86年6月20日、京都府立体育館(観衆7,850人発表)でIWGPチャンピオン・シリーズ追撃戦としてワンナイト興行「佐川急便杯争奪ワンナイトトーナメント」が開催されています。
ノーテレビかつビデオ収録もないまさに幻の大会でした。佐川急便の佐川清会長は猪木の最有力タニマチと知られており、猪木、新日本プロレスは頭が上がらない存在。
佐川会長は02年に亡くなっていますが05年11月14日、猪木がユークスに新日本プロレスの保有株式、議決権を行使出来る51.5%を売却しましたが、猪木はアントンハイセルを始めとした個人事業で佐川会長から資金援助を受けた際に事実上の担保として株式を佐川会長に渡していました。
結局、猪木からの返済はされなかったのですが、佐川会長が亡くなる前、非上場会社である新日本プロレスの株式を法定相続人が相続してもメリットはなかろうと遺言で猪木に返却するように残してあったとのことです。
猪木にとっては大恩人である佐川会長に対しての「御膳試合」としてこの大会が組まれたものと思われます。
参加選手は猪木、坂口、木村健吾、前田日明、上田馬之助、アンドレ・ザ・ジャイアント、ディック・マードック、マスクド・スーパースター、ジミー・スヌーカ、ワイルド・サモアンの10選手。
トーナメント組み合わせは抽選で行われ、1、2各ブロックあり、1ブロックではアンドレが2ブロックではMスーパースターがシード権を獲得。準決勝からの出場となりました。
トーナメント戦の試合はすべて時間無制限1本勝負。1ブロック1回戦、第1試合は上田が7分14秒、スヌーカに反則勝ち。1回戦、第2試合の木村健と前田は6分58秒、両者フェンスアウトとなり両者失格。前田は木村健に勝ち、上田に反則勝ちでも何でもいいから勝っておけば猪木と当たる可能性がありましたが、またもチャンスは消えてしまいました。
2ブロック1回戦、第3試合ではマードックが5分38秒、サモアンをIWGPリーグ戦と同じフィニッシュの首固めで手堅くフォール。1回戦、第4試合はいきなり猪木と坂口が対戦。10分52秒、体固めで猪木回戦勝ち、公式戦で敗れた借りを返しています。
2回戦、第5試合は木村健vs前田戦の勝者と闘う予定だった上田が木村健と前田が両者失格となった為に不戦勝。準決勝へ進出。
もう1つの2回戦、第6試合は猪木とマードックの一戦。前日の6月19日、両国国技館でIWGP決勝で30分の激闘を展開した両者が連夜の激突。13分38秒、猪木が反則勝ちを拾い、準決勝へと駒を進めています。
次の試合は新日本vsUWFのタッグマッチ、越中詩郎、山田恵一組と高田伸彦、山崎一夫組が対戦。8分57秒、高田が山田を腕ひしぎ逆十字固めでギブアップさせました。
トーナメント準決勝、第7試合、ここで初めてアンドレがこの日初試合、上田を1分24秒、ヒップブッシュからの体固めで圧殺し決勝戦進出。第8試合は猪木がMスーパースターを6分43秒、体固めで降して決勝進出。決勝戦は猪木vsアンドレの一戦となった訳です。
セミファイナルでは猪木vsザ・モンスターマン戦を初め、多くの猪木の異種格闘技戦のレフェリーを務めたことで知られる鈴木正文が館長を務める日本正武館杯争奪のバトルロイヤルが行われ(11人参加)、決勝で木戸修がブラック・キャットを破り優勝。
メインイベントは猪木とアンドレによるトーナメント決勝戦。これまで1試合行い上田を短時間で圧殺したアンドレと坂口、マードック、Mスーパースターと1試合やってもきつい相手と3試合闘った猪木とは疲労度合いが違っていたのは明らか。
4分35秒、アンドレがリングアウト勝ちで優勝。賞金1,000万円を手にし、3日前の名古屋でのギブアップ負けのリベンジを果たしました。WWFとの契約の関係からこのシリーズで12年4か月もの間活躍して来た新日本プロレスを離れるアンドレ。猪木にギブアップ負けを許したのはアンドレの謝意であり優勝賞金1,000万円は新日本プロレスからのアンドレに対する「餞別」だった、そんな気がします。
この大会はノーテレビ、ビデオ収録なしでしたが数年前にYouTubeで動画がアップされておりました。6月27日放送のワールドプロレスリングでは前回書いた6月17日、愛知県体育館から猪木vsアンドレ、高田vsザ・コブラの試合が放送されましたが次週7月4日放送、後楽園ホールからの生中継「バーニングスピリット・イン・サマー」開幕戦の予告VTRで「ヘビー級の褐色戦士」ジョージ高野登場が告知されています。
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