84年ビッグ・ファイト・シリーズはこの年も前年同様1週間のオフを置くのみで第1弾と第2弾に分かれて開催されています。
このあたりは新日本プロレスの売り興行数の多さが全日本プロレスを凌駕していたことを現しています。
第1弾は3月2日、プロレス初使用となる神奈川・綾瀬市立体育館で開幕。
ディック・マードック、アドリアン・アドニス、ボビー・ダンカン、ジム・ナイドハート、エド・レスリー、ワイルド・サモアンの外国人選手がシリーズ全戦参加しています。
今シリーズには新WWFジュニア・ヘビー級王者となったダイナマイト・キッド以下、ザ・コブラなどのジュニア戦士達の参戦はありません。
マードック、アドニスのスーパー・バイオレンスコンビは前年11月の第4回MSGタッグ・リーグ戦以来3か月ぶりの来日。
前回の来日ではリーグ戦準優勝、公式戦では優勝した猪木、ハルク・ホーガン組にリングアウト勝ち(83年11月25日、高崎市中央体育館)しており、ホーガン不在で孤立する猪木の首を狙うべくの参戦。
ダンカンも同じく第4回MSGタッグ・リーグ戦以来の来日。前回は初来日だったカート・ヘニングと組んでの来日で、若いヘニング(当時27歳)が狙い打ちされ、最下位のオットー・ワンツ、ウェイン・ブリッジ組に勝っただけの5点と同点最下位でした。
ナイドハートは前年1月の新春黄金シリーズ以来1年2か月ぶりの来日。現WWEディーバのナタリア(ナディア・ハート)の父親にあたります。3度目の来日になりますが、なぜかワールドプロレスリングのテレビ中継に登場することがなく、新日本では印象に残るような試合はほとんどありません。
レスリーは後のブルータス・ビーフケーキで前年8月のブラディ・ファイト・シリーズ以来約半年ぶりの来日、ナイドハートとは逆に試合はしょっぱかったですが筋肉質の肉体で見映えのするバンプを取るところからテレビマッチにもしばしば起用され、そこそこのポジションで使われていました。
サモアンは初来日。ザ・サモアンズ1号であるアファ・アノアイの息子で後にWWFの一大勢力となったサモアンファミリーの期待の若手でこの時20歳でした。
このシリーズ、開幕戦から前田日明、ラッシャー木村、剛竜馬の3人が無断欠場をしています。
前田とR木村は先の新春黄金シリーズ最終戦まで出場、(前田はフィリピン遠征にも参加)剛は1月27日、愛知県体育館を最後にカードから外れており、新日本からは特にリリースはありませんでした。
噂される第3団体への移籍が確実視される中、緊迫した雰囲気が会場を包みこみました。少なくともR木村がシリーズを無断欠場する人物でないことは誰もが知っていた事実であります。
不穏な空気に包まれた開幕戦となった綾瀬大会のメインは猪木、木村健吾組vsダンカン、レスリー組。本当は木村健のところには前田が入る予定でしたが…。
右肘負傷の猪木のコンディションは悪く、外国人組のパワーに押され気味でしたが猪木がダンカンに延髄斬り一閃で体固めの勝利を挙げています。
セミは猪木とのタッグを拒否する藤波がサモアンとシングル戦。僅か4分14秒にサモアンのラリアットをかわしてフライング・ボディアタックから体固め。
アニマル浜口、谷津嘉章組の維新軍はマードック、アドニス組と対戦し浜口とマードックが両者リングアウトの引き分け。
開幕戦でいきなり藤原喜明と長州の因縁のシングルマッチが実現。
ゴングが鳴る前から張り手の先制攻撃を見せた藤原は先手を奪ってチョーク攻撃と一本足頭突き。
しかし長州もバックドロップで反撃、やはりパワーでは長州の方が上でした。
形勢不利となった藤原はリング下から金色の鉄製の凶器を持ち出しました。これを危険と見なしたレフェリーのタイガー服部はゴングを要請、5分44秒、ノーコンテストが宣告されています。
長州と対戦する時の藤原は一本足頭突きとチョーク攻撃だけで渡り合っており、関節技の鬼の片鱗は全く見せることなく試合を展開し、テロリストの面目躍如となりました。
この日再入団した仲野信市が再デビュー戦を行い、第1試合で新倉史裕に腕ひしぎ逆十字固めで敗れています。結果論になりますが仲野は再デビュー後半年でまた新日本を去ることになる訳です。
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