猪木は78年11月1日、愛知県体育館での「闘魂シリーズ」最終戦で9年越しのライバル、「ロシアの妖怪」クリス・マルコフを11分41秒、延髄斬りからの卍固めで破り、NWFヘビー級王座17度目の防衛に成功すると藤原喜明を帯同して渡欧、11月7日から29日までの3週間超に亘り、「欧州世界選手権シリーズ」に参戦します。
試合は一部を除き4分10ラウンド1本勝負。日付は全て現地時間。第1戦は、11月7日、西ドイツ・ラーベンスブルク・オーバーショワルツゥエン・スタジアムでウィリエム・ルスカを5ラウンド1分33秒、体固めで破り勝利。
第2戦、11月8日、西ドイツ・デュッセルドルフ・フィリップスホールでプロモーター兼エースのローラン・ボックと初対戦し5ラウンド3分40秒、反則勝ち。
第3戦は、11月9日、西ドイツ・フランクフルト・フエストホールでプロボクシング元世界ヘビー級ランカー、カール・ミルデンバーガーと異種格闘技戦3分15ラウンドで対戦、4ラウンド1分15秒、逆エビ固めでギブアップ勝ちを収めました。この試合はテレビ朝日が収録し、11月17日の「ワールドプロレスリング」で放送されました。
第4戦、11月10日、西ドイツ・ハンブルグ・スポーツホールで70年8月に国際プロレスに来日した「欧州の鉄人」ジャック・デ・ラサルテスと4分10ラウンド時間切れ引き分け。
第5戦、11月11日、西ドイツ・ハノーバー・メッセホールでラサルテスと再戦し、5ラウンド(タイム不明)、逆腕固めでギブアップ勝ち。
第6戦、11月12日、西ドイツ・ベルリン・ドイチェランドホールでボックと2度目の対戦、5ラウンド1分11秒、両者リングアウトの引き分け。
第7戦は11月13日、西ドイツ・カッセル・エセスホールでラサルテスを5ラウンド53秒、体固めで撃破。
第8戦、11月16日、西ドイツ・キール・コンサートマネジメントでアマレス・グレコローマン60年ローマ五輪金メダリスト、64年東京五輪銅メダリストのウィルフレッド・デートリッヒと初対戦、4ラウンド2分20秒、腕固めで猪木が勝っています。
第9戦は11月17日、西ドイツ・ミュンヘン・セベルメイヤースポーツホールでルスカと4分10ラウンド時間切れ引き分け。
11月19日はダブルヘッダー、第10戦はスイス・バーゼル・セントヤゴスポーツホールでラサルテスに5ラウンド2分35秒、反則勝ち。
同日の第11戦、オーストリア・ウィーン・ウイナーホーレンスタジアムでユーゲン・ウィズバーガーに4ラウンド1分32秒、反則勝ち。スイスとオーストリアには時差はなく、おそらく昼夜興行かと思われます。
第12戦、11月20日、西ドイツ・ザールブリュッケン・ザーランドホールではラサルテスに4ラウンド57秒、体固めでフォール勝ち。
第13戦、11月21日、西ドイツ・ルートウイフハーフェン・エバートホールでデートリッヒと再戦し4ラウンド2分51秒、両者リングアウトの引き分け。
第14戦、11月23日、オランダ・ロッテルダム・マホイ・スポーツランド大会は当初は全日本プロレスのリングで試合をしていたアントン・ヘーシンクが猪木と対戦する予定でしたがキャンセルされ、代わりに同じオランダ人のルスカが代打で猪木と対戦し4分10ラウンド時間切れ引き分け。
第15戦は11月24日、西ドイツ・ドルトムント・ベスト・フォーレンホールで73年1月にグラン・ラパンとして国際プロレスに初来日、ストロング小林と対戦、76年1月にブルドッグ・オットーのリングネームで新日本プロレスに来日したオットー・ワンツと対戦、日本では猪木とワンツは格に差がありますが、西ドイツ、オーストリアでは地元のヒーローであるワンツに粘られ、4分10ラウンド時間切れ引き分け。
第16戦、11月26日、西ドイツ・シュツットガルト・ギルスベルクホールで「欧州世界選手権シリーズ」の決勝戦が行われ、猪木はボックと4分10ラウンド闘いましたが、判定負けを喫しています。この試合はテレビ朝日が現地収録し、古館伊知郎アナウンサーが現地実況、12月28日の「ワールドプロレスリング」で放送されました。詳細については別連載「猪木とビンス」に詳しく書いてありますので、こちらをご一読頂けると幸甚です。
第17戦、11月26日、ベルギー・ルーティッヒ・カントリー・ホール。こちらもダブルヘッダーか?72年1月、チャールズ・べレッツとして国際プロレスに初来日、S小林と対戦、ジョニー・ロンドスとして72年11月、75年2月に新日本プロレスに来日したチャールズ・ベルハーストと対戦し4ラウンド1分42秒、逆さ押さえ込みでフォール勝ち。
第18戦は11月27日、ベルギー・アントワープ・スポーツパレスでルスカと対戦し4ラウンド終了に反則勝ち。
第19戦、11月28日、西ドイツ・シュウェニケン・アルセラングホールでルスカと連日の対戦となり、2ラウンド終了で猪木の反則勝ち。終盤は疲れと硬いマットで首、肩を痛めコンディション不良か、なかなかスッキリ勝てず。
最終日の11月29日。昼にスイス・チューリッヒで「山岳レスリング」のチャンピオン、ルディ・バンズバーガーと10分間のエキシビジョンをリングではなくマット上で行いました。(無勝負)
最終戦の11月29日夜にオーストリア・リンツ・スポーツホールでウィズバーガーと4分10ラウンド時間切れ引き分けとなり、20戦12勝1敗7分けの成績を残しましたが、ボックには痛恨の判定負けで終わりました。
プロモーターでもあるボックに華を持たせなければならない試合だったとは思いますが、猪木の攻撃をボックはほとんどディフェンスし中に入れず。悪いリングコンディションと過酷な日程で猪木は身体に大きなダメージを負いました。
また、デートリッヒとの試合も猪木の1勝1分の記録が残されていますが、「実際は猪木が投げられまくって負けた」という説もありました。
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