87年「創立15周年記念新春ジャイアント・シリーズ」1月17日、山口県徳山市(現在の周南市)体育館 (テレビ生中継、観衆3,400人超満員発表)大会。
メインイベントはPWFヘビー級選手権試合、王者長州力にカート・ヘニングが挑戦。
8分18秒、長州がバックドロップからリキラリアットで体固めでカート・ヘニングをフォール、7度目のタイトル防衛に成功していますが、試合後の日本テレビ、若林健治アナウンサーからの勝利者インタビューで「鶴田、藤波、天龍らと闘っていきたい」と全日本プロレスのリング上、日本テレビの全国生中継で新日本プロレスの藤波辰巳の名前を出したことで、大きな波紋を呼ぶことになります。
東京スポーツや週刊プロレス、週刊ゴング、週刊ファイトらのインタビュー記事で「他団体の選手とも闘ってみたいね」とプロレスラーがリップサービス的に発言するのはよくあることですが、カットすることが出来ないテレビ生中継で藤波の名前を出したのはやはり確信犯と言えるでしょう。
輪島大士はセミファイナルに出場、師匠・馬場とのタッグを組み、国際血盟軍の阿修羅・原&鶴見五郎組と対戦。輪島が鶴見を自軍コーナーに向けてとばすと、エプロンにいた馬場が16文キック、倒れた鶴見に続いて輪島がラリアットからそのまま首を離さず、両腕で揺さぶりをかけて叩きつける2段式ネックブリーカードロップを決めフォール。7分28秒、輪島が鶴見を片エビ固めで破っています。
セミ前に行われた全日本対ジャパン、鶴田&天龍組と谷津嘉章&仲野信市組のタッグマッチで、鶴田の怪物ぶりが覚醒します。
仲野が鶴田をボディスラムで投げると、コーナーポスト最上段に昇りミサイルキック、これが鶴田の顔面にヒット。これで鶴田がキレました。仲野は鶴田をコーナーに押し込んでからのヒップトス(腰投げ)狙い、通常であればここで投げるところですが、鶴田は「うるさい」とばかり投げにきた仲野を右手一本で突き倒しました。
仲野は思い切りマットに叩きつけられて、意識朦朧としたところ、鶴田は珍しく自分からロープに飛んで助走をつけてのジャンピング・ニーパット。そして仲野の身体を軽々と担ぎ上げると急角度のバックドロップを決めフォール10分36秒、鶴田が仲野を体固め。谷津はカットに入りましたが、鶴田の身体を軽く押さえただけ。ここはこれで終わらさなければ危険という判断でしょう。
仲野は「鶴田をキレさせた男」としてテレビ生中継でその存在を知らしめましたが、本来なら、鶴田の胸板を蹴るべきところ、顔面に当ててしまい、鶴田は唇を切って出血、これでキレてしまったということです。
今年21年に入り、仲野が全日本プロレスの大田区総合体育館(当初5月16日開催を予定、緊急事態宣言の発出により6月26日に延期)の鶴田メモリアルマッチに参戦が決まった時、「Number Web」で堀江ガンツ氏がこの試合についでコラムを書いていますが、
堀江氏はこの試合を長州達が抜けたジャパン分裂後の87年4月23日、新潟市体育館での試合と書いていますがこれは誤り。当時のプロレス熱戦譜を見ると、確かにこの日も徳山と同一カードが行われていますが、フィニッシュは天龍がパワーボムで仲野をフォールしています。
また、動画を見るとこの試合はレフェリーをタイガー服部が務めており、服部は長州と共にジャパンプロレスを離脱しており4月は全日本のシリーズには出ていません。時代背景として長州一派のジャパン離脱があり、全日本に残留した仲野が存在感を発揮しようとし、また馬場からの助言もありミサイルキックを使ったと取材で証言しています。
また、仲野のパートナーを務めた谷津も自身のYou Tubeチャンネルで同様のことを語っていたところから、堀江氏が誤認してしまったと思います。
タイガー・ジェット・シンはラッシャー木村と組んで石川敬士&大熊元司組と対戦、4分11秒コブラクローからの体固めでシンが大熊を破りました。
タイガーマスクは前86年、3回に亘って激闘を展開したザ・グレート・カブキとタッグを結成し、フランク・ランカスター&ネルソン・ロイヤル組と対戦、9分11秒、ダイビング・ボディプレスからの片エビ固めで老雄ロイヤルを撃破。
アニマル浜口&小林邦昭&寺西勇組vsキラー・カーン&ヒロ斉藤&マーク・レーガン組の6人タッグマッチは5分20秒、浜口がレーガンをブロックバスター(サモアン・スープレックスから体固めに決めました。ハル薗田とア・シークのシングルマッチは7分24秒、ア・シークがラクダ固め(キャメルクラッチ)でギブアップ勝ち。
サムソン冬木は、1月14日、宮崎県延岡市体育館でのカート・ヘニング戦で負傷し15日から欠場となっています。
第1、2試合は全日本対ジャパン、マイティ井上&渕正信組vs栗栖正伸&保永昇男組は8分19秒、M井上がサマーソルト・ドロップから栗栖を体固め。第1試合の小川良成と佐々木健介のシングルマッチは6分54秒、ジャックナイフ式エビ固めで小川が勝利を収めています。
さて、メインイベント終了後の勝利者インタビューで藤波の名前を出した長州は、試合後には新日本プロレス杉田豊久渉外担当の手引きで、大塚直樹取締役ジャパンプロレス選手会長の永源遙を交えて新日本プロレスの興行先である福岡で坂口征二副社長、藤波とも会うことになっていたそうですが、長州は突如(会談は)「中止になった」と言い出しました。
それでも長州達は福岡へ向かい、会談は予定通りに行われ坂口から「ジャパン全員に戻ってきて欲しい」と要請を受けています。長州はその発展系の話として「新日本、全日本双方に上がれるかどうか」と逆提案していましたが、大塚は長州が自分達の知らぬところで新日本と話を勝手に進め、そのことを隠していると気づき出していました。
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