リビングに向かった律音はテレビを見ていた両親と妹に申込用紙を見せる。
「お姉ちゃん?もしかして・・・・出る気?」
そう聞いてきたのは、ショー党員テールのまだ幼さが残る顔立ちの小学6年生の妹、萌音小学生ながらも姉よりしっかりしており、家事全般を忙しい母親の代わりにこなす。
「やっぱ、お前の娘だよなぁ。やっぱり目指すはお母さんか?」
そう問うのは父親の草薙翔。三種の神器という神のカを操る炎使いの格闘家である。
「・・・・これの事はシャルから聞いてるしテレビでもやってるから知ってるけど、この大会の優勝者は月乃宮プロダクションと契約して、アイドルになるって事なのよ?テレビやネットでみていると芸能界って華々しく映るけど、実際は競争がはげしいし、新人に追いつかれないように練習だってする。ドラマや映画だってセリフを覚えたりしなきゃならないし、常に努力していかなければやっていけない世界なのよ?大丈夫なの?」
そう厳しく律音に意志を問うのは母親の愛架。今も昔も芸能界の一線で活躍し続ける芸能人だ。十代の頃は月乃宮黄金期を支えた中心人物と言われている。現役の芸能人の言葉は重く、説得力がある。あらためてそう聞かれると・・・・そんな事は考えたことはなかった。
小さい頃から母親の現場に連れて行ってもらったりもしたので多少はわかっているつもりだった。だが、ドラマやそれ以外の番組で笑顔で対応する母親。その背景にはどんなに辛く、厳しい練習があったのだろう。きっと月乃宮黄金期を支えた時も、きっと並ならぬ努力を経た結果なのだろう。
しかし・・・・小さなころからの夢はやはり母親のようなアイドルになる事。母親がまだ十代の頃の映像をみて育った律音は、やはり・・・・その夢にむかって進みたい。そうあらためて思い、頷いた。
愛架「・・・・そう。律音が決めたのなら・・・・止めはしない。頑張ってらっしゃい。・・・・ところで、1人で出るの?」
律音「ううん。アイリちゃんと流奈ちゃんと。あ、流奈ちゃんっていうのはね、友達で、カラオケ仲間なんだよっ。私、スポットライトがいらない女って呼ばれてるんだよ」
翔「・・・・なんだそりゃ?」
律音「なんかね、私が歌うとね、身体がちょっと光るんだって。昔のお母さんみたいに」
翔「それって・・・・まさか?」
愛架「・・・・そう。もう発光現象を起こしてるのね・・・・」
萌音「発光・・・・現象・・・・?」
愛架「そう。ねぇ、私たち母娘のご先祖様って、オリジナルアリアっていう事は知ってるわね?そのアリアさんが発光現象を起こしたのが最初。聞くところによると、人ではないんだって」
萌音「人じゃなかったら・・・・なんなの?」
愛架「神様」
律音「かみさま〜?あははは!!おもしろい冗談だね〜〜」
翔「そう思うならそれでもいい。でもよ、事実なんだよ。音楽を司る女神。それがオリジナルアリアなんだよ。そのカがお前達にも宿ってる」
律音「それが・・・・発光現象ってコト?」
愛架「そう。音楽に関する事なら大概の事に発揮される筈よ。だからきっとこの大会でも優勝候補になる筈。でも、これだけ約束して。私の娘という事は誰にも公表しないって。自分のカで優勝してみせるって。いい?」
律音「・・・・うん。でも、アイリちゃんと流奈ちゃんにはもう言っちゃったよ?」
翔「・・・・まぁチームメイトならいいんじゃねぇの?」
愛架「・・・・そうね。でも公にはしないでね?あああと、コレは十代の頃、ZODIACとして活動したときに思ったのだけど、人数は多いほうがいいわ。あと何人かさそってみるといいわ。少人数より大人数のほうがステージが映えるわ。それに、人数が多いほど、合わせるのも大変という事で審査にもいい影響が出るはず。それに・・・・誰か失敗しちゃっても大人数ならごまかせるし?」
律音「ふ〜ん?わかった〜」
萌音「お姉ちゃん?ユニットの名前とか、もう決めてるの?」
律音「ん〜ん。これから皆で決めるつもりだよ」
愛架「そう。頑張ってね」
翔「応援してるぜ」
萌音「がんばって。お姉ちゃん」
家族の応援とともに、許可が得られたことにまずはホッとする。しかしこれからが大変だ。
母親に言う通りに人を増やすなら、勧誘しなければならないし、ユニット名も考えなければ。それに・・・・曲や振付だってある。大忙しだ。曲はだれかの曲でも構わないらしいが、やはり自分たちで作った曲のほうがいいだろう。
律音「いろいろ決める事も多いけど、頑張らなきゃ!!」
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