78年新日本プロレス「闘魂シリーズ」最終戦は、11月1日、愛知県体育館(テレビ収録、観衆6,500人発表)大会。
メインイベントは猪木にクリス・マルコフが挑戦したNWFヘビー級選手権試合61分1本勝負。挑戦者マルコフですが、試合開始前セレモニーの国歌吹奏では何故かカナダ国歌が流されています。
試合はマルコフが重厚感のあるパンチ、キック、ニーリフトなどで猪木を攻めていきましたが、猪木はこれを耐えてアリキックで反撃、場外に投げて鉄柱に叩きつけて額から流血させ、ジャンプ一番、綺麗なフォームの延髄斬り、フィニッシュは9年前、69年5月16日、日本プロレス東京体育館での「第11回ワールド・リーグ戦」優勝決定戦以来の卍固め。
11分41秒、マルコフはギブアップし猪木が17度目のタイトル防衛に成功しました。猪木は「マルコフごときに苦戦していてはしょうがない。次の欧州遠征、全勝してきますよ」と力強くコメントしています。
9年前に比べて、両者の実力の差が開いたのは確かで、猪木はマルコフを問題にしませんでした。4年前にの74年にマルコフが全日本プロレスに来た時、12月12日、川崎市体育館で馬場のPWFヘビー級王座に挑み、2−0のストレート負けをしているのを猪木が知らない訳はなく、マルコフにタイトル戦本番でいいところを見せるつもりはさらさらなかったと思います。
セミファイナルは藤波辰巳&長州力組がキラー・カール・クラップ&トニー・ロコ組と対戦したタッグマッチ45分1本勝負。15分17秒、藤波がロコをジャーマン・スープレックスホールドで破り、藤波&長州組が勝利を飾りました。
セミ前で星野勘太郎&山本小鉄組のヤマハ・ブラザーズが登場、ストロング小林&永源遙組とタッグマッチ30分1本勝負で対戦。17分17秒、星野が永源を体固めで降してヤマハの勝利。この両チームは79、80年で国際プロレスとの対抗戦でIWA世界タッグ王座を獲得しているのが興味深いです。
坂口征二はジ・エクスキューショナーを4分8秒、逆エビ固めでギブアップさせ、チャボ・ゲレロは永源遙を9分12秒、体固めで撃破、ブルート・バーナードは木戸修を6分1秒、体固めで破り最終戦は白星でした。
今シリーズは10月10日の町田市忠実屋駐車場特設リング以外は都内23区での興行はなく、外国人レスラーのメンバーもマルコフ、クラップ、バーナードはピークは超えてロートルになっており、蔵前国技館で興行を組むには弱体と言えました。
地方でも大会場と言えるのは最終戦の愛知県体育館しかなく、通常の地方巡業でも郡部の小規模会場での開催が多かったです。
マルコフは新日本プロレスにはこれ一度きりの参戦で最後の来日、クラップはワールド・リーグ戦の常連としてシリーズを面白くしていた時の勢はなく、新日本プロレスにはこれが最後の来日。80年1月に国際プロレスに転出しています。
バーナードはこの年57歳で年齢の割には元気だったと言えますが、藤波、長州ら若手の台頭でファイトスタイルが古くなり過ぎた感があり、こちらも最後の来日でした。
2度目の新日本プロレス参戦となったチャボは10月20日、寝屋川大会で藤波のWWWFジュニア・ヘビー級王座に挑んだ試合は敗れましたが、試合運びは抜群に上手く、安定した実力者ぶりを発揮し十分合格点でした。
初来日のロコはテンポの早い小気味いい試合スタイルでファン、関係者からは高い評価を受けました。ラテン系の激情派でラフにも強く、小粒ながらいい試合を見せ、藤波のタイトルを狙う存在になってくることは間違いなし。ただし、試合後の「カウントが早い、俺は負けてない」のアピールが長くてしつこいのはマイナスポイントです。
黒覆面エクスキューショナーは日本プロレス、新日本プロレスに来たジ・インフェルノス2号のカーティス・スミスが正体。タッグ屋だけにシングルプレーヤーとしては真価を発揮出来ずに終わり、これが最後の来日となりました。
以後、新日本プロレスはWWWF、フロリダ地区との提携で外国人メンバーが良くなって来るので、ある意味、旗揚げ以来の弱体と言われた外国人勢による最後のシリーズであったと言えるでしょう。
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