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2018年02月17日16:38

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ファンタジープロレスの巨匠桜井康雄さん追悼(284)

75年の後半は馬場が5月まで新日本プロレスに上がっていた大木金太郎の引き抜き、オープン選手権の開催に伴う猪木への参加呼び掛け、力道山13回忌追善興行開催にあたっての力道山家を使った嫌がらせとこれまでマスコミを使って猪木に挑発され続けて来た逆襲に転じました。

これが少なからず猪木にダメージを与えたのは事実で、これを境に猪木は対馬場に関しては口をつぐんでしまいました。

その後の歴史を見ても、猪木、新間コンビは攻撃している時は威勢がいいですが、ひとたび、馬場に反撃されるとシュンと黙り込んでしまうことが多いです。

76年からは馬場、NWAへの執着は一旦捨てて、格闘技世界一決定戦路線をひた走ることになります。

2月6日、新日本プロレス初開催の日本武道館大会は猪木とミュンヘン五輪柔道重量級、無差別級金メダリスト、ウィリエム・ルスカと対戦。バックドロップ3連発からのTKO勝ちでこれに勝利。

2月24日発行のロサンゼルス・ヘラルド・エグザミナー紙が「プロボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリと日本のプロレスラー、アントニオ猪木が6月に東京で対戦」と報じ、これを受けて新日本プロレスでは6月26日、日本武道館でアリと猪木が正式に対戦することで決定した、と発表。

4月の第3回ワールド・リーグ戦では猪木はシードされていた優勝決定戦を左肩の負傷を理由に棄権。5月11日、東京体育館で行われた優勝決定戦では決勝進出者決定トーナメントを勝ち上がって来た坂口がペドロ・モラレスにリングアウト勝ちで初優勝しています。

5月28日、後楽園ホールで開幕したゴールデン・ファイト・シリーズを猪木は4戦出たのみで欠場。アリ戦へ向けた特訓に入りました。

6月26日、日本武道館で行われたアリと猪木の試合は1ラウンド3分、15回闘って引き分けとなりましたが、世紀の凡戦とマスコミに酷評されました。

新日本プロレスのリング上も「アリ・ショック」と言われる位精彩を欠きました。地方興行でも何件かキャンセルが出たと聞いています。

全世界に向けたクローズド・サーキット(有料による衛星中継、今で言うライブ・ビューイング)収入が大幅に売上見込を下回り、アリに610万ドル(約18億3000万円、当時の換算レートは1ドル300円の固定相場制)を支払った新日本プロレスは7億円とも9億円とも言われた負債を負い、倒産の危機に晒されましたがNET(テレビ朝日)から役員が出向してきて建て直しを図ることになりました。

この時猪木33歳、坂口34歳。代表権はなくなりましたがまだまだ再起出来るだけのパワーを持っていました。

7月には前75年12月11日に猪木が日本プロレス史に残る名勝負を展開したビル・ロビンソンが全日本プロレスへ転出。7月24日、蔵前国技館で馬場のPWFヘビー級王座に挑んだロビンソンはあっさりと2フォール奪われて敗れ去りました。

8月のNWA総会では馬場が「猪木はNWAに加盟して1年も経っているのにNWF世界ヘビー級王者と未だに『世界』を名乗っているのはおかしい」とクレームを付けています。証拠品として新日本プロレスの興行用ポスターを提出して糾弾したのは当時馬場派だったヒロ・マツダでした。

NWAはNWA世界ヘビー級王座以外に世界の名称のつくタイトルを認めておらず、ビンス・マクマホン・シニアのWWWFも馬場のPWFも世界の2字をタイトルから削除しています。

猪木はこれにあっさりと応じ、8月29日、世界の2字をNWF王座から削除しました。

10月7日、蔵前で行われた猪木とアンドレ・ザ・ジャイアントの一戦はアリと引き分けたが病院送りにした(足へのローキックを受け続けたアリが血栓症を起こして帰国後入院)猪木と同日、ニューヨーク・シェアスタジアムでのWWWFのビッグマッチでチャック・ウェップナーにリングアウト勝ちしたアンドレによる格闘技世界一決定戦として行われました。

試合は場外でヘッドバットを自爆したアンドレが額から流血し猪木がレフェリーストップによる勝利。

シリーズ終了後、韓国に遠征した猪木は10月10日、ソウル市奨忠体育館でパク・ソンナン(朴松男)を相手にNWFヘビー級王座防衛戦を行い、リングアウト勝ちで防衛しますが、前日の9日、大邱で行われた前哨戦では猪木がシュートマッチを仕掛けたとされています。

12月9日、蔵前国技館では2月に猪木に敗れたルスカが再び挑戦。プロレススタイルで猪木と闘いましたが覚えたてのプロレスでは猪木には歯が立たず、額を割られて流血の末レフェリーストップ負け。

猪木はその後直ぐにパキスタンに遠征、12月12日カラチ・ナショナルスタジアムでアクラム・ペールワンと対戦。ダブルリストロックでアクラムの腕を折ってしまいました。試合は3本勝負でしたが1本目は猪木が腕固め、2本目はアクラムの試合放棄となっています。

アリ戦で負った負債によるストレスからかこの年の猪木には粗暴な一面を見せることも多々ありました。

新日本プロレスの年間興行数もアリ戦を入れて188大会と前年を下回リ、低迷期に入っています。
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