舞踏会は1人の女性によって波紋が広がっている。王子の結婚相手を決めるらしいこの舞踏会で、1人の少女が目立ちまくっている。白いドレス姿の可憐な少女に。舞踏会に参加したミランダとルレイアには見覚えがあるような気がする。よくよくみてみると・・・・
ルレイア「あの子ってもしかして・・・・」
ミランダ「シンデレラだわ。どうして・・・・今日はお客様がくるかもしれないから留守番しているようにと言ってあったはずなのに・・・・」
そう。今男性を取っ替え引っ替えダンスを踊っているのはシンデレラだった。1曲歌い終えてはすぐに次の男性にダンスを申し込まれ・・・・を繰り返し、5曲は踊っている。
5曲目が終わると、さらにまたダンスを申し込まれたが、疲れていたので、申し訳ないが断った。パーティ会場の四隅にある立食形式のテーブルから飲み物を1つとり、飲んだ。そして・・・・すぐ「うぇ・・・・」と妙な顔をして飲み物をみる。
(これ・・・・アルコールがはいってる・・・・)
パーティだ。アルコールもあって不思議はないが、シーラは16。まだお酒など飲んだことがないので・・・・正直、美味しいとは感じない。大人になったらこの味がわかるのだろうか。謎。
とりあえず手によって飲んでしまったので仕方なくそれをチビチビ飲んでいると、目の前に豪奢恰好な青年がやってきた。・・・・王子だ・・・・!!
シーラ「お、王子様!!」
王子「はじめまして。君。名前は?」
シーラ「シ、シンデレラです」
王子「シンデレラか。いい名前だね。もしよかったら1曲踊ってくれないかな?」
シーラは迷った。迷う?何を迷う必要がある?ここで王子の手を取ってダンスを踊り、そこから親しくなって、結婚相手に指名される。それがシンデレラのストーリー。筋書き通り。しかし・・・・
まだ・・・・
シーラの心には雅輝がいた。昨日幻想世界の自分の家にまでシーラを求めてやってきていた。あの時はシンデレラの物語を成立させる為に差し出された手を取らなかったが・・・・
本当はあのまま雅輝の手を取って雅輝のもとに戻りたかった。そのまま使命など忘れて現実へと戻りたかった。大好きな・・・・皆のいる・・・・世界へ。
しかし・・・・自分の所為で物語を破綻させられない・・・・。
シーラは奥義の手を-------------
『バン!!』
パーティ会場の扉が大きく開かれた。今頃きた人でもいるのだろうか?とシーラがドアのほうにふりむくと・・・・
シーラ「あ・・・・」
そこには昨日別れの言葉を告げたはずの雅輝がいた。なぜかファンタジーゲームの勇者っぽい恰好をしているが、あれは雅輝だ。
どうして。昨日雅輝の手をとらずに拒絶を口にした筈なのに。飽きられられても仕方ない筈なのに。
しかし雅輝はシーラをみつけると、ニッコリ微笑んでこちらへ向かってきた----------
ルレイア「あの人って・・・・」
ミランダ「雅輝さんね。昨日シンデレラが断ったって言ってたけれど・・・・」
ルレイア「あの人・・・・諦めてない・・・・」
ミランダとルレイアは特に口出しはせず、見守る。
シーラのもとへ歩いていく雅輝は雅輝で覚悟をきめていた。
(とうとう乱入までしてしまった。もう引き返せないぞ・・・・!!)
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