国際プロレスの蔵前大会は日本テレビの全日本プロレス中継の2日後、11月27日午後8時より東京12チャンネルの国際プロレスアワーで放送。
メインイベントのラッシャー木村vsキム・ドクはきちんと放送されましたが、セミファイナルのマイティ井上vs鶴田戦は既に日本テレビが11月25日に生放送。おまけに自局団体の看板レスラーの1人であるM井上は敗れてしまい決勝トーナメントは1回戦敗退。
組合せが組合せだけに仕方ない部分はありますがこれで決勝トーナメントは国際所属の選手はR木村だけになってしまいました。
東京12チャンネルの国際プロレスアワー担当ディレクターである田中元和(げんな)氏は「馬場も鶴田も日本テレビとの個人契約があるからウチには出られない」と後日コメントしていましたが、これはおそらく事実でしょう。馬場vs猪木戦が実現出来なかったのと同じ理由です。
この日本リーグ争覇戦で鶴田の試合を流さないことはまず無理な話で、そこは東京12チャンネル側がいくらかの金銭を日本テレビと全日本プロレスに支払うことで解決したと推測致します。
M井上と鶴田の試合は実況の礒辺建臣アナウンサーと解説の菊池孝氏が国技館の支度部屋にポータルテレビを持ち込み、画面では試合のダイジェスト映像を流しながら、支度部屋で礒辺アナと菊池氏が実況、解説を行い、その模様を12チャンネルのカメラが映す、という12チャンネルにとっては屈辱的な放送となりました。
テレビ局の力関係から勘案して、12チャンネルは出来ることは全てやった感があり、ストロング小林、小林邦昭の新日本プロレス勢の試合は放送出来ない制約はありながらトーナメントに関係ない他の試合を放送してお茶を濁すようなことはせずにトーナメント2試合を放送し、ダイジェストながら鶴田の試合を初めて12チャンネルの電波に乗せたことで、田中ディレクター初めスポーツ局の対応は視聴者に対して誠実さを感じました。
東京12チャンネル側にも事情があり、12月は国際が試合を入れていないことで、4回ある国際プロレスアワーの中継を日本リーグ争覇戦の大会中継だけで埋めなければなりませんでした。
この、歴史的意義の大きかった国際プロレスの蔵前大会ですが、観客の入りは散々でした。
プロレス誌79年1月号の記者による覆面座談会があり、このようなコメントが書かれています。
A「それにしても、国際の客の入りは酷かったな。しかもテレビ中継が始まる前に2階(席)にいた客を下(1階桝席)におろした。正規の料金を払って来ている客が怒ってたけどこれでは仕方ないだろう」
B「本当だ。『次からは安い席(のチケット)で入って前の方で見てやる』と言っていた客もいたな」
A「発表は4500人だったが、実際に入ったのは1000人位だろう」
とまあ、こんな調子で身内であるはずのプロレス専門誌から客入りの実態を暴露されてしまいました。
国際プロレスは15年の歴史の中で6回、蔵前大会を開催しています。開催が多いか少ないかは各人の考え方ですが、いずれにしろ国際プロレスはこの日をもって蔵前はもとより、首都圏の1万人収容規模の大会場からの撤退を余儀なくされてしまいました。
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