ブラリと夜の公園へとやってきた。都立公園。公園の灯りはちらほらとしかなく、なんとなく薄気味悪い。
そういえば・・・・と思う。全ての始まりはここだった。ふと空を見上げ、墜落してくる未確認飛行体。それを追ってこの公園へ。そして宇宙人と出会った春。クロムと名乗る犬のような宇宙人がアイテムのテストと称して地球に来たのが始まりで、女子高生探偵を始めた季節。
色々な出会いと別れを経験し、探偵業でいろいろな人と触れ合った。それが自分にどう影響したか・・・・それは分からない。しかしなんとなく・・・・人として成長出来たのではないか。そう思えた。
楽しい事件などない。悲しい事件ばかりだった。それでも自分の糧になってくれた・・・・シーラはそう思った。
様々な人と出会い・・・・別れ・・・・楽しい思い出や悲しい思い出、辛かった思い出。幸せだった思い出。いろいろな事が走馬灯のように思い出される。
そんな色々な思い出を胸に・・・・明日、幻想世界へ旅立つ。
親しい友人や紡音と義理の両親。そして月乃宮の人たちや龍刃。皆への別れの挨拶は済んだ。明日また見送りに来てくれるらしい。全くありがたいことだ。特に紡音の両親には感謝の念が絶えない。
そして・・・・2つの家の問題も今日、解決された。
もう・・・・思い残すことはない。
・・・・本当に?やり残したことはないか?色々と思い出しながら歩いていると・・・・
なにかの金属音とキーボードを叩くような音。そしてなにかの電子音が聞こえた。
一体何事?シーラは音のする方へ向かっていくと・・・・そこにはクロムがいた。乗ってきた宇宙船のメンテナンスでもしているのだろうか。モニター類をいろいろと操作している。
シーラ「クロム君。何してるの?」
クロム「ん?ああ、シンデレラ。君は明日自分の世界に帰るんだよね。僕も明日、自分の星に帰るから、船がちゃんと動くかテストしてるんだよ。でもまぁ、とりあえす問題はなさそうかな」
そう言うと、1つ1つとモニターの電源を落としていく。
クロム「随分と今更になっちゃったけど、ありがとうシンデレラ。君のおかげであのアイテムのテストのデータがとれたよ」
シーラ「こちらこそ。私もあのアイテムを通していろんな人と出会って、人として成長できた気がする」
クロム「そっか。それは何より。でも残念だね。太陽系のちょっと外側にある惑星だから、また君に会いに来れるかと思ってたんだけどね」
シーラ「・・・・そうだね・・・・」
それぞれ別惑星、別の世界に帰るのだ・・・・・・・もう2人が会うことは・・・・2度とないだろう。
クロム「君には会えないけど、また来るつもりだよ。地球、気に入ったからね」
シーラ「うん。また来てね。みやこちゃんやセレナちゃん、美冬ちゃんも喜ぶよ・・・・・・・・あ、そうだ。クロム君は送別会来なかったよね。これから2人でお別れ会しない?ケーキとかお菓子とか買ってさ」
クロム「いいね。そうしようか。この1年の思い出でも話しながらさ」
クロムはそう言うと宇宙船を降り、シーラと一緒に龍刃の家へ。それから夜遅くまで2人で語り合い、やっと眠ったのが夜中の4時頃だったという。
明日・・・・シーラは幻想世界へ・・・・クロムは遠い太陽系の外まで帰る。
遠く離れていても、この1年間の思い出はずっと2人の心に残るだろう-------------
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