プロレスリング・ノア07年9月29日大阪府立体育会館(観衆4,200人発表)で行われ、過酷な挑戦者決定リーグ戦を勝ち上がって来た丸藤正道が、世代交代を賭けてキング・三沢光晴のGHCヘビー級王座に挑んだ大会でした。
しかしこの時はなぜか日本テレビ系のCS放送「ジータス」での中継がありませんでした。このような大一番にジータスの中継がないとは…。スポーツ紙のテレビ欄を見ていたら、9月30日の深夜、地上波の通常のレギュラー枠で放送されるとの事で一安心。
メインイベントはGHCヘビー級選手権試合、三沢vs丸藤の60分1本勝負。スピーディーなロープワークから丸藤がアームドラッグ。三沢は丸藤の腰狙い。腰へのエルボーからサーフボードストレッチ、モンキーフリップと攻め立て、スライディング・キックで丸藤を場外に叩き出すといきなりエルボー・スイシーダ。
しかし、余力十分な丸藤はこれをリング下からのドロップキックで迎撃して見せると三沢の顔面を鉄柵にフェースクラッシャーを見舞っていきました。リングに戻ると丸藤がペースをつかみ、三沢をコーナーに固定しておいてのトラースキック、低空ラリアット、スリーパーホールドからロープにもたれかかった三沢の顔面にエプロンを駆け上がってのドロップキック。
さらにヘッドシザースで三沢のスタミナを奪っておいて、コーナーのターンバックルを使ってのカーフブランディング。丸藤のプロレス頭が全開しました。
続いてパワーボム、三角絞めと三沢のウィークポイントである首を中心にあらゆる攻撃を繰り返す。三沢はエルボーの連発で徐々にペースを引き戻すとセカンドロープからのフロッグスプラッシュ、セントーン、トップロープからのフロッグスプラッシュ、投げ捨てジャーマンで反撃します。
丸藤も時間差ロープワークからのラリアットを見せるが、続いて場外の三沢に放ったケブラーダははエルボーの前に失敗。三沢はエプロンに腰を落とした丸藤をつかまえて奈落式タイガースープレックス。
三沢はリング内に戻りますが、丸藤はエプロンからスワンダイブ式のドロップキックを見せて会場のファンを驚かせました。丸藤はコーナーからの雪崩式攻撃を仕掛けようとしましたが三沢のエルボーを浴びて、ロープに股間を打ち付ける。
そこへ凄まじいエルボーを浴びせる三沢。丸藤は場外へ転落。三沢は場外の丸藤めがけ、コーナーポスト最上段からダイビング・エルボースイシーダを敢行。45歳の三沢が飛んでみせました。
場外カウント19でリングに生還した丸藤は三沢のエルボーやエメラルド・フロウジョンをかわすとトラースキックで試合のペースを何とか引き戻すと、痛烈な張り手から不知火、続いて雪崩式不知火。これは完璧に決まったが三沢はカウント2でキックアウト。
丸藤はトラースキックの連発からポールシフトの体勢に入ったがこれは三沢が堪えます。ならばともう一度不知火にいこうとしたが、丸藤がコーナーに駆け上がるところを三沢は強引に動きを止めてフェースロック。
三沢はコーナー最上段からのタイガードライバーを狙いますが、三沢は一度ロープから足を滑らせて失敗。再度のトライは不完全なままリングに落下してしまいました。三沢のタイガードライバーと丸藤のトラースキックの応酬でダブルダウン。
先に立ち上がった三沢が正調エメラルドフロウジョン、ランニング・エルボーから最後は7月の田上明戦で見せた垂直落下式ブレーンバスターの体勢から落とす変形のエメラルドフロウジョン。26分28秒、カウント3が入り体固めで三沢が勝利。5度目の防衛に成功しました。
逆戻りした時計の針はまたしても前には進むことは出来ませんでした。
三沢は「勝てたのが不思議、丸藤はもう弟子じゃない、ライバル」と苦しい試合を振り返っています。
セミファイナルでは鈴木鼓太郎&リッキー・マルビン組にドラゴンゲートの土井成樹&堀口元気組が挑戦したGHCジュニア・ヘビー級タッグ選手権試合が行われています。
奇襲攻撃で鼓太郎を場外に落としたドラゲー勢は堀口がいきなりのノータッチ・トペコンを見せて先制。序盤はマルビンがつかまる展開となり、ドラゲー勢はマルビンの左腕に集中攻撃。
ドラゲー勢はセコンドの吉野正人が巧みに介入する反則を展開して試合のペースを有利に持っていきます。マルビンは何とかジャンピング・ハイキックで逃れると、鼓太郎につなぎ、ダブルのファンネル(619)を堀口に見舞い徐々にペースを引き戻す。
鼓太郎は堀口にジャーマン、マルビンも土井のバカタレ・スライディングキックをかわして丸め込み。カウントは2。堀口は鼓太郎にグリーンミスト(毒霧)を放ってから、必殺のビーチブレイク。完璧に決まったが、これは鼓太郎が意地でカウント2ではね返してブルーディステニーへ。こちらもガッチリと決まったが土井がカットに入ってカウント3は奪えず。
勝負に出た堀口はバックスライド・フロム・ヘル(逆さ押さえ込み)を鼓太郎に決めようとするが、鼓太郎は堀口が絡めて来た腕を逆にストレッチに決め、そのままブリッジして絞め上げる。ジャべでもドラゲー勢に対抗して見せました。
一進一退の攻防を制したのは鼓太郎でした。堀口を肩車で担ぎ上げ、そのまま垂直に前方から叩き落とす危険な角度でのレクイエムが決まり、18分37秒、カウント3が入りました。
決まり手の公式記録は「高角度前方回転落とし固め」鼓太郎&マルビン組が5度目のタイトル防衛に成功しました。
ドラゴンゲートは対鼓太郎&マルビン組のGHCジュニア・ヘビー級タッグ戦は5月の土井&吉野正人組、6月の新井健一郎&岩佐拓組に続いて3連敗。
これで収まる訳もなく、チーム編成を変えて再挑戦することを表明しました。
10月ツアー「Autumn Navigation '07」は10月7日後楽園ホール(観衆2,100人超満員発表)で開幕。
今ツアーでは、力皇猛の頸椎損傷による長期欠場の為、秋山準とのタッグで保持していたGHCタッグ王座が返上され、王座決定リーグ戦がスタート。
参加チームは元王者チームの森嶋猛&モハメド・ヨネ組、バイソン・スミス&齋藤彰俊組、ディーロ・ブラウン&ブキャナン組、田上明&潮崎豪組の4チーム。
この日、第3試合終了後、難波信二リングアナから、腎腫瘍の摘出手術の為、前年7月から長期欠場していた小橋建太が12月2日、日本武道館で復帰戦を行うことが発表され、館内は「ウォーッ!」という大きな歓喜のどよめきに包まれました。
難波リングアナが読み上げた小橋からのメッセージは「皆さんのおかげでやっと復帰出来ます。今は後2か月に迫った武道館に向けて毎日トレーニングに励んでいます。皆さんから頂いた熱い思いと共にリングに立ちます。」というものでした。
この後の試合が明るい雰囲気で盛り上がったことは言うまでもありません。
メインイベントはタッグ・リーグ公式戦、バイソン&彰俊組vs田上&潮崎組の一戦。この試合、潮崎が弧軍奮闘となりました。
試合はバイソンの雪崩式アイアンクロースラムをフランケンシュタイナーに切り返すなど潮崎は健闘しましたが、バイソンと彰俊の合体式アイアンクロースラムを喰らい、最後はバイソンテニエルからの片エビ固めの前にフォール負けを喫しました。
三沢はセミファイナルに出場、鈴木鼓太郎とのタッグで丸藤&杉浦貴組と対戦。
三沢は大阪での丸藤戦で右膝の靭帯を損傷していました。丸藤&杉浦組はタッグ・リーグ戦にエントリーされなかった鬱憤を晴らす大暴れを見せ、巧みな連係で試合を有利に進め、最後は丸藤の雪崩式不知火と杉浦の投げ捨てジャーマンの合体技を見せて、丸藤が鼓太郎を片エビ固めでフォール。
日米を股にかけ、ROH世界王者として活躍していた森嶋でしたが、10月6日(日本時間7日)、ニューヨーク州エジソンでナイジェル・マッギネスの挑戦を受けて、14分23秒、ジョーブレイカー・ラリアットからの片エビ固めに敗れ、王座転落しました。
森嶋は2月のフィラデルフィアでホミサイドを破って王座獲得以来、20度の防衛を果たしていました。WWEのモノポリー状態となっていたアメリカマット界ですが、ROH世界王者として8か月君臨し、20という防衛記録を打ち立てたのは偉業だったと言えます。
GHCタッグ王座決定リーグ戦は10月20日福岡県久留米リサーチパーク(観衆1,000人超満員発表)大会での公式戦で田上&潮崎組を破ったディーロ&ブキャナン組のRODが最多得点で優勝、新王者チームとなりました。
10月25日横浜・赤レンガ倉庫1号館大会からTNAから来襲したサモア・ジョーが参戦。高山善廣との大型タッグで三沢&森嶋組と対戦。
サモア・ジョーは三沢のエルボー、小橋のチョップ、秋山のエクスプロイダーとノアの選手の得意技で三沢さんを痛めつけると最後は三沢の必殺技であるエメラルド・フロウジョンを決めてわずか12分24秒、片エビ固めで三沢からフォールを奪っています。
ノア07年10月ツアー最終戦、10月27日、日本武道館大会は14,000人(超満員発表)。この日は試合順に振り返ってみたいと思います。
第5試合終了後、武道館に小橋のテーマ曲「GRAND SWORD」が鳴り響き、12月2日日本武道館で復帰戦を行う小橋建太が来場。館内は割れんばかりの大コバシ・コール。小橋は花道ではなく、通路を歩いてリングに上がりました。
小橋はリングに上がるとマイクをつかんで「12月2日の日本武道館、プロレスラー小橋建太としてリングに戻ってきます。対戦カード、高山善廣と組んで三沢光晴、秋山準組と闘います。」と力強くアピール。
そして、武道館の電光掲示板に小橋復帰戦のカードが映し出されました。
「三沢光晴&秋山準組vs小橋建太&高山善廣組」
前年7月16日、日本武道館での高山復帰戦の時に発表されていながら、小橋の腎臓癌の摘出手術により実現しなかったあの組合せでした。小橋がカードを発表すると高山がリングに上がってガッチリと握手。高山に続いて秋山、メインでタイトル戦を行う三沢もリングに登場して小橋と握手しました。
第6試合、ムシキング・テリーに金丸義信が挑戦したGHCジュニア・ヘビー級選手権試合。テリーは4月28日の武道館で高岩竜一から王座を奪取して以来実に半年ぶりの防衛戦。
試合は序盤、花道での攻防が続き、中盤はマット中央で、互いにエビ固めの応酬。いつ3カウントが入ってもおかしくないスリリングな試合展開。
テリーはタランチュラ式の首4の字、花道を使ったアクシズスピン(ファンネル)で金丸を攻め立て、ストライク・バック(回転十字固め)でフォールを狙いにいくも金丸はカウント2で跳ね返す。
さらにサイドロックボトムで追い込み、コーナー最上段からテラドライブ(雪崩式アームドラッグ)を見せたテリーを金丸は雪崩式DDTで切り返して見せました。
金丸が見せた雪崩式垂直落下ブレーンバスターはテリーが空中で身体を入れ替えてそのまま押し潰す。両者裏のかきあいとなりました。
テリーは必殺のミスト・クラッシュを見せるがカウント3は奪えない。金丸も2度のディープ・インパクト、垂直落下式ブレーンバスターを雪崩式も含めて計4発放ったが、それでもテリーをフォールすることは出来ない。
金丸はとどめとばかりタッチアウト、さすがのテリーもこれは返すことが出来ず、22分22秒、エビ固めでカウント3。金丸は05年7月18日に東京ドームでKENTAに敗れ王座転落して以来、2年3か月ぶりの、実にこれが4度目のベルト載冠となりました。
敗れたテリーは金丸と握手してリングを去りましたが、何か一つの役割を終えたような清々しい感じに見受けられました。
セミファイナルはディーロ&ブキャナン組のRODに丸藤&杉浦組が挑戦したGHCタッグ選手権試合が行われています。
試合はブキャナンが2人を同時に場外へ投げ捨てるやディーロがプランチャ。ここから丸藤がつかまる展開となり、ディーロのラリアット、ブキャナンはアイアンクロースラムを狙うが、何とかこれは阻止。
ここで杉浦に交代、杉浦は走りこんでの顔面蹴りをブキャナンに見舞うが、代わって入ったディーロが激しいエルボーで杉浦を痛めつける。王者組は巧みな連係で丸藤、杉浦組を翻弄、WWEスーパースターとして活躍した実力の片鱗を見せ付けます。
丸藤に代わり、丸藤はドロップキック3連発でブキャナンをダウンさせるがディーロが介入、救援に入って来た杉浦に花道でのパワーボム。
ディーロは丸藤にF5(バーディクト)を決め、ネックブリーカー・ドロップからシャイニング・ウィザード3連発。ダウンした丸藤にローダウンを決めるべくコーナーに登ったディーロでしたが、これは杉浦がディーロの足を引っ張って防御。
丸藤は雪崩式フランケンシュタイナー狙いでコーナーのディーロに向かっていくが、これはブキャナンがカットして丸藤を肩車。ここからRODはスカイハイ・ボム(ダブルインパクト)
丸藤はよろけながらもトラースキックから不知火を決めて杉浦にタッチ。杉浦はディーロにスピアーから中年ズリフト、続いてジャーマン。しかしRODもダブルのチョークスラムで反撃、丸藤もトラースキックからの不知火でディーロを場外に叩き落とすと、杉浦がブキャナンを肩車して丸藤が不知火、そのまま杉浦がジャーマン。
丸藤が時間差ロープワークからのラリアット、杉浦のニーリフトでブキャナンを痛めつけ、杉浦がジャーマン2連発。さらに杉浦は丸藤のアシストを受けてのオリンピック予選スラムで26分17秒、片エビ固めでブキャナンをフォール。丸藤&杉浦組が第16代王者チームとなっています。
試合はタイトル戦にふさわしい白熱した攻防で、敗れたRODも素晴らしい試合をしましたが、リーグ戦に優勝した同じツアーの最終戦でせっかくの王座を奪われてしまってはタッグ・リーグ戦自体があまり意味がなかったように思いました。
メインイベント、三沢にサモア・ジョーが挑戦したGHCヘビー級選手権試合。
アメリカTNAからの刺客サモア・ジョーは01年にゼロワンに初来日、05年10月にはROHのリングで小橋建太とシングルで対戦して惜敗しています。
サモア・ジョーはフロントキックで三沢を場外に落とすと三沢の得意技であるエルボースイシーダ。これを口火にジャパンレスラーのフェイバリット・ムーブを次々と繰り出していきます。
天龍のグーパンチ、逆水平チョップ、永田のコーナー駆け上がり式串刺しニー、延髄斬り。大谷の顔面ウォッシュから「火祭り刀」ポーズまで決めてみせます。
蝶野のSTF、ナガタロック�供△修靴得酖弔離好謄奪廛�ックからのパワーボム、ストレッチプラム。三沢はベイダーを負傷欠場に追い込んだ裏十字固めでサモア・ジョーの動きを止めるとエルボーで反撃。
サモア・ジョーは得意のマッスル・バスター(キン肉バスター)を決めてフォールの体勢に入りますが、これは三沢がカウント2でクリア。
サモア・ジョーは秋山のエクスプロイダーを見せてからアイランドドライバー(エメラルド・フロウジョン)からフォールにいくが、三沢も自分のフィニッシュホールドで敗れる訳にはいかず、必死のキックアウト。
三沢はワンツーエルボー2発、ローリング・エルボー、ランニング・エルボー、正調エルボー、2発、バック式エルボーと攻め立てると、本家エメラルド・フロウジョン。これはサモア・ジョーがカウント2でクリアしましたが、三沢はサモア・ジョーの後頭部にエルボーを叩き込んでフォールの体勢。
17分14秒、片エビ固めで三沢がフォール勝ち。GHCヘビー級王座6度目のタイトル防衛に成功しました。サモア・ジョーはジャパニーズ・プロレスおたくかと思われるようなファイトに終始し、本来の持ち味が出なかったように思います。
これが「よそ行き」の試合で、日本のプロレスファンへのサービスだったと考えていたとしたらちょっと残念な話で、何か勘違いしているとしか思えなかったです。
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