーイン「いい返事だ。さらばだ・・・・」
ルーインはそういうと・・・・消滅した。そこにはただ、ルーインの流した血の跡だけが遺った----------------
理夢「ルーイン・・・・今の言葉・・・・もしかして・・・・魔王の中にもいい人もいるのかな・・・・」
「理夢ちゃ〜ん」
ルーインが消滅したあと、あやが降りてきた。そして理夢を抱きしめる。
理夢「あやさん・・・・?」
あや「やったねぇ♪魔王を1人で倒したんだよ!!すごいすごい。しかも戦いの途中で神星器に適合しちゃっての大逆転。やったね〜☆」
理夢「ですが・・・・ルーインが言ってました。これから私は狙われ続けるって。お父さんやお母さん、お婆ちゃんやゆうちゃんもまた危ない目にあうかも・・・・」
あや「う〜む・・・・じゃあさ、博人君とか刹那達と合流してみない?神星器に適合したし、どのみちそうして欲しいんだけど」
理夢「私が・・・・あの有名な方達と一緒に・・・・戦えるんでしょうか・・・・」
あや「理夢ちゃん次第だけど。12人揃えば、それだけ魔王との戦いも早く終わるかも?まぁ’かも’だけど」
理夢「はやく・・・・」
あや「コレ、私の電話番号。その気になったら連絡してね〜☆それじゃ〜☆」
そういうとあやは夜空にまた飛び立っていった・・・・。残されたのは・・・・手にあるあやの連絡先の記されたメモ紙のみ・・・・
その気になったら・・・・
自分はこれから魔王との戦いの前線に立つことになる。それが自分に出来るだろうか・・・・。
とりあえず帰ってからゆっくり考えよう。理夢は森を抜け、自宅を目指して歩いて行った-----------------
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