プロレスリング・ノアの08年は1月6日ディファ有明(観衆1,800人満員発表)で開幕の「The First Navigation '08」からスタート。
この日6月21日、イギリス・コベントリー・スカイドームでノア初の海外興行が開催されることが発表されています。
フリーとして06年4月からノアに参戦していた石森太二がこの日から正式にノアと所属契約を交わしたことになり、また、小悪党ファイトで人気を集めていた平柳努が「親からもらった名前で悪さは出来ねぇ」と師匠である田上明の命名により平柳玄藩(げんば)と改名したことも合わせて発表されています。
この日、試合前に前年12月に復帰戦を行った小橋建太がファンに挨拶の為、来場。今ツアーは1月11日の高知県民体育館と13日の博多スターレーンの2大会にスポット参戦すると発表されています。
三沢光晴社長は小橋のスポット参戦について、小橋の体調面を考慮し、「普通の人だって、旅行すれば疲れるでしょ。」と、東京中心の参戦を示唆する発言をしていましたが、小橋は、出来るだけ、全国のファンと接したい、と地方大会への参戦を希望しました。
1月11日高知県民体育館(観衆2,500人超満員発表)で小橋の復帰第2戦が行われています。
小橋はメインイベントで本田多聞&潮崎豪とのトリオで、田上&佐野巧真&井上雅央組と6人タッグマッチで対戦。
本田とは小橋が長期欠場に入る前の最後の試合(06年6月4日札幌・メディアパーク・スピカでのvs森嶋猛&モハメドヨネ組のGHCタッグ戦)以来のタッグ結成となりました。小橋は高知大会ということで「坂本龍馬チョップ」を決めて見せると予告。ここ高知でも「大コバシ・コール」で迎えられています。
坂本龍馬チョップはブレーンバスターの体勢から入るチョップでした。オレンジ・クラッシュのアレンジヴァージョンのような感じです。
試合は25分を過ぎる熱闘の末、小橋がついに井上を坂本龍馬チョップにとらえました。1度目はバランスが崩れてしまいましたが2度目のトライで成功。試合はここから潮崎のトラースキック、本田のデッドエンドとつなぎ、28分43秒、本田が井上を体固めでフォール。直接のフォールはありませんでしたが、初勝利を上げています。
試合終了後、バスの前で出待ちしていた大勢のファンが小橋を取り囲みました。小橋はバスに乗り込んでからもファンとハイタッチをして、ファンサービスに務めていました。小橋にとって「巡業に出る。」ということは特別な意味があったと思います。
1月13日は博多スターレーン(観衆2,800人超満員札止め)大会。立見席も全て完売となりました。
小橋は高知大会と同様に本田&潮崎と組んで、秋山準&志賀賢太郎&金丸義信組と対戦。この6選手、時期は違えど「バーニング」のユニットで活躍していた選手ばかりです。
小橋はまず秋山、志賀、最後に金丸を3人まとめてマシンガンチョップの連打。本田と潮崎が担ぎ上げた試合に小橋がセカンドロープからチョップを見舞う「玄海灘落とし」を披露。さらに秋山の頭をつかんでおいて至近距離から決める剛腕ラリアットを決めて見せます。
30分を超すロングマッチを制したのは本田が回転地獄五輪パート0(肩固め)でからの片エビ固めで志賀をフォール。2連戦は小橋組の勝利に終わりました。
ツアー最終戦は1月20日後楽園ホール(観衆2,100人超満員発表)大会。メインイベントは田上デビュー20周年記念試合、田上&秋山&森嶋組vs三沢&丸藤正道&鈴木鼓太郎組の6人タッグマッチ。
田上は88年1月2日全日本プロレスの後楽園ホールでジャイアント馬場とのタッグでポール・ハリス&バディ・ランデル組とデビュー戦を行っていますが、それからあっと言う間の20年。
この日は「田上火山」大噴火。三沢、丸藤、鼓太郎3人まとめての串刺し式ビッグブート。丸藤には馬場譲りのランニング・ネックブリーカードロップを炸裂させていきます。
試合は秋山と森嶋のアシストを受けた田上が、鼓太郎にかんぬきスープレックス、袈裟斬りチョップ、つくば薪割りと畳みかけ、「俺が田上」で鼓太郎をフォール。記念試合を白星で飾っています。
試合後、田上は「デビューして20年もやっちゃった。でも、もうちょっと頑張ります。今日はありがとうございました。また見に来て下さい。」とほのぼのとしたマイクで観客を和ませています。
2月ツアー「The Second Navigation '08」は2月15日後楽園ホール(観衆2,100人超満員発表)で開幕。
今ツアー、小橋は2月17日、Zepp Nagoya、21日大阪府立体育会館第二競技場、23日京都KBSホール、26日京王プラザホテル八王子5Fホール、そして最終戦3月2日日本武道館の5大会にスポット参戦が決定。
2月17日は愛知・Zepp Nagoya(観衆1,200人超満員発表)大会。
メインイベントはこの月の21日、アメリカへ無期限の修行に向かうこととなった潮崎の壮行試合として小橋&本田&潮崎組vs田上&齋藤彰俊&井上組というカードが組まれました。
試合は小橋と潮崎のチョップの競演。潮崎は井上にラリアット、ムーンサルト・プレスと師匠譲りの大技を見舞っていき、さらにゴーフラッシャーも決めて見せましたがカウント3は奪えず。本田と潮崎がコーナーに井上を固定してチョップを打つ「しゃちほこチョップ」も披露した小橋。
30分を超す熱戦は本田が小橋と潮崎のアシストを受けてのデッドエンドから31分59秒、井上を体固めでフォール。壮行試合は小橋&本田&潮崎組の勝利となりました。試合後、潮崎は師匠である小橋とガッチリと握手を交わしました。
2月21日、大阪府立体育会館第二競技場(観衆1,700人超満員発表)大会。メインイベントは小橋&本田&谷口周平組vs森嶋&丸藤&杉浦貴組。小橋が長期欠場している間のノアを支えて来た3人が帰って来た鉄人にノアの「現在」の闘いを見せつけています。
小橋はいきなり杉浦にチョップの連発からハーフネルソンスープレックス。杉浦を場外に落としてチョップの嵐。リングに戻るや馬場の必殺技だったランニング・ネックブリーカードロップを決め、丸藤にはテキサス・クローバーホールド。
3月2日日本武道館で三沢のGHCヘビー級王座に挑む森嶋とはマシンガンチョップとモリシハンマーの打ち合い。森嶋は小橋にバックドロップを完璧に決めて見せましたが、小橋も剛腕ラリアットで反撃。
森嶋組は若い谷口に照準を定め攻め込みました。脅威的な粘りを見せた谷口でしたが、34分52秒、丸藤が大一番用の必殺技ポールシフトからの片エビ固めを決めて谷口をフォール。森嶋&丸藤&杉浦組に軍配が上がりました。
2月23日京都KBSホール(観衆1,400人超満員発表)大会。京都府福知山市出身の小橋にとっては復帰後、初の凱旋試合となりました。
以前は福知山市三段池公園体育館での興行も度々各団体ともありましたが、最近は地方興行の減少からか、京都は交通のアクセスの良いKBSホールでの開催が主流になっています。(このツアー中、5月の福知山での小橋凱旋記念興行開催の発表あり、それについては後日書きます。)
メインイベントは小橋&本田&菊地毅組の「バーニング」vs秋山&志賀&金丸組の「スターネス」が激突した6人タッグマッチ。
菊地は同日デビューの小橋と再び同じコーナーに立つ日が来ることを心待ちにしていました。
小橋と本田のアシストで菊地がムーンサルトを志賀に決めて見せ、さらに菊地は志賀にゼロ戦キックやエルボーを打ち込んでいきます。
小橋も秋山にスリーパースープレックスを久々に見舞っています。試合は、菊地が火の玉ボムを決めようと志賀を持ち上げたところすかさず志賀が逆さ押さえ込みに切り返して32分48秒、カウント3が入り、「バーニング」と「スターネス」の一戦はスターネスに軍配が上がりました。
セミファイナルは1週間後に迫った三沢と森嶋のGHCヘビー級選手権試合の前哨戦は三沢&小川良成組vs森嶋&谷口組の一戦。
今ツアー唯一の前哨戦となりましたこの試合でしたが三沢と森嶋が場外で激しくやり合っている間、小川が谷口を僅か4分13秒、オクラホマロールで丸め込んでカウント3が入ってしまい、これで決まると思ってなかった観客がほとんどで、結果的には両者共に不完全燃焼に終わった試合でした。
2月26日京王プラザホテル八王子5Fホール(観衆1,300人超満員発表)大会は、ちょうど20年前の88年2月26日、滋賀県栗東町民体育館大会でデビューした小橋、菊地のデビュー20周年記念大会として行われました。
小橋はデビュー戦を大熊元司と行い4分48秒、体固めで敗れています。小橋ファンの方なら「4分48秒」というタイムを覚えている方も多いでしょう。
第1試合、菊地はデビュー戦の相手でもある百田光雄と記念試合。第1試合、コールは仲田龍リングアナウンサー、レフェリーは福田昭彦と試合会場以外は全く同じシチュエーションで試合に臨みました。
20年前のデビュー戦では百田の逆エビの前に敗れている菊地でしたが、この日は百田の前方回転エビ固めを反転させた菊地が8分23秒、エビ固めでフォール勝ちし、記念試合を飾っています。
メインイベントは小橋のデビュー20周年記念試合。小橋&秋山&志賀&金丸組のオリジナル「バーニング」vs三沢&小川&丸藤&ムシキング・テリー組の8人タッグマッチ。
バーニングの仲間達と共に闘ったこの一戦は38分4秒という大熱戦となり、丸藤が志賀の逆さ押さえ込みを切り返して首固めでフォールを奪い白星はなりませんでしたが、試合後は両陣営ノーサイドで握手。
第1試合を闘った菊地をリングに招き入れた小橋はマイクで「この20年間いろんなことがありましたが、これからもプロレス道を邁進していきます!」と力強く挨拶しています。
3月2日ツアー最終戦、ノア08年初の日本武道館大会は14,000人(超満員発表)の観客を動員。
第4試合終了後、日本武道館の電光掲示板に次期「グローバル・タッグリーグ戦'08」の参加チームが発表されました。この日は試合順に振り返りたいと思います。
提唱者となる現GHCタッグ王者チームの丸藤&杉浦組、三沢&小川組、田上とアメリカ修行に行ったばかりの潮崎豪が一時帰国して組んで参戦。秋山&力皇猛組、高山善廣&佐野巧真組、森嶋&ヨネ組、バイソン・スミス&彰俊組、ディーロ・ブラウン&ブキャナン組のROD。さらに暗転していたリング上にスポットライトが当たり、リングに立っていたのは健介オフィスの佐々木健介&中嶋勝彦組でした。
健介はこの前日の3月1日全日本プロレスの両国国技館で小島聡を破り、三冠ヘビー級王座を防衛したばかりでした。
スーツ姿の健介と勝彦はリング上からリーグ戦への参戦を表明、正式に参戦が決定しています。
第7試合、前07年12月2日復帰戦以来の日本武道館登場となる小橋が本田&KENTAと組んで復帰戦のパートナーだった高山&佐野&青木篤志組と激突。
鉄人と帝王が反対側のコーナーで久々に相対しました。小橋のチョップと高山のビッグブート、ニーリフトが真っ向からぶつかり合い、さらに小橋の剛腕ラリアットと高山のエベレスト・ジャーマンの応酬。お互いに地獄から生還した男同士の壮絶なる死闘はファンの感動を呼びました。
やっぱりこの二人はタッグを組むよりもボコボコにやり合う方がピタッときます。試合はKENTAがgo2sleepからの片エビ固めで青木をフォールしています。
セミファイナルでは丸藤&杉浦組にジェイ&マークのブリスコ兄弟が挑戦したGHCタッグ選手権試合。
前年1月には金丸&杉浦組を破ってGHCジュニア・ヘビー級のタッグ王者になっているブリスコ兄弟ですがアメリカROHのリングではROH世界タッグ王者としてヘビー級戦線で活躍していたこともある強豪チーム。
丸藤&杉浦組もグローバル・タッグリーグ戦が控えているとあってここはどうしても負けられないところ。丸藤とジェイの先発で開始。互角の攻防を展開するも徐々にブリスコ兄弟の連係が冴えていきます。
丸藤にはパワーボムとネックブリーカードロップの合体技。杉浦にはジェイのダイビング・ギロチンとマークのダイビング・ヘッドバットが同時に決めて見せます。
パワーではこの4選手の中では杉浦が一枚上、スピアーでジェイをリング中央からコーナーまで持っていき、アンクルホールドでマークを絞め上げていきます。マークは杉浦にシューティング・スタープレス、ジェイも杉浦にデスバレーボム。
試合終盤、丸藤はマークにポールシフトを完璧に決めてみせましたがジェイのカットでカウント3は奪うことが出来ず。ブリスコ兄弟も反撃。まずは杉浦にダブル・インパクトを決めて場外にダウンさせると、今度は丸藤にダブル・インパクト。しかし、丸藤は天才的な動きを見せました。
ジェイに肩車され、マークがトップロープからラリアット、これを受け止めた丸藤はジェイの肩の上で一回転しマークに不知火・改を決めるという離れ技をやってのけ、29分47秒、体固めで丸藤がマークをフォール。
丸藤を肩車していたジェイはダブル・インパクトを決めたマークが丸藤をフォールしていると思って勝利のガッツポーズをしていましたが、実際はフォールを取ったのは丸藤の方でした。丸藤&杉浦組が2度目の王座防衛に成功しています。
メインイベントは森嶋が三沢に挑戦したGHCヘビー級選手権試合。
先にいったのは森嶋。三沢をロープに押し込んでモリシ・ハンマーの連打。三沢もエルボーで反撃したものの、ヒップアタックを食らって場外へエスケープ。森嶋は場外パワーボムを狙うが三沢はこれを切り返してエプロンから場外の森嶋めがけセントーン。
両者リングに戻ると再び森嶋は三沢をコーナーに追い詰めてのモリシ・ハンマー、制止に入った西永レフェリーを突き飛ばす。だが、バックドロップ狙いは三沢が腰を落として踏ん張り、左の強烈なエルボー。ガクッと崩れた森嶋は場外エスケープ。
三沢は森嶋めがけてエルボースイシーダを敢行。気迫に溢れた表情からは「ジャパニーズ・モンスター」となった森嶋との対戦に懸ける決意が伝わってきます。リングに戻ると、三沢はセカンドロープからのフロッグ・スプラッシュ。森嶋を花道に連れ出してタイガードライバー狙い、これは森嶋が切り返す。
三沢が走り込んで来たところを森嶋はスクラップバスター。これでペースを取り戻した森嶋はリングに戻りスカッドミサイル、串刺しヒップアタック、モリシローラーからスリーパーに三沢をとらえ、低空ラリアットから再度スリーパーへ。これはロープブレーク。
三沢はエルボーからタイガードライバー狙い、しかし、これを防御した森嶋はヒップドロップで三沢さんを押し潰す。
堪らず場外にエスケープした三沢に重爆トペ、エプロンを走って場外へのショルダータックル。さらにリング内ではランニングしてのパワーボム、フロントからのハイキックからフォールにいくもカウントは2。
続いてラリアットにいった森嶋でしたが、三沢はエルボー!森嶋のラリアットと三沢のエルボーが真っ向からぶつかり合います。
両者ダウン。先に立ち上がった森嶋はモリシ・ハンマーからバックドロップ、ラリアットでダメ押ししてからフォールにいくが、三沢もカウント2でキックアウト。エプロンに逃れた三沢は追いかけて来た森嶋のバックドロップ狙いを踏ん張りエルボーを叩き込んで場外へ。
エプロンでうずくまる森嶋を抱え上げて場外へ奈落式エメラルド・フロウジョン。リングに戻った三沢は森嶋をコーナーに座らせておいてからの正調エメラルド・フロウジョンからフォールにいくもカウント2。
三沢はランニングエルボー、ローリングエルボーで森嶋に向かっていきましたが、カウント3は奪えない。森嶋はモリシ・ハンマー、裏拳、走り込んでのラリアットから2発目のバックドロップ。三沢も意地で立ち上がる。
何とかワン・ツーエルボーでペースをつかもうとした三沢でしたが、森嶋はラリアットで三沢の動きを止め、観客に右腕を高く突き上げてアピールすると、ランニングしてからのラリアット。そしてこの日3発目となるバックドロップ。20分22秒、片エビ固めで三沢はフォール負けし、森嶋が第12代王者となりました。
1年3か月続いた第3次三沢政権はこの日、終焉を迎えました。前年1月の武道館で三沢に敗れた後、アメリカに渡りROH世界王座を獲得し、10か月に20回王座を防衛した森嶋は、ついに「三沢超え」を果たしたのでした。
武道館に詰めかけた観客からは三沢さんの健闘を讃える大「ミサワ・コール」が起きています。
敗れた三沢さんは首へのダメージが大きく、試合後、救急車で病院に運ばれてしまいました。
45歳となっていた三沢のGHCヘビー級王座からの転落は慢性的になっていた首の故障による体調不良が原因でしたが、ベルトを明け渡した相手が丸藤ではなく森嶋だったのはマッチメークの失敗だと言えます。
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