都内にある寺院にやってきた3人は墓前にて手を合わせる。
一足早く手を合わせた博人は2人をみる。蛍は目を瞑って手を合わせており、愛瑠は目を瞑ってはいなかったが墓をじっとみていた。みていると蛍は泣きながら手を合わせていたが、愛瑠は泣いておらず、ただ手を合わせてじっと墓をみつめるだけ。愛瑠は鈴鳴希望の生まれ変わり。魔族との闘いでたくさんに死を看取ってきた。看取ったのは人でもあり、魔族でもある。数えきれない死を観てきたので人の死については蛍より触れている。しかし、両親の死はやはり思う事もあるだろう。
博人は墓石をみる。名前と没っした年齢が刻まれている。
(・・・・30代前半か。無念だったろうな)
今は高校生の身空だが、2度の輪廻転生を経験する彼。30代といえばまだまだたくさんやりたいこともあっただろうに。それがたとえ天照を祀る家の者だったとしても。2度の輪廻転生を経た彼にはその無念さがなんとなくわかっていた。
やがて墓参りを終えた3人は東京まで戻り、蛍を見送る。博人と愛瑠は変える家は同じだが、彼だけ天宮の親戚の家だ。別れの挨拶を交わし、家路につく。
夕方。家に帰ると、博人の妹が出迎えた。名は草薙恋美という。愛瑠と一緒の小学5年生でクラスメイト。背丈が低く、小学校低学年とも言える程度でしかなく、容姿は間違いなく美少女。くりくりした大きな目が特徴であるが・・・・その目はいまはジト目である。背丈の小さい小学5年生の恋美は髪型をショートツインにしているせいか余計に小学生低学年にみえる。
その恋美は言った。「おかえりなさい」と。ジト目で。
博人「ただいま。なんでお前ジト目なんだ。機嫌悪そうだな」
恋美「べつに。ねぇにいにい?愛瑠とのデートはどうだった?前世のコイビトとイチャイチャできて、さぞかしオシアワセだったんでしょーね」
博人「馬鹿いうなよ。愛瑠と蛍の親の墓参りにいったんだ」
恋美「ああそうなの?ならいいけど。ねぇ愛瑠?前世が恋人だからって、今世でも彼女になれると思わないことね。だって、もう奥さんがいるんですもの。誰ですって?もちろんこのにいにいを超絶に愛している妹よ!!」
ない胸をそらしてドヤ顔で宣言したあと、頬を染めてクネクネしはじめた。そして1人で博人と自分が結婚した後の新婚生活の劇場をはじめた。
・・・・この恋美、実の妹でありながら、兄と本気で結婚したいと思っているし、実際に出来ると思っている。その為なら・・・・兄に近づく女は全て斬り伏せてもやむなしというちょっと??サイコなブラコンな妹だった。しかし親友の愛瑠と母親だけはとりあえず許可はしているが、兄と結婚するのは自分というのだけは譲らない。
そしてその恋美はジト目のまま愛瑠に「ところで?」と詰め寄った。
恋美「ねぇ愛瑠?夕べにいにいのベッドで一緒に寝てたでしょ?どうして?ねぇどうして?愛人のくせに本妻にぬけがけするなんていい度胸よね。ねぇ?斬られたい?燃やされたい?ねぇ?バラバラにされたい?」
博人「お前の発言、もう病気だぞ!?それとどうしてそれを知ってんだ!?お前、先に自分の部屋で寝てたんじゃねぇのかよ!?」
確か夕べは・・・・恋美は「おやすみ」と言い残し、リビングから一足先出て行ったはず。それが午後8時頃。「一緒に寝たい」と愛瑠が博人の部屋を訪れたのは夜10時を過ぎていたのは覚えている。寝ていなかったのか・・・・?と思っていると、恋美は無言で首元から胸に手を入れ、服の中から・・・・動画が撮影できるカメラがでてきた・・・・!!
愛瑠「・・・・ねぇ恋美ちゃん・・・・もしかして・・・・盗撮・・・・」
恋美「盗撮じゃないわ。監視カメラよ。人聞きの悪い言い方しないで」
博人「なんの監視だよ!!」
恋美「もちろん、愛瑠がにいにいに夜這いをかけた証拠画像の為」
愛瑠「夜這いなんてしないよ!!??」
恋美「あと、自分の部屋にも設置してある」
博人「なんでだよ!!」
恋美「もちろんにいにいが夜這いに来た時の証拠画像」
博人「実の妹に夜這いかける兄と思われてるのか俺!?いや、身内贔屓とはいえ、お前は確かに美少女だけど!!」
恋美「それとは別に、その動画を後で鑑賞する為に。はぁ・・・・想像しただけでみなぎる・・・・!!」
博人「病気だぞ!!もうお前、病気だぞ!!」
恋美「病気?どうして?ほほえましい兄妹愛じゃない」
愛瑠「・・・・ほほえましい兄妹愛・・・・」
もう’ほほえましい兄妹愛’という一線を越えている気がするのだが・・・・あえて愛瑠は言わない事にした。恋美はその小柄の身体にどう隠しているのかわからないが、背中から2本の日本刀がでてくる。引き取られてきた当初、愛瑠は幾度となくその2本の剣に斬られそうになっていた。
・・・・サイコを通り越して・・・・もはやホラーではないかと愛瑠は思っているが、それも言わないでおく。
愛瑠と蛍の両親の墓参りにいった事は蛍から裏を取れたので(わざわざ恋美が電話した!!)、その後は2人で何をしていたのかをリビングで聴取された。どこにも寄らずにまっすぐ帰ってきただけなのに、どんな話をしていただとか、わざわざ2人きりの時間を長くするためにあえて遠回りして帰ってきたんじゃないかとか、本当はどこかに寄ってきたんじゃないかだとか、もう説明して解放されるまでに30分を要した。
博人「ごめんな。こんな妹で」
愛瑠「ううん。仲が良いのは良い事じゃないかな。ちょっといきすぎな気はするけど。ねぇおにいちゃん。両親が殺されたのはショックだったけど、同じく転生してくれたお兄ちゃんがいたから私、救われた。ありがとう。お兄ちゃん」
博人「愛瑠・・・・」
2人で見つめ合っていると・・・・カチャンという音がしたので2人してその方向をみると・・・・
小鬼がいた。背中から2本の刀を引き抜いてグ○コのポーズをしていた。
恋美「愛瑠。何してるの?まさか、にいにいに色目を使ったりしてないよね?にいにい待っててね?今すぐこのにいにいに言い寄る悪い虫を排除するから」
愛瑠「・・・・え。」
恋美「歯をくいしばれやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
恋美は炎を纏わせた2本のカタナ(草薙家の一員なので炎が使える)を振りかぶって跳躍し、愛瑠に襲い掛かった。愛瑠はリビング内を逃げまどう。それを追い回す恋美。
博人「・・・・まったく・・・・仲がいいのか悪いのか・・・・」
博人は肩をすくめてその様子をみていた。割とこれは日常茶飯事なので見慣れている。止めはしない。以前止めに入ったが、「にいにい?何で止めるの?やっぱりこの女とデきてるんだ?まったく正妻がいるのにこのドロボウ猫・・・・ジャッジメントをくれてやるわ」と言って結局愛瑠に襲い掛かったので無駄な事もすまいと傍観するだけにしている。
今回の草薙家、愉快な一家であった・・・・。
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