テラスで夜風にあたっていると、追ってでてきたアイリーンに声をかけられた。アイリーンは律音の隣にやってきて、星を見上げる。
アイリーン「・・・・行ってしまうのね」
律音「うん。後の事はお願いね」
アイリーン「私達は日本で活動。あなたは世界で。全然規模が変わってしまうわね。もうそうそう会う事も出来ないわね」
そう言うアイリーンはちょっと寂しそうだった。確かにと思う。夏休みと冬休みには帰ってくるつもりではいるが、もしエトワールやフリステスツアーコンサート選抜に選ばれたりしたら・・・・帰って来られないかもしれない。だからといって頑張らない選択はない。全力で頑張るつもりだし、エトワールや選抜に選ばれたいとも思っている。
その結果・・・・万一、メンバーと何年も会えない結果になったとしても。
律音はアイリーンの手をとった。
律音「アイリちゃん達は日本で。私はイギリスで。活動場所や道は違っちゃうかもだけど、ずっと友達でいてね?」
アイリーン「・・・・もちろんです。私達は親友でしょう?電話もメールもやりましょうね」
律音「あれぇ?アイリちゃん素直だね。いつもなら、『し、しかたありませんわね!!これからも友達でいたいならいてあげてもよろしくてよ!!』っていうのにさ?」
アイリーン「・・・・私、そんなに素直じゃないかしら。でも、こんな時はそうそう会えなくなるのだから、言いたい事は言わないと」
律音「・・・・言いたい事・・・・かぁ。うん。そうやって素直なアイリちゃんは可愛いよ♪燿君と仲良くね。燿君もプロデューサー見習いで大変になるだろうから、元気づけてあげてね」
アイリーン「そうね」
道を違えてしまったメンバーと律音。しかしこの1年間の共通の想いでがあれば寂しくもない。いや・・・・やはり寂しいか。2人はしばらく無言で星を見上げていた。
名残は惜しいが・・・・パーティも終わりが近づいている。まだ中では談笑が続いているが、そろそろ終わりだろう。
アイリーン「頑張りなさいよ。途中で帰ってきたら許しませんわよ?」
律音「うん。アイリちゃん達も頑張ってね」
そう言葉を交わして握手。握手をしたままお互いを見つめる。この手を放したら・・・・もう違う道を歩む2人は会えないかもしれない。しかしいつかまた道が交わる事を信じて---------
そうして見つめ合っていると、響介がやってきた。その手にはプロカメラマンも使うような仰々しい黒光りするカメラがある。
響介「律音ちゃん、お嬢様。最後の記念撮影するから並んでよ」
律音「あ、うん。行こっアイリちゃん」
アイリーン「ええ」
響介「あれ?なに見つめ合って手をつないでんのさ?あ、わかった。風祭は辞めて、律音ちゃんにのりかえたんだ。そうかそうか。お嬢様はガチ百合だったと」
アイリーン「その腐った脳みそ、吹き飛ばしてあげましょうか?」
響介「え?やだなぁ。9割しか本気で言ってないよ?え?なに?その両手の電気と炎は?まさかオレっちにやろうとしてないよね?ね?」
アイリーン「ええ。あなたを殺ろうとしか思ってませんわよ」
響介「ひぃ!?怖ぇぇぇぇぇ!!」
カメラを守るように抱いてホールに戻っていく響介。それを追うアイリーン。それを見ながら「こんな事ももう見れなくなるんだな」としみじみ思う。
この1年、楽しい仲間に恵まれたと思える。楽しく活動し、ここまでこられた。もちろん辛い事もあったし、楽しいだけではなかった。それでもこの気のおけるメンバーに囲まれて乗り越えてきた。
律音はそんなメンバー達と別れ、新しい世界に身を投じる。たまに夏や海や冬休み。あとは電話でもしていれば寂しさも少ないだろう。
律音「うん。皆もがんばるんだろうし、私もがんばろ」
2人を追って、ホールへ戻っていった。
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