結婚式。それは女性なら皆あこがれるもの。愛する人と永遠の誓いをし、家族になる。
それが地位のある人とだったら?玉の輿結婚も一度は夢見た人も多いだろう。
しかしそれらを望まず、愛した人と結婚したい。金や地位がなくても。そんな純愛ともいえる結婚もやはり、あこがれるもので。
ここに1人、どれにも当てはまらない結婚に臨もうとしている少女がいた。純白のウエディングドレスを身にまとい、結婚相手である王子と教会の中央を歩いているのは・・・・シーラ。もともと十分なプロポーションのもちぬしであったシーラは、誰もが息をするのも忘れるほど見とれるほど美しかった。王子の結婚相手として、これ以上の女性はいないと。
王子自身もそう思っていた。シンデレラこそ、じぶんの結婚相手として相応(ふさわ)しいと。
だが、シーラ自身もそう思っているかというと・・・・そうではなかった。彼女が一生添い遂げたいと思う相手は・・・・王子ではなく、雅輝だった。彼女はいま、運命の結婚という、望まぬ結婚式に臨んでいた。とはいえ、別に王子が嫌いという訳ではない。今まで王宮で暮らしていて、本当に絵本の王子様のようにやさしくて恰好よくて、シーラのことを気遣ってくれている。好きか嫌いかと聞かれたら、少なからず、好意はもっている。しかしそれが結婚したいと思えるほどの好意かと聞かれたら、否である。
しかし正木への想いは違う。明確な愛情があり、ずっと一緒にいたいと思える相手。たとえシンデレラの物語が破綻しても・・・・とはいかない。そんな重い??愛情、雅輝には重すぎだろう。
いままでその重たい想い、は迷惑だろうと踏ん切りもつかず、せっかく幻想世界にまで来てくれた彼をも拒んでしまった。
・・・・いや。今はもう何を言っても遅い。もう結婚式当日なのだ。別の男性の事を想っているなど、王子に失礼だ。
だがしかし・・・・一縷の望み・・・・もしそれがかなうなら・・・・
結婚式が進む中、大聖堂の表で何やら騒ぎが起こっているようなので、式を中断。神父が入口へ向かう。
「なんだね一国の王子の婚儀に騒ぎを起こすのは誰だね」
聖堂の扉をあけて、扉の先にいる兵士にそう尋ねる。兵士は困惑した顔で神父をみる。
「いや、それが・・・・」
3人の兵士が誰かを抑え込んでいた。うつ伏せになって取り押さえられている男。雅輝だった。雅輝は開け放たれた扉から中にむかってシーラの名前を呼んだ。何度も、何度も。
どうしてこの人は。何度も拒絶したというのに、こうしてきてくれるのだろうか。
一縷の望み。それは式の最中に雅輝が乱入してさらってくれる事。それは叶ってはいけない思い。願い。幻想世界の事を想うなら、願ってはいけないことだった。しかし彼は来てくれた。
シーラはドレスを翻し、王子に謝罪する深々と頭をさげる。そしてドレスの裾をつまみながら、雅輝の許へとかけていく。そのシーラを兵士を無理矢理押しのけて雅輝は抱きしめた。雅輝はシーラの手を取って大聖堂から駆け去って行った。
一方、直前になってシーラを奪われた感じになってしまった王子だが、スポーツの勝負のあとのようなすがすがしい顔で「負けたよ雅輝君。・・・・君の勝ちだ。こんなところにまでやってくるほどの愛にわたしなどでは勝ち目はなかったのかもね」と肩をすくめた。
シーラを奪い去る事に成功した雅輝。シーラの手を取って時空のひずみへと向かっていった。これでやっとハッピーエンドが迎えられる。
しかし・・・・シーラは・・・・目を伏せて・・・・何か思い詰めている様子だったのにが気づいていなかった--------------------
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