学校。それは1つの狭き世界である。
1つの社会の縮図ともいえよう。
筝葉理夢。中学生の女子生徒。彼女はいま、登校途中であるが・・・・足取りがとても・・・・重い。義務教育だからやむを得ず通ってはいるが・・・・彼女は学校に行きたくはなかった。
社会問題ともいえる学校の問題。それは・・・・イジメである。彼女はその被害者だった。クラスの中ではそこそこ美少女寄りなので男子ウケはいいのだが内気で根暗な性格は彼女は女子のいい標的でしかなかった。
持ち物をぶち撒かられる、隠される、上履きを隠されるなどというものが主と思われるが、どちらかというと・・・・彼女自身への身体的暴力のほうが多い。可愛く内気な彼女は男子からは守ってあげたくなるような少女だが、女子はそれも気に食わない。
このクラスにいる女子生徒・・・・望月莉亜。理夢をイジメにかかっている首謀者の名前である。理夢と対極にいる彼女は社交的で美少女というよりは美人系。それだけならまだいいが、彼女は多くの男子が可愛い理夢に向けられているのが気に食わない。・・・・排除する。短絡的だが彼女は女王様気質でクラスの女子を掌握し、集団的イジメが横行していた。担任の前ではいい顔をしており、クラスでイジメがある事をおそらく認識していまい。
誰かが職員室へ通報にいけばいいのだが、報復が怖くて誰もいかない。男子も同様なので、クラスでやりたい放題なのである。
ただし、女子が一丸となってやっている訳ではない。水文瑞樹、六土好愛という2人の女子生徒を含めて数人はこのイジメに参加していない。
水文瑞樹(みなふみ みずき)。理夢の数少ない友人の1人。元気で人当たりもよく友人も多い。理夢イジメ反対を表明しており、莉亜に目を付けられている。
六土好愛(ろくど ここあ)。理夢の数少ない友人の1人。おとなしい性格だが、理夢へのイジメには断固反対姿勢をみせるなど、強い意思も持ち合わせている。カメラとガンプラが趣味と美少女大好きの困った兄がいるらしい。
この2人を含めて数人はイジメ反対勢力とも言える。反対派は皆、理夢の友人たちだ。
放課後。ふか〜いため息をついて下校の準備をする。この日は瑞樹達のおかげでイジメられるのは阻止されたが---------------
友達に頼ってばかりではいられない。申し訳ない。
変わりたい。そう思う。
・・・・そう・・・・あの人みたいに。そう思い、グラウンドでサッカー部の練習中の男子の1人に目を向けた。
桐原悠也。理夢の幼馴染の男の子である。活発で爽やかな彼は友人も多く、また顔もまたイケメン顔であるためモテる。
理夢はぽつりと「瑞樹ちゃんやゆうちゃんみたいになれたらなぁ・・・・」。内向的、引っ込み思案な彼女には対極な性格な2人を憧れとしてみていた。悠也に対してはあこがれ以上の感情もあるが。
幼馴染の悠也に頼れば今の状況を一変させられるかもしれないが・・・・もしかしたら悠也自身にもなにか迷惑をかけてしまうのではないか。そんな不安からSOSを彼にはだしていない。悠也もまた、イジメに遭っている理夢をどうにかしてやりたいとおもうのだが、モテ男と自覚している彼は女子のやっかみからさらなるイジメのエスカレートを懸念して実質的行動はしていない。
大好きな悠也を困らせたくない。だから助けを求めず今に至る。
そんな悠也をポ〜っと見ていたらいつの間にかグラウンドから「おつかれっしたー!!」という大声が聞こえてきた。ハッとしてグラウンドをみると・・・・誰もいなかった。ボーっと悠也の事を想っていたらいつのまにか部活が終わる時間になってしまったらしい。鞄を手に取り、校舎を出た。
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