3日後。PV収録の日がやってきた。
3人の出来。それは燿は確認していない。いやSTAR-MINEのにかかりきりでみられなかった、というべきか。
どこまで練度が上がっているかが心配だ。PV収録の日もSTAR-MINEの仕事についていかなければならなかったが、彼女達に任せる事にした。
撮影は放課後。最終練習と称して昼休みに練習したそうだが-----------
腕組みをして3人を見回す。
輝莉は早くやりたそうにサビの所を歌っている。3日前から1番出来の良かった彼女だ。心配いらないだろう。表情をみていてもワクワクしているのがみてとれる。
星名は歌ってはいないがアイリーンがデザインした衣装にもう着替えており、「こんなのを作ってみたいなぁ」などといいながら姿見で前と後ろを確認している。その顔に曇りはない。練習はみっちりやったとみていい。
乃愛は撮影直前だというのに何の用意もせずに椅子に座ったまま俯いている。
緊張しているだけならいいのだが。練習の甲斐もなく成果がでていないのなら---------
ちょっと確認してみたほうがいいのかもしれない。
燿「どうしたんだい?もうすぐ始まるよ」
乃愛「もうしわけありません。練習は頑張ったのですが・・・・その、練習の成果が・・・・」
後者のほうだった。3日前も遅れていたし、そんな予感はあった。
乃愛「輝莉さんと星名さんに合わせるのでいっぱいいっぱいで。全く自信がもてないのです」
とりあえずズレないように踊れはするらしい。ただ時々ズれてしまうと話した。
響介「別に収録は1回だけじゃないんだ。ダメなら撮りなおせばいい。合わせられた時の画をつかえばいいさ。気負わなくていいよ」
鳴鈴「あら、アンタもたまには良いこと言うじゃない。でもその通りよ。撮り直しはできるからこっちの方は気にしないで」
燿「という訳さ。すこしは気持ちが軽くなった?」
乃愛「はい。はりがとうございます」
そう言って椅子から立ち上がって輝莉達のところへ向かっていったが・・・・表情がいまいち晴れやかではない。いくら撮りなおせばいいとはいえ、皆に迷惑をかける事を気にしているのだろう。
その心配はないだろうに。
輝莉「撮り直しできるの?わーい、何回も歌えるんだー!!」
星名「その間はこの服、ずっと着てていいんだよね?ね?」
ほら。2人共気にしている様子は全くない。「ありがとうございます」と言うと、乃愛も別室で衣装に着替えてきた。
燿「じゃあ始めようか」
再生された美久の曲に合わせて流奈の振り付けで踊って歌う3人。
残念ながらリテイク無し、とはいかなかった。
燿「テイク9。スタート」
8回失敗。だが3人は踊りが揃うまで諦めなかった。そして9回目にて成功したのだ-----------
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『勇気のツバサ』
作詞作曲:音羽美久
振り付け:速水流奈
衣装考案:月乃宮アイリーン
音も光もなく、静寂な世界 膝を抱えて蹲る
目の前には外の世界へのトビラがみえる
手を伸ばすも届かない 近くて遠いドア いつになったら 届く?
届かない理由(わけ)は知ってる 開ける勇気がないから
でもそんな自分を変えたい 開けるなら 今、 行こう!!
白いドアあけたらほら 君にもみえる 緑の草原と蒼い空
今踏み出そう 勇気を出して 勇気のツバサ
------------間奏---------------
勇気をだして 学校に来てみたけど 友達もいない
自分の周りには誰もいなくて 寂しい空間
「友達ほしい?」 「うん、ほしい」 でも勇気が出せず
話せない理由(わけ)は知ってる 笑顔になれないから?
そんなあなたに似合う あなたに届け 勇気のツバサ!!
さぁ勇気をだして 話しかけてみよう ニッコリスマイル
今駆けだそう 勇気を出して 笑顔のツバサ
------------間奏-----------------
2つの羽で飛びだせたなら あとは元気
それができたなら あなたに届く もう1つのツバサ
白いドアあけたらほら勇気を出して 勇気のツバサ
今駆けだそう 勇気を出して ニッコリスマイル
さぁ3つの羽をそろえたなら いま飛び出せるはず 夢のツバサ
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できあがったPVは少々時間が長くなってしまったが、カットするシーンもないのでそのままアップロードされた。
その後3人は燿のノートパソコンにて’PROJECT-STAR-LIGHT 2ND’のエントリーを済ませた。
燿「これで君達’Ecriture’は正式にエントリーされた。これからもっと練習してもらうからね」
輝莉「え?もうここまで出来てるのに?」
星名「もっと完成度を上げろ、って事だね」
燿「違う。大会規定にあるでしょ。’未発表のものに限る’って。だから君達には予選用に新たに創りなおしてもらう。今度は曲も振り付けも衣装も全部やってもらうからね」
乃愛「そうでしたね。私はもっと踊れるようにしないといけませんね」
星名「今度は私達でかぁ。がんばろうね」
輝莉「うん!!」
後日、STAR-MINE妹分ユニットとして活動を始めたEcriture用ページには多くのコメントが寄せられた。多くは「可愛い!!」「がんばれ!!」「STAR-MINEに続け!!」といったものだったが、中には「これ、STAR-MINEの曲なんじゃ?」「まだ曲作りはできないのか」「ロングヘアーの子、ちょっとズレてない?」などというコメントも寄せられた。
曲作りはこれからやってもらうし頑張ってもらうしかないが・・・・乃愛のちょっとズレは一番少ないものをアップしたのだが、分かる人にはわかってしまったようだ。そこも課題だろう。
燿「これは・・・・乃愛ちゃんにはキレっキレの踊りもできるようにスパルタしないといけないかな」
と動画を見直した燿がひとり呟いた。チラリと別ウインドウのメールボックスの受信メールをみる。そこにはエントリーチームへ送られてきた、運営からのメール。
そこには5月中旬に東京予選が行われるのだそうだ。日時は追ってメールをくれるらしいが、全部これからとなると時間はない。燿はアイリーンに電話をしたあと、テキストドキュメントを開いてタタタタタと軽快なスピードで文字を打ち込んでいく。
そこの最上部にかかれた文字は
『STAR-MINE 、 Ecriture合同合宿について』
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