都立公園の桜並木を2人で歩く。燿は少し前を歩く愛架の愛架は風になびく長い髪を手で押さえつつ、桜を見上げていた。燿も桜を見上げる。桜が満開になるにはまだ早く、4〜5分咲くらいだ。
桜を見つめる愛架をみる。その姿が美しいと思う。陳腐な表現しかでてこないが、女神様が憂いた表情で何かを見つめているような。本当かどうかは分からないが、愛架と律音は音楽の女神の末裔だとかと聞いた事があるが、まさに女神様だ。
愛架「あ、ごめんなさいね私、桜って好きなの。毎年翔さんとお花見に来てるのよ」
燿「そうなんですか」
2人でしばらく桜並木を散歩する。愛架は楽しそうだ。ちょっとはしゃいでいるようにも見える。3人の子供がいる女性だと思えない可愛い笑顔で。笑顔をみていると、こっちもつられて笑顔になりそう。そういえば、律音も辛いとき、大変な時でも彼女の笑顔はメンバーを元気づけたであろう。そう思うと、やはり母娘なのだと思う。
愛架「・・・・ん?どうしたの?」
しばらく愛架を見つめているとボーっとみている燿にニッコリ笑顔で聞いてきた。まっすぐみられなくてそっぽ向く。
・・・・ちょっと顔が赤くなっているかもしれない。
燿「い、いえ。ちょっと女神様のように美しいなって・・・・」
愛架「あらありがと♪。私、まだまだ女としての魅力あるかしら?傍からみたらデートにみえるかしら?でも、38のおばさんじゃつりあわないわよね」
いや、十分魅力的過ぎますといいたかったがやめといた。今でも多くのファンをもつ愛架。律音も大人になったらこんな美人になるのだろうか。
愛架「さて、デート気分も堪能したし。本題に入るわね。燿君。さっきの話、どう思った?」
さっきの話というのはおそらく月乃宮プロダクションでのプロデューサー修行の事だろう。プロとしてやっていけるかどうか・・・・不安なところでもあるが・・・・興味はあった。
燿「正直不安ですよ。父さんはプロデューサーとして成功してますけど、僕もそうなれるかどうか」
愛架「きっとなれるわ。律音に聞いたけど、メンバーの誰からもあなたに対する不満は今まで出なかったって。1年間不満を抱かせないって結構すごい事なのよ?」
燿「そうですか?」
愛架「ええ。業界にはいろんなプロデューサーがいるわ。自分の価値観主体をタレントに押し付けたり、タレントに無理なキャラ作りを強いたり、人気急上昇中だからといって、タレントの体調なんか無視して次々と仕事を入れてきたり。レッスンもスパルタ過ぎてついていけない子もいるって聞いた事があるわ。でも、律音がいうには、あなたはそのどれにも当てはまらないって」
燿「うわぁ・・・・・・・・。父さんはどうなんです?」
愛架「史記さんは、面白くて楽しくて、やさしくて。あんなプロデューサー、そうそういないわ。どうしてアイドルと浮いた話が出なかったのかってくらいに大人気プロデューサーだったわ」
どうやら父親はモテていたらしい。
愛架「だったっていうと、今は違うように聞こえるわね。今でも史記さんは大人気よ。もし、あなたがプロデューサー修行するなら、お父さんに師事するといいんでしょうけど、あの人は半タレント半プロデューサーだから忙しい人だし、多分違う人になっちゃうわね」
燿「そうですか。そうですよね」
愛架「・・・・ね、燿君。これは私の希望・・・・っていうか、お願いなんだけど。出来るなら、プロデューサー見習いとして来てほしい。元STAR-MINEのメンバーの傍にいてあげてほしい。と言っても事務所も色々と売り出し戦力を考えているようだし、あなたも修行があるだろうから、コミュニケーションをとるのは学校にいる時になっちゃうかもだけど。それでも見守っててほしい。きっとあの子達のカになるだろうから」
燿「・・・・僕が?」
愛架「ええ。心を許した人が傍にいるってすごくカになるわ。私も日本に戻ってからの活動は忙しかったし大変だったけど、翔さんがいたから頑張れた。そういう意味では、アイリーンちゃんのすごいカになりそうね?♪」
燿「ははは・・・・でもそうですね・・・・僕もこれで彼女達と関われないのも寂しいですしね。修行の件はもう少し考えてみます」
愛架「うん♪前向きにお願いね♪」
そんな会話を最後に愛架と公園で別れた。とりあえず燿は家に帰り、考えをまとめる事にした。
できれば、父親・・・・プロのプロデューサーの話も参考にしながら。
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