・・・・・・・・轢かれた。
私は・・・・轢かれたんだ。アスファルトにあおむけに倒れて思った。私は・・・・死ぬんだ。短い一生だった。そんな事を思いつつ、自分の死期はわからないんだなとか冷静におもったりする。
・・・・そして気づく。・・・・撥ねられた筈なのに・・・・痛くない。ただ・・・・何か重いものが自分にのしかかっている。ふと自分の周囲を見てみると・・・・あおむけになっている悠也の姿があった。自分の胸のあたりに顔をうずめるようにして。そしてガバッと顔をあげて自分に「大丈夫か!?」と叫んでいる。
理夢「う、うん・・・・大丈夫・・・・ただ・・・・頭が痛いけど・・・・」
どこかにぶつけたのか、頭だけは痛いが、それだけだ。それを聞いて深いため息をついて笑顔をみせる悠也。
悠也「そうか。悪いな。助けに突っ込んで、勢い余って頭をぶつけた。俺も頭が痛い。ま、おあいこだな」
どうやら悠也は自分を助けに来てくれたようだ。自分も轢かれるであろうに。私は無事を主張するように笑顔でお礼を言った。悠也はちょっと照れたようにして自分を起こして立ち上がらせる。
悠也「お前の笑顔、久しぶりに見た気がする。相変わらずその・・・・か、かわ・・・・」
理夢「かわ?かわ?」
悠也「な、なんでもない!!それより頭ゴッツン以外にケガはないか?」
理夢「う、うん。ありがとうゆうちゃん」
「き、君達・・・・大丈夫だった?」
危うく理夢達を轢くところだった車の運転手の男性が安否確認に車から降りてきた。無事を確認すると再度車に乗り込んで走り去っていった。
悠也と理夢は並んで歩き、互いの家の前で別れて中へ。自分の部屋で制服を脱ぎながら・・・・思う。
悠也が助けてくれたはいいものの、いなかったら自分は死んでいただろう。昔からそうだ。自分は悠也に助けてもらってばかりだ。小学生低学年からいままでずっと。いろんな事を助けてくれたり一緒に遊んでくれた悠也を理夢は大好きだった。口にはしないけど。中学生になってからは一緒に遊んだりはしなくなったが、まぁ思春期の中学生だし仕方ないが、ちょっと・・・・いや、かなり寂しい。
もし・・・・莉亜達イジメグループの存在がなかったら・・・・自分達の関係はどうなっていただろうか。ただの幼馴染よりステップアップした関係になっていただろうか。そう思うと顔が熱くなる。
(告白して・・・・付き合ってたりしてたのかな・・・・。でもだめだよね。私みたいな根暗な性格じゃ・・・・)
今度はもし、自分に人の死期が観える忌まわしい異能力がなかったら・・・・明るい・・・・悠也につりあう可愛い女の子になれただろうかと考える。多分、このおとなしい性格は変わるまい。
理夢はおとなりさんの悠也の部屋を見る。自分は悠也が大好きだ。それはもうはっきりした気持ちで。では悠也がどう思っているだろうか。ただの幼馴染としか思っていなかったりして。それどころか手のかかる幼馴染で迷惑に思っているかもしれない。そんなマイナスイメージしか沸かない。
変わりたい。散々そう思うのだが・・・・
(何か・・・・きっかけでもあればなぁ・・・・可愛く明るい女の子になれそうな・・・・)
それは無理かもしれないが、せめてもうちょっと根暗性格をどうにかしたい。そして・・・・告白する勇気も欲しい。
理夢「・・・・く・・・・くちゅん!!・・・・あ・・・・」
理夢はかるくクシャミをした。そういえば自分は制服を脱いでブラとショーツだけを身に着けたほとんど裸の状態で長々と考え事をしていたようだ。
さて・・・・部屋着に着替えようそう思った刹那、視界がいきなりホワイトアウトし・・・・そして・・・・視界が元に戻った。
今のは何だったのだろうか。そういえば悠也が助けてくれた時に頭をぶつけたのだった。たぶんまだ眩暈かなにか残しているのかもしれない。さぁ服を着よう。
そう思って・・・・なんだこれ。
なぜか下着姿の自分が・・・・男用制服、要するに学ランを着ていた。なんでこんな物を着ているのかわからない。一瞬で眩暈を起こしたまま着たのか?いやいや。そもそも学ランなど持ってない。
辺りを見回した-------------
理夢「・・・・あれ・・・・?ここって・・・・」
辺りを見回して気づく。ここは悠也の部屋だ。小学生の時に入って以来だが、見覚えのある家具、見覚えのある机、本棚。床にサッカーの雑誌やボールがある。
瞬間移動でもした?そう思ってとりあえず自分の家に帰ろうとドアへ----------------
理夢「・・・・・・・・へっ!!??」
素っ頓狂な声があがる。クローゼット横にある鏡が目に入ったが自分の姿は-------------
学ランを着ているどころか・・・・悠也が鏡に映りだされていた-------------------------
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