その日の夜。月乃宮の屋敷の応接間にアンジュによってタルダロス達が呼び出された。アンジュは偉そうにソファにふんぞり返り、その横には逆にかしこまって縮こまっているセリカの姿も。両脇のソファにはタルダロス達の他にロキとアリアの姿もある。
アンジュが呼び出した理由は・・・・ケイオス達の足取りについての現状報告を聞くため。
だったのだが、全く進展なしという一言だった為、話が進まない。いつもはこれで終わりだが、蛍の転校も済んだところ。そろそろ見つけ出しておかなければ。
アンジュ「居所に心当たりはないんですか」
エキドナ「少なくとも、この辺にはいないかも・・・・」
ネメシス「そうね。そろそろ探す手段を変えたほうがいいかもですね」
タナトス「居所か。・・・・タルダロス。よもや神界にいる、という事はないか?」
タルダロス「んなこた知らん。とりあえずはアッチでなにかあれば、ミランダの姫さんが一報くれるだろうよ。一応神界も探させちゃいるが、いまんとこなんの報告もねぇな。神の波動でも辿れりゃすぐだろうけどよ、今はできねぇからな」
魔族と人間の抗争時は異能力者もいて、それぞれの波動をたどれたものだが、人間文化リセット戦以降、万物の精霊達がいなくなり、能力者はカをうしなった。それと同時に、波動を辿る、という事も出来なくなったらしい。という訳でいまは’捜査は足で’で歩き回っているものの・・・・まったく見つからず。
それを聞いてアンジュは、いくつかの新聞紙をタルダロスの前に放る。それを手に取る魔族たち。アリアも新聞紙を手に取る。
アリア「新聞紙・・・・?」
アンジュ「殺人事件が最近多く報道されています」
皆して新聞紙に目を通す。確かに刺殺、絞殺、撲殺等、手段は別々だが、新聞の日付はわりと最近のものだ。
セリカ「お姉ちゃん・・・・これがケイオスさん達の仕業だというんですか?」
アンジュ「敵にさん付けしなくてよろしい。ええそうです。タルダロスさん。これがケイオス達にあやつられているものとしたらどうです?」
タルダロス「操るだぁ?」
タナトス「お前はあの、’シンパシー’と’マリオネット’の事を言っているのか?」
アンジュは頷く。200年以上前。まだ人間と魔族が戦っていた頃。魔族が人間を操り、人殺しをさせていた事があった。それは人間が’シンパシー’と’マリオネット’と名付けたその精神操作。シンパシーは操られはするが、身体的や精神的ショックによって解放する事が出来る。しかしマリオネットは何をしても元には戻らず、殺人を止めるには・・・・息の根を止めるしかない。操られるのは悪人ばかりだが、恋人と別れた、家族が死んだ等、マイナス思考状態の悪人以外の者でも操られる事がある。
ネメシス「可能性はゼロでもなさそうですが・・・・」
ロキ「いや。ゼロだね」
今まで目を瞑って黙っていたロキは不意に口を開く。ロキがそう断言する根拠をアンジュが聞くが、どうにも殺しのやり口が違うとの事。
アリア「やり口が違うとは?」
ロキ「アリア姫。ケイオス達は殺しの手段に他人を使ったりしないンダヨ。人殺しをするナラ、自分のテでやらないとつまらない、そういう奴らナンダ。だから、人間が殺しをしている以上、違うネ」
エキドナ「じゃあ・・・・これはただ偶然に連続で起きてるだけの殺人事件なの?」
ロキは無言で頷く。
セリカ「随分と相手の事を知っているみたい・・・・なんですね・・・・?」
アンジュ「そういえば、ケイオス達もあなたを探してるようですが、どんな関係なんです?」
聞かれたロキは・・・・目を開いて・・・・アンジュとセリカを睨む。アンジュはたじろぎ、セリカは半べそになったが、睨んだのはほんの数秒で、すぐに微笑んだ。
ロキ「そりゃそうサ。だってボクは、あいつらと一緒に悪さしてきた間柄なんだから」
アリア「・・・・そうですか・・・・」
ロキ「恋人に別れを告げられ、その恋人を仲間に横取りされてヤサグレテタボクに、ケイオス達は声をかけてきた。もう世界なんてどうにでもなっちゃえと思ったボクは、奴らと一緒に悪さを繰り返した。そしてその集大成が-------------------------」
アリア「ラグナロクだった・・・・ですね?」
ロキ「そういう事サ」
ネメシス「では、あいつらがあなたを探していたという事は、またあなたに悪事をやらせようと」
エキドナ「そ、そんな・・・・だ、だめだよロキさん・・・・?」
ロキ「もちろん♪アリア姫。ボクはあなたと宮凪愛架の前でもう悪さは辞めるって誓ったヨネ?」
アリア「信じて・・・・いいんですね?」
ロキ「信用ないんだなぁ。ま、しょうがないけどネ☆」
ロキは肩をすくめて笑った。どうやらロキはこのまま更生の道をすすんでくれそうだ。がしかし、「1つ、提案があるんだよネ」と真顔で言う。
その提案とは・・・・ロキが1人でフラフラし、おびき出すという作戦だった。端的にいえば、囮作戦だ。
ロキ「ま、悪さの1つや2つすれば、あいつらノコノコでてくるんじゃナイ?」
アリア「ロキ・・・・もう悪い事はしないと----------」
ロキ「わかってるヨ。でも、大きな惨事の為には小さい厄災も・・・・必要悪って必要なんじゃないカナ?カナ?」
タナトス「それには賛同できかねるな」
タルダロス「んだ。まぁ囮作戦という部分には賛成してやるけどよ」
という事で、ロキによる囮捜査が翌日から開始された。後日アンジュによってロキは連絡用の携帯を持たされ、1人で東京を歩く。悪さはしないというのが嘘かもしれないが・・・・ここはロキを信用しよう。
ケイオス達はうまくおびきだされてくれるだろうか・・・・?
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